奇跡と当然と凡人

yuushi

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全体朝礼

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「未来ある若者たちよ!!」

壇上の校長が叫ぶ。毎年恒例の頭の痛い新年度のご挨拶だ。

「この世の中は平等ではない!!」

「勉強の出来る者」

中の下です。ちなみに机に向かうとおなかがいたくなることもしばしば・・・

「運動が出来る者」

え~、運動音痴じゃありませんが、体力はそれほどでも。インドア派なので・・・

「育ちが良い者」

うちは、ごくごくありふれた中流家庭でございます。もちろん、3時のおやつや、食後のデザートなんかもありません。

「陽があれば、陰がある!!」

はじまった分けのわからん演説。

「だが、心配はいらない。誰しも人より優れた能力が一つはある!それは・・・」

それは・・・

「ギフトだ!!!」

・・・ち~ん、あのここに1人ギフトのない人間がいるんですが

「未だ本領を発揮できていない者もいるが、それは君達が平等でない世界で生き抜くためには

必要なものなのだ!!」

あの~、担任の先生、目をそらさないで下さい。って、俺は捨てネコかぁ!

「高校を卒業するまでになんとしても、能力を鍛えるのだ!それが出来い人間に未来はない!!」

はじめに”未来はある”っ言ったのに・・・言ったよね絶対!!

はい、ここに鍛えるものがない人間がいるんですが・・・と手を挙げたくなる衝動に駆られるが

実際問題、周りの人がどういったギフトをもっているかは知らない。

ギフトを明かすことは、自分の手の内を明かすようなものでみんなあまり公にしない。

家族・仲の良い友人・特定の人を除いては。

ということは、ギフトを持たない人間が自分ただ1人と言うことも知られていない。

というか、知られたくない!みんな担任みたいな目で蔑むに決まってるから。

長々と話す校長の激昂ゲキコウと炎天下で、気分が優れないのか

颪オロシ東アユは頭をフラフラとゆらしている。

項垂うなだれる彼女を見て、今朝の罰があったのだと思い少し気が晴れる気がした。

「選択センタクと集中シュウチュウ!!!」

洗濯センタクと焼酎ショウチュウ???

「人生は一点突破に限る!!!今できない奴は一生できない。」

ますます分けのわからない校長の言葉に混乱しつつそこに、

空気の読めない奴が脳内・・に乱入してきた。

”颪オロシさん具合悪そうだぞ、おまえの斜め前だろ。助けてやれよ”

キタ------(゜v゜)------ !!!!!おせっかいの武タケル

刃金ハガネ 武タケル

弐つ名は”テレパスのタケル”3人兄弟の長男。

物理系の能力が発現しやすい武家の家系にもかかわらず、

科学万能・携帯電話の時代にテレパシーというあまり意味のないギフトをもつ

超おせっかいな幼馴染。

後ろを振り返ると、人の列から顔を出したタケルが、お前が助けないのなら

俺が助けにいくぞと言わんばかりの目で睨んでいた。

(´ε`*)いやだよぉ~ん♪

つらかったら本人が手を挙げて助けてもらえば良い。

個人の意志が尊重される時代、おせっかいは嫌われやすい。

タケルが幾度となく、邪険にされてるを見てきた。なのにこいつは、

”ばぁちゃんの遺言だから、人を思いやれない武士ブシは幸せになれない”と言って

おせっかいを続けている。そう言えば小学校のときに

”いやいや、そもそもお前はブシじゃないだろ”とつっこんだ記憶がある。

アユの顔色はここからは見て取れないが、そうとう参っているように感じに見え

胸に嫌なモヤがかかる。

”おい、早くいけよ”

慣れているとはいえ、頭の中に勝手・・に入られるといい気はしない。

”もし倒れでもしたら、お前は武士の風下カザシモにもおけないからな”

「………なのだ!!これにて新年度朝礼を終わる、以上、解散!」

と言う野太い校長の声と、ともに颪オロシ東アユの華奢な体がなびく・・・

不意に手を差し伸べると、それをつかんだ。

アユはトロンとした目でこちらを見る。

「おい!大丈夫か!!!」

崩れ落ちないように強くつかむ。

「・・・貴様!何をしてる」

見る見るうちに顔が赤く・・・紅く?!

「具合?大丈夫か??」

「・・・・・・この変質者~!!」

線の細い背中と、柔らかい・・・尻を・・・鷲つかみしていたのだ。

颪オロシ東アユは日射病でもなければ、具合が悪かったわけでもない。

ただ、退屈な演説から逃れるため、ギフトを使い空気の壁を作りそこにもたれかけ

浅い眠りについていただけだった。

空高く飛ばされたのは、言うまでもない。

その後、白鳳高校迷惑校則違反で風紀委員ジャッジメントに現行犯逮捕され

生活指導室に連行され、尋問を受けるはめになる。

だが、タケルが「そんなことをするやつじゃない」と掛け合ってくれたため

余計に話がこじれ、開放されたのは夕方であった。

”まぁ、こんなこともあるさ、くじけるなよ!”

そうそう、こんなこともあるさ、ってお前のせいだろう!

「俺はブシなんかじゃないんだ~~~!!!」

沈む夕日がやけに眩しく感じた。
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