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釣りあるあるを体験する
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ダンが釣り上げ、そして止めを刺した魚は剣魚と呼ばれる魚型魔物だったそうだ。
ちなみに時々釣り上げられてしまう魚型魔物への対処には、警備として雇われた冒険者が対処に当たるそうだ。
街中の屋台処などの警備は衛兵が行うらしい。
とりあえず釣りの成果として認められるらしいので、大会受付のところまで持っていくことにしたダン。
「いや、しかしスゲーなあんた。剣魚相手にカウンターで一発かよ」
剣魚と呼ばれる由来ともなる鋭く長い口による被害が出ないように、近くに居た冒険者が受付までついてきてくれるようだ。その冒険者は先程のダンの腕前を凄い凄いと言っている。
剣魚の口を支えるために、その頭蓋周りの骨はかなりの硬さをもっているからだ。
「いや~、本家本元の人からすればまだまだでしたよ」
ダンは自分はまだまだだと言う。
そのダンの脳裏には、以前に敵対した剣士の姿が思い出されていた。その剣士が振るう剣技と共に。
「それにソレも相当な業物だろ?」
そう言われたのは、その剣士から最終的に貰い受けた刺突剣だった。そういえば渡される時に由来がどうとか言っていたような気もするが、
「あ~。貰いものですから、詳しくは分からないですね」と忘れたことを誤魔化して伝えた。
「へ~。……俺に譲ってみたりとか――」
「貰いものを譲る気はありませんよ」
がっかりとしている冒険者を置いておき、ダンは剣魚を大会受付の小屋まで運び終えた。
剣魚はこの後計量をして大会運営で記録を付けた後、表彰台に上るサイズの場合はお目見えして、そうではなかった場合も釣り上げた者へと返却されるという。
ダンは自分の番号を告げると、取った獲物の名前と番号を書き込んだ紙を渡された。
「しかし、結構なサイズの剣魚ですね。これなら上位を狙えるかも?……そういえば釣り上げた際に怪我人などは出ませんでしたか?」
大会受付の職員が剣魚の大きさに感心していると、思い出したかのように怪我人の有無を聞いてきた。
聞けば剣魚はその性格上非常に好戦的で、釣り上げられると周りを巻き込むように暴れる性質があるという。
「暴れる前に上手く槍で突けたのですか?」
受付職員がダンの後ろについていた冒険者の武器を見て言った。剣魚の頭に付いた傷を見て、刺突武器で攻撃したことに気づいたのだろう。
「いや、この兄ちゃんが剣を抜いて一撃で仕留めたよ」
「え?……あ~、冒険者の参加者でしたか。それで武器は折れてしまったんですか?」
ダンの身体に武器が下げられていないことからそう聞いたのだろう。実際は剣魚を下ろす際に邪魔になった刺突剣は腰のポーチにしまわれている。
「いえ、武器は折れてませんよ? あ、この魚の中に残ってるってことは無いですから安心してください」
ダンは職員が気にしていることを指摘したつもりで答えた。入賞した魚が振舞われると聞いていたので、そこに異物が入っているのか職員は心配したのだと。
実際は全くの見当違いではあるのだが。
職員は疑問符を頭に浮かべ、ついてきてくれた冒険者は「違うぜ兄ちゃんよぉ」と顔を覆っていた。
その後ダンは元居た場所に戻ってくると、釣りを再開した。
「あ~、ダンさんおかえり~」
「はいただいま。皆さんの成果はどうですか?」
そう聞くとキョーコが眉を寄せて答えた。
「それがあの後一匹も釣れなくなっちゃったんだよね~。あのデカイのに散らされちゃったのかな?」
「おや、そうなんですか?」
ダンは釣り竿の先の糸に精神を集中させて、水面下の魚の気配を探ってみる。相手の闘気を探るように魚の生命力を感じ取ろうとする。
するとまばらにしか魚の気配が感じ取れなかった。
「確かに魚は居ない感じがしますね」
「ん~、私もちょっと場所を変えてみます! また後で」
そう言ってキョーコは手早く釣り糸を竿に巻き付けると、餌を少し掬い上げて別の場所へと移動を始めた。
ダンはその後同じ場所で釣り糸を垂らしていた。
『しかし、本当に掛からなくなったのぉ。ダンも移動せんのか?』
今度はダンの頭に移動して座り込んだタマモが聞いてきた。重さがそれほどないタマモが頭に乗っていても苦痛ではない。苦痛では無いが鬱陶しい。
「まあ、生き物相手ですから上手く行かない時もあるのでは?」
「おっしゃ! 来たぁ」
「こっちも食いついた!」
『向こうの方が魚が寄ってきておるようじゃぞ?』
「あ~、そうみたいですね~」
ダンも聞こえてくる声に誘惑されそうになるが、まだここでも釣れるはずと糸を垂らし続ける。
そのままボケーっと時が過ぎていく。
少し離れたところではメンバーが次々と魚を釣り上げていく姿が見えた。
ダンは大きさだけは剣魚がまだ勝てているなと思いつつ、釣りを楽しんでいるメンバーを内心羨ましそうに見ていた。
剣魚以降、ダンの釣り竿もウキも反応すらしなかった。
もはや完全なる桟橋の上のオブジェと化したダン。
実はこの時ある事情からダンの釣り竿に魚が寄ってこない事態になっていたのだが、釣り初心者のダンに気づけるはずもなく、ダンはそのまま1日目の大会終了まで他の魚が食いつくことがなかった。
ダンがその事実に気づいたのは大会2日目が終わった後の事であった。
まだ原因に気づいていないダンはため息を吐きつつ釣り竿を片付けると、宿へと帰って2日目に備えることにしたのだった。
ちなみに時々釣り上げられてしまう魚型魔物への対処には、警備として雇われた冒険者が対処に当たるそうだ。
街中の屋台処などの警備は衛兵が行うらしい。
とりあえず釣りの成果として認められるらしいので、大会受付のところまで持っていくことにしたダン。
「いや、しかしスゲーなあんた。剣魚相手にカウンターで一発かよ」
剣魚と呼ばれる由来ともなる鋭く長い口による被害が出ないように、近くに居た冒険者が受付までついてきてくれるようだ。その冒険者は先程のダンの腕前を凄い凄いと言っている。
剣魚の口を支えるために、その頭蓋周りの骨はかなりの硬さをもっているからだ。
「いや~、本家本元の人からすればまだまだでしたよ」
ダンは自分はまだまだだと言う。
そのダンの脳裏には、以前に敵対した剣士の姿が思い出されていた。その剣士が振るう剣技と共に。
「それにソレも相当な業物だろ?」
そう言われたのは、その剣士から最終的に貰い受けた刺突剣だった。そういえば渡される時に由来がどうとか言っていたような気もするが、
「あ~。貰いものですから、詳しくは分からないですね」と忘れたことを誤魔化して伝えた。
「へ~。……俺に譲ってみたりとか――」
「貰いものを譲る気はありませんよ」
がっかりとしている冒険者を置いておき、ダンは剣魚を大会受付の小屋まで運び終えた。
剣魚はこの後計量をして大会運営で記録を付けた後、表彰台に上るサイズの場合はお目見えして、そうではなかった場合も釣り上げた者へと返却されるという。
ダンは自分の番号を告げると、取った獲物の名前と番号を書き込んだ紙を渡された。
「しかし、結構なサイズの剣魚ですね。これなら上位を狙えるかも?……そういえば釣り上げた際に怪我人などは出ませんでしたか?」
大会受付の職員が剣魚の大きさに感心していると、思い出したかのように怪我人の有無を聞いてきた。
聞けば剣魚はその性格上非常に好戦的で、釣り上げられると周りを巻き込むように暴れる性質があるという。
「暴れる前に上手く槍で突けたのですか?」
受付職員がダンの後ろについていた冒険者の武器を見て言った。剣魚の頭に付いた傷を見て、刺突武器で攻撃したことに気づいたのだろう。
「いや、この兄ちゃんが剣を抜いて一撃で仕留めたよ」
「え?……あ~、冒険者の参加者でしたか。それで武器は折れてしまったんですか?」
ダンの身体に武器が下げられていないことからそう聞いたのだろう。実際は剣魚を下ろす際に邪魔になった刺突剣は腰のポーチにしまわれている。
「いえ、武器は折れてませんよ? あ、この魚の中に残ってるってことは無いですから安心してください」
ダンは職員が気にしていることを指摘したつもりで答えた。入賞した魚が振舞われると聞いていたので、そこに異物が入っているのか職員は心配したのだと。
実際は全くの見当違いではあるのだが。
職員は疑問符を頭に浮かべ、ついてきてくれた冒険者は「違うぜ兄ちゃんよぉ」と顔を覆っていた。
その後ダンは元居た場所に戻ってくると、釣りを再開した。
「あ~、ダンさんおかえり~」
「はいただいま。皆さんの成果はどうですか?」
そう聞くとキョーコが眉を寄せて答えた。
「それがあの後一匹も釣れなくなっちゃったんだよね~。あのデカイのに散らされちゃったのかな?」
「おや、そうなんですか?」
ダンは釣り竿の先の糸に精神を集中させて、水面下の魚の気配を探ってみる。相手の闘気を探るように魚の生命力を感じ取ろうとする。
するとまばらにしか魚の気配が感じ取れなかった。
「確かに魚は居ない感じがしますね」
「ん~、私もちょっと場所を変えてみます! また後で」
そう言ってキョーコは手早く釣り糸を竿に巻き付けると、餌を少し掬い上げて別の場所へと移動を始めた。
ダンはその後同じ場所で釣り糸を垂らしていた。
『しかし、本当に掛からなくなったのぉ。ダンも移動せんのか?』
今度はダンの頭に移動して座り込んだタマモが聞いてきた。重さがそれほどないタマモが頭に乗っていても苦痛ではない。苦痛では無いが鬱陶しい。
「まあ、生き物相手ですから上手く行かない時もあるのでは?」
「おっしゃ! 来たぁ」
「こっちも食いついた!」
『向こうの方が魚が寄ってきておるようじゃぞ?』
「あ~、そうみたいですね~」
ダンも聞こえてくる声に誘惑されそうになるが、まだここでも釣れるはずと糸を垂らし続ける。
そのままボケーっと時が過ぎていく。
少し離れたところではメンバーが次々と魚を釣り上げていく姿が見えた。
ダンは大きさだけは剣魚がまだ勝てているなと思いつつ、釣りを楽しんでいるメンバーを内心羨ましそうに見ていた。
剣魚以降、ダンの釣り竿もウキも反応すらしなかった。
もはや完全なる桟橋の上のオブジェと化したダン。
実はこの時ある事情からダンの釣り竿に魚が寄ってこない事態になっていたのだが、釣り初心者のダンに気づけるはずもなく、ダンはそのまま1日目の大会終了まで他の魚が食いつくことがなかった。
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