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狂王の塔に挑む。(魔法王の塔なんだけどなぁbyダン)
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『狂王の塔』
塔の外縁として作られた、かつての貴族たちの保有地に囲まれたダンジョン。
アンデッド系ダンジョンとして有名で、まずは保有地に現れるアンデッド系魔物を討伐して進まなければ到達することが叶わない。
かつてギルドが調査した結果では、やはりダンジョンの中心は塔の可能性が高いが、中央の塔にたどり着いて生還した冒険者が居なかった為、塔内の詳細は不明だそうだ。
また塔外縁の保養地内にしても、とても強力な騎士型アンデッドなどの稀に戦闘能力の高い魔物が紛れており、推測ではあるが戦闘訓練を積んだ貴族のアンデッドが(貴族でもピンキリである)居ることが考えられている。
またダンジョン化の特徴として、アンデッド達は完全駆逐が不可能との結論に達した。これは外縁部から制圧を行おうとした作戦でも敵が尽きなかったことと、前進していると後ろから襲われる者が出たことから判明した。
他いくつかの要因はあるが、以上のことから『狂王の塔』攻略は素早く外縁部を通過し、その後塔に侵入。ダンジョンの核となる物あるいは魔物を発見し破壊することが提言された。
しかし、それは机上の空論として片づけられた。
ダンジョン攻略となれば何日もかかるものだし、アンデッド達が無限に復活する中をどうやって進むのか、休息をどう取ればいいのか誰も答えられなかったからだ。
以来、王国や冒険者ギルドは『狂王の塔』を注視しつつも、不可侵地帯として暗黙の了解のもと位置づけることとした――
「はずだよな?」
「え~、ソウデシタネ~」
「ちょ、ウェンディ! なんか魂が抜けてない!?」
ファーニとウェンディとマロンがそれぞれ手から魔法を放ちながら、『狂王の塔』外縁部の道をゆっくりと進んで行く。
他のメンバーもクローディアは弓を使い後方から支援して、リルとイリア、ロウキの3人は遊撃として闘気を纏わせた格闘で脇道などから現れるアンデッドを蹴散らし、ポーラとライとリンがサニーとキョーコを中心に据えて3方向を警戒しながら進む。
「まったく、事前の心構えくらい欲しかったわ。ファイアーアロー!」
キョーコは頭上から攻撃してきたゴースト系の魔物相手に火魔法を放つ。その魔法はゴーストをすり抜けると、ゴーストの表情が苦痛のものへと変わる。が、そのままキョーコへと突き進んできた。
それを見るとキョーコは「ふん」と持っている武器へと闘気を纏わせて、その刃先をゴーストへと突き立てる。
『グアアアアアァァァァァ……』
ゴーストは苦悶の表情を浮かべ、絶叫しながら自身へと刺さった刃を抜こうと手を動かすが、それよりも刃が刺さった場所から体が消滅していった。
「やっぱりダンさんの言ったとおりね」
キョーコは少し前のダンとの会話を思い出していた。
「はい! ではこれより『魔法王の塔』探索へ向かいたいと思います!」
『大橋』から西に進み始めてから少しして、突然道を外れて北上を始めたダンにメンバーの半数は不思議顔ながらも追いていく。そこは道なき道かと思いきや、よく見れば草の隙間から等間隔に置かれた石など、かつては道があったであろう跡が残っていた。
そこを歩いていくと目の前に崩壊しつつも外壁の名残を残す建築物が見え始めた。
そこまで来て、ようやくダンが先程の言葉を発したのだ。
ちなみにこの発言時、不思議顔をしていなかったメンバーの更に半数が、死んだような遠い目をしていたのが印象的だった。
「ふ~ん? 『魔法王の塔』ですか。それはダンジョンか何かでしょうか? この先から魔素の匂いが濃くなって漂ってくるんですけど」
鼻を押さえつつリルがダンへと問いかける。別に魔素それ自体が臭いわけではないが、どうも先程から魔素が濃くなると同時に何かしらの臭いが漂ってきているようだ。
同じく鼻が利くロウキも顔を顰めている。
それに答えたのはウェンディだった。
「この先には先々代……ぐらいの王の没した塔があるはずです。その名も『狂王の塔』と呼ばれるアンデッド特化のダンジョンが」
「あ~、まあ簡単に説明すると、そうです。ただ『狂王の塔』じゃなくて『まほうお』――」
ウェンディの説明に、まあ間違っていないなと頷くダン。だが一応訂正を入れようかとしたら、
「さすがにちょっと無謀じゃないですか!? 冒険者ギルドですら不可侵地帯に認定した場所なんですよ! つまりは『触らぬ神に祟りなし』! 確かに自然神を信仰する身としては、アンデッドは『彷徨える魂』の相手。どうにかしてあげたい気持ちはありますがダンジョンの魔物となるとその……」
怒涛の如くウェンディに責められた。他にも冒険者として噂などを聞いたことがあるのかファーニとマロンも『マジかこの人』といった表情をしている。
「でも皆さんの力量なら問題なく進めると思うんですけど?」
「普段戦う魔物ならいざ知らず、アンデッド系の魔物は特殊な討伐が必要と聞きます。聖水や、魔法攻撃でないと致命傷を与え――そういえばダンさん以前にアンデッド討伐してましたよね?」
ふと以前の『村』での光景を思い返す。あの時ダンは無手でアンデッドを討伐していた。
「討伐? あ~、村でのことですか? あれはどちらかといえば討伐では無いんですけど」
「まさかアンデッドに効くアーツなどが?」
「えっと、あれはアーツとかではなく――」
ダンのアドバイスを聞いていたファーニは、魔法を放とうと右腕を持ち上げると眼前のアンデッド、スケルトンへと向ける。そしてダンのアドバイスを言葉で繰り返して実行する。
「闘気で腕を覆って、それから魔法を、放つ! ファイアーショット!」
火魔法の初期魔法を腕から放つファーニ。それは火の塊といえる玉を打ち出す初級魔法だ。一応は魔法なのでアンデッドへと効果はあるが、矢として放つアローや炸裂弾としてのボールなどと比べれば攻撃力は低い。しかし――
ド、ドン! とスケルトンの体が2度震えて、バラバラに吹き飛んだ。
「すげー、あたしの魔法でもアンデッド倒せたぜ!」
「嬉しいのは分かりますが、攻撃の手は緩めないでくださいよ?」
そう言ったウェンディも同じように、闘気で覆われた腕から「アクアショット!」と水の塊をスケルトンへと飛ばす。
結果は先程のファーニと同じようにスケルトンをバラバラへと変えた。
「ウィンドショット!……あ~、ウチはこれで魔力切れだね」
自分の体内の魔力残量から打ち止めを宣言したマロンは、マジックバッグから戦槌を取り出すと闘気を込める。
「だな、あたしも魔法よりはコッチに替えるわ」
そう言ってファーニも双剣を抜いた。同じく闘気を刃へと流す。
「しかし、まさかアンデッドは闘気に当たると衝撃を食らうなんてね~。ダンさんの言葉でも、実際に見るまで信じられなかったよ」
そのファーニの言葉にウェンディも頷く。
ダンが「僕は魔法が苦手だから詳しくは説明出来ないんですけど」と前置きをしてから始めた説明に、メンバー全員が驚いていたものだ。特に冒険者としてダン達より少し長く経験をしてきた3人にとっては青天の霹靂であった。
「まず皆さんが聖水と言っているのは神気と闘気が浸透した水です」
まず、待ってほしいとウェンディは思った。
聖水とは神殿にて神に祈りを捧げて聖別された水の事を言う。だから神気は分かる。そちらは分かるが、闘気も含まれているとの説明には驚きしかない。
だがダンの説明は止まらない。
「神気はアンデッドにダメージを与えます。これは属性が関係しているらしいのですが、その辺りはよく説明されても分からなかったので端折ります」
「端折らないで!?」
「そしてもう一つの闘気。これ実はアンデッドの持つ負の闘気のようなものとぶつかり合う。というか干渉するらしいんですよ。なので、聖水が無い時のアンデッド対処方として知り合いから教えて貰ったのが、『攻撃を闘気で覆えばアンデッドを殴れる』! ということです」
『そこは『殴る』なんですね』とウェンディは心の中でツッコミを入れた。もはやウェンディの精神力は消える寸前のロウソク並みだった。
「そして『闘気で覆った腕から放つ魔法は、闘気に覆われて出てくる』ということを教わりました。消耗は闘気、魔力の両方となりますが、魔法だけで放つよりも効果は上だそうです」
「ま、理屈はともかく、攻撃手段が増えたことはいいことだぜ!」
種族的に魔力が少ないファーニとマロンが直接攻撃に切り替える。ウェンディもまだ余裕はあるが、仲間の回復が必要になるかもしれないので自身のメイスのような武器を構えた。
そこで視界に入る非常識。
アンデッドの背後からスッと現れたダンが一瞬にしてその頭部を刎ねていたのだ。素手で。
そしてまたスッと音もなく姿を消すダン。
「……アンデッドって生き物の気配に敏感なはずなのに、どうやって奇襲してるのかしら?」
とりあえず頭の片隅に疑問として残しておきつつ、ウェンディも戦闘へと参加した。
塔の外縁として作られた、かつての貴族たちの保有地に囲まれたダンジョン。
アンデッド系ダンジョンとして有名で、まずは保有地に現れるアンデッド系魔物を討伐して進まなければ到達することが叶わない。
かつてギルドが調査した結果では、やはりダンジョンの中心は塔の可能性が高いが、中央の塔にたどり着いて生還した冒険者が居なかった為、塔内の詳細は不明だそうだ。
また塔外縁の保養地内にしても、とても強力な騎士型アンデッドなどの稀に戦闘能力の高い魔物が紛れており、推測ではあるが戦闘訓練を積んだ貴族のアンデッドが(貴族でもピンキリである)居ることが考えられている。
またダンジョン化の特徴として、アンデッド達は完全駆逐が不可能との結論に達した。これは外縁部から制圧を行おうとした作戦でも敵が尽きなかったことと、前進していると後ろから襲われる者が出たことから判明した。
他いくつかの要因はあるが、以上のことから『狂王の塔』攻略は素早く外縁部を通過し、その後塔に侵入。ダンジョンの核となる物あるいは魔物を発見し破壊することが提言された。
しかし、それは机上の空論として片づけられた。
ダンジョン攻略となれば何日もかかるものだし、アンデッド達が無限に復活する中をどうやって進むのか、休息をどう取ればいいのか誰も答えられなかったからだ。
以来、王国や冒険者ギルドは『狂王の塔』を注視しつつも、不可侵地帯として暗黙の了解のもと位置づけることとした――
「はずだよな?」
「え~、ソウデシタネ~」
「ちょ、ウェンディ! なんか魂が抜けてない!?」
ファーニとウェンディとマロンがそれぞれ手から魔法を放ちながら、『狂王の塔』外縁部の道をゆっくりと進んで行く。
他のメンバーもクローディアは弓を使い後方から支援して、リルとイリア、ロウキの3人は遊撃として闘気を纏わせた格闘で脇道などから現れるアンデッドを蹴散らし、ポーラとライとリンがサニーとキョーコを中心に据えて3方向を警戒しながら進む。
「まったく、事前の心構えくらい欲しかったわ。ファイアーアロー!」
キョーコは頭上から攻撃してきたゴースト系の魔物相手に火魔法を放つ。その魔法はゴーストをすり抜けると、ゴーストの表情が苦痛のものへと変わる。が、そのままキョーコへと突き進んできた。
それを見るとキョーコは「ふん」と持っている武器へと闘気を纏わせて、その刃先をゴーストへと突き立てる。
『グアアアアアァァァァァ……』
ゴーストは苦悶の表情を浮かべ、絶叫しながら自身へと刺さった刃を抜こうと手を動かすが、それよりも刃が刺さった場所から体が消滅していった。
「やっぱりダンさんの言ったとおりね」
キョーコは少し前のダンとの会話を思い出していた。
「はい! ではこれより『魔法王の塔』探索へ向かいたいと思います!」
『大橋』から西に進み始めてから少しして、突然道を外れて北上を始めたダンにメンバーの半数は不思議顔ながらも追いていく。そこは道なき道かと思いきや、よく見れば草の隙間から等間隔に置かれた石など、かつては道があったであろう跡が残っていた。
そこを歩いていくと目の前に崩壊しつつも外壁の名残を残す建築物が見え始めた。
そこまで来て、ようやくダンが先程の言葉を発したのだ。
ちなみにこの発言時、不思議顔をしていなかったメンバーの更に半数が、死んだような遠い目をしていたのが印象的だった。
「ふ~ん? 『魔法王の塔』ですか。それはダンジョンか何かでしょうか? この先から魔素の匂いが濃くなって漂ってくるんですけど」
鼻を押さえつつリルがダンへと問いかける。別に魔素それ自体が臭いわけではないが、どうも先程から魔素が濃くなると同時に何かしらの臭いが漂ってきているようだ。
同じく鼻が利くロウキも顔を顰めている。
それに答えたのはウェンディだった。
「この先には先々代……ぐらいの王の没した塔があるはずです。その名も『狂王の塔』と呼ばれるアンデッド特化のダンジョンが」
「あ~、まあ簡単に説明すると、そうです。ただ『狂王の塔』じゃなくて『まほうお』――」
ウェンディの説明に、まあ間違っていないなと頷くダン。だが一応訂正を入れようかとしたら、
「さすがにちょっと無謀じゃないですか!? 冒険者ギルドですら不可侵地帯に認定した場所なんですよ! つまりは『触らぬ神に祟りなし』! 確かに自然神を信仰する身としては、アンデッドは『彷徨える魂』の相手。どうにかしてあげたい気持ちはありますがダンジョンの魔物となるとその……」
怒涛の如くウェンディに責められた。他にも冒険者として噂などを聞いたことがあるのかファーニとマロンも『マジかこの人』といった表情をしている。
「でも皆さんの力量なら問題なく進めると思うんですけど?」
「普段戦う魔物ならいざ知らず、アンデッド系の魔物は特殊な討伐が必要と聞きます。聖水や、魔法攻撃でないと致命傷を与え――そういえばダンさん以前にアンデッド討伐してましたよね?」
ふと以前の『村』での光景を思い返す。あの時ダンは無手でアンデッドを討伐していた。
「討伐? あ~、村でのことですか? あれはどちらかといえば討伐では無いんですけど」
「まさかアンデッドに効くアーツなどが?」
「えっと、あれはアーツとかではなく――」
ダンのアドバイスを聞いていたファーニは、魔法を放とうと右腕を持ち上げると眼前のアンデッド、スケルトンへと向ける。そしてダンのアドバイスを言葉で繰り返して実行する。
「闘気で腕を覆って、それから魔法を、放つ! ファイアーショット!」
火魔法の初期魔法を腕から放つファーニ。それは火の塊といえる玉を打ち出す初級魔法だ。一応は魔法なのでアンデッドへと効果はあるが、矢として放つアローや炸裂弾としてのボールなどと比べれば攻撃力は低い。しかし――
ド、ドン! とスケルトンの体が2度震えて、バラバラに吹き飛んだ。
「すげー、あたしの魔法でもアンデッド倒せたぜ!」
「嬉しいのは分かりますが、攻撃の手は緩めないでくださいよ?」
そう言ったウェンディも同じように、闘気で覆われた腕から「アクアショット!」と水の塊をスケルトンへと飛ばす。
結果は先程のファーニと同じようにスケルトンをバラバラへと変えた。
「ウィンドショット!……あ~、ウチはこれで魔力切れだね」
自分の体内の魔力残量から打ち止めを宣言したマロンは、マジックバッグから戦槌を取り出すと闘気を込める。
「だな、あたしも魔法よりはコッチに替えるわ」
そう言ってファーニも双剣を抜いた。同じく闘気を刃へと流す。
「しかし、まさかアンデッドは闘気に当たると衝撃を食らうなんてね~。ダンさんの言葉でも、実際に見るまで信じられなかったよ」
そのファーニの言葉にウェンディも頷く。
ダンが「僕は魔法が苦手だから詳しくは説明出来ないんですけど」と前置きをしてから始めた説明に、メンバー全員が驚いていたものだ。特に冒険者としてダン達より少し長く経験をしてきた3人にとっては青天の霹靂であった。
「まず皆さんが聖水と言っているのは神気と闘気が浸透した水です」
まず、待ってほしいとウェンディは思った。
聖水とは神殿にて神に祈りを捧げて聖別された水の事を言う。だから神気は分かる。そちらは分かるが、闘気も含まれているとの説明には驚きしかない。
だがダンの説明は止まらない。
「神気はアンデッドにダメージを与えます。これは属性が関係しているらしいのですが、その辺りはよく説明されても分からなかったので端折ります」
「端折らないで!?」
「そしてもう一つの闘気。これ実はアンデッドの持つ負の闘気のようなものとぶつかり合う。というか干渉するらしいんですよ。なので、聖水が無い時のアンデッド対処方として知り合いから教えて貰ったのが、『攻撃を闘気で覆えばアンデッドを殴れる』! ということです」
『そこは『殴る』なんですね』とウェンディは心の中でツッコミを入れた。もはやウェンディの精神力は消える寸前のロウソク並みだった。
「そして『闘気で覆った腕から放つ魔法は、闘気に覆われて出てくる』ということを教わりました。消耗は闘気、魔力の両方となりますが、魔法だけで放つよりも効果は上だそうです」
「ま、理屈はともかく、攻撃手段が増えたことはいいことだぜ!」
種族的に魔力が少ないファーニとマロンが直接攻撃に切り替える。ウェンディもまだ余裕はあるが、仲間の回復が必要になるかもしれないので自身のメイスのような武器を構えた。
そこで視界に入る非常識。
アンデッドの背後からスッと現れたダンが一瞬にしてその頭部を刎ねていたのだ。素手で。
そしてまたスッと音もなく姿を消すダン。
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