63 / 76
第五章
第63話 魔王の配下たち
しおりを挟む
魔界の中心にあるカーマ山地に、四本の黒い尖塔に囲まれた黒壁の城が建っていた。どこもかしこも黒一色の城は、霧立つ山地の中、まるで影絵のように浮かんで見えた。
あれが魔王城、ということになるのか。
「何とも悪趣味だな」
僕は一言呟いてから、城門の前に降り立った。
すると門は自動で開いた。
城の出入り口の扉も同様だ。重厚な鋼鉄で出来た扉がゆっくりと開かれる。
まるで僕の行く先を示しているかのように漆黒の絨毯の道が続いている。
両脇には使用人や兵士たちが均等に並んでいた。
僕が漆黒の道を歩き出すと彼らは恭しく一礼をする。
その先には魔物の彫刻がほどこされた大きな扉があり、その前に立っていたのは大柄な青年と、美しい青年、そして美しい女性だ。
「邪神アレム様の命により、あなたに仕えることになりました。自分の名はバシュドラーン=エレスタと申します」
屈強な青年が胸に手を当て自己紹介をする。
美しい女性もそれに続き自己紹介をする。
「私の名はメルザ=レアーナでございます」
続けて美しい青年も二人と同様、胸に手を当て一礼をする。
「私の名はオルティス=ハインシュです。以後よしなに」
三人とも黒い鎧を纏い、見るからに戦士であることが分かる。しかも立派な武具からしてかなり上位の騎士なのだろう……いや、魔族の世界に騎士というものは存在しないのかもしれないが。
ふと気になったのはバシュドラーンと名乗った青年だ。
彼と目が合った時、奇妙な既視感を覚えた。
何だか初めて会ったような気がしない。
頬には三日月型の切り傷がある。
僕の視線に気づいたのか、バシュドラーンはクスリと笑った。
「自分は以前、人間でした。仲間達が理不尽に殺されたにも関わらず、何も出来なかった……その無念の思いをくみ取って下さったアレム様が、自分に力を与えて下さったのです」
「まさか……お前……バーシュか?」
「はい」
イルの親友だったバーシュ。
僕の元にイルの亡骸を届けてくれたのも彼だった。
人間だった時も大柄な青年ではあったけど、今はあの頃よりも一回り大きくなっている。
今の姿はどう見ても魔族だ。
黒い短い髪の毛、紫の瞳、そして尖った耳に、頭には牛のような角が生えていた。
魔族の中でも特に屈強な種族であるオーガそのものだ。
「お前も魔族の身体に作り変えられたのか?」
「はい。あなたと同じように。二年前に暗黒卵から孵化しました。貴方は大いなる力を育む為に、自分よりも孵化に時間がかかったのだと思います」
僕を魔族に変えたあの卵は暗黒卵というのか。
ふと、その時肝心なことを思い出し、僕はバシュドラーンに訪ねた。
「そうだ、イルは? あの後イルはどうなったんだ?」
「イルは隣国に嫁いだ妹に託しました。妹夫婦には子がいないので、イルのことをとても歓迎していました。きっと大切に育ててくれるでしょう」
イルの行く末を案じていた僕には嬉しい知らせだった。
今度は両親に愛され、幸せに暮らせますように。
僕はそう願わすにはいられなかった。
バシュドラーンの話が一区切りついた所で、美しい女性が前に出てきた。
褐色の肌に長く尖った耳、長い髪の毛は灰色がかった桜色、目の色も同じ色だった。
「私はダークエルフ族族長の娘です。邪神アレム様のお導きにより、あなた様をお待ちしておりました」
「ああ、よろしく。メルザ」
僕がにこりと笑って頷くと、メルザは驚いたように目を見張った。
けれども次の瞬間嬉しそうに破顔して一礼をする。
バシュドラーンが可笑しそうに笑いながら僕に教えてくれる。
「メルザはもっと恐ろしい人を想像していたみたいですよ」
「バーシュ、余計なことを言わないで!」
顔を真っ赤にして怒鳴るメルザ。彼女はバシュドラーンのことをバーシュって呼ぶのか。
二人は何だか親しそうだな。
「私もメルザと同様、アレム神の導きによりここに来ました。魔王様、私に出来る事がありましたら、何なりとお申しつけ下さい」
ふわりと微笑するオルティスは、男の僕から見ても美しい男だった。
エルフの血とオーガの血を引く彼は、エルフの美しさとオーガの屈強さ両方を受け継いでいた。
四将軍の中でも一番強かったのは恐らく彼だったのだと思う。
オルティスは僕に促した。
「さあ参りましょう。この日のために私共が鍛え上げた精兵達もあなたを待っております」
重厚な扉が開かれると、そこから先は謁見の間だ。
僕は三人の配下たちを連れ、玉座をめざし歩き出した。
魔王城の謁見の間には、多くの兵士たちが整列していた。
屈強な戦士らしき者もいれば、魔術師らしき者もいる。全員微動だにせずまっすぐ前を見ていた。
人間の頃の僕だったら、その気迫に飲まれていたところだ。
だけど今の僕にとっては、人形が並んでいるにも等しい、そんな感覚だ。
漆黒の絨毯の道を歩み、その先にある玉座に腰掛けた僕は、バシュドラーン、メルザ、オルティスを横に据え、整列する魔族たちをぐるりと見回した。
僕は彼らの前で宣言をする。
「邪神アレムの天啓により、これより僕がお前達の王となる。ただちに我が指揮の下、人界にある国、ラダ国への侵攻の準備を命ずる。異論は許さぬ」
「「「「「ははっ! 魔王様の仰せのままに」」」」」
その日、魔王が誕生したと同時に一つの国が地図上から消えた。
あれが魔王城、ということになるのか。
「何とも悪趣味だな」
僕は一言呟いてから、城門の前に降り立った。
すると門は自動で開いた。
城の出入り口の扉も同様だ。重厚な鋼鉄で出来た扉がゆっくりと開かれる。
まるで僕の行く先を示しているかのように漆黒の絨毯の道が続いている。
両脇には使用人や兵士たちが均等に並んでいた。
僕が漆黒の道を歩き出すと彼らは恭しく一礼をする。
その先には魔物の彫刻がほどこされた大きな扉があり、その前に立っていたのは大柄な青年と、美しい青年、そして美しい女性だ。
「邪神アレム様の命により、あなたに仕えることになりました。自分の名はバシュドラーン=エレスタと申します」
屈強な青年が胸に手を当て自己紹介をする。
美しい女性もそれに続き自己紹介をする。
「私の名はメルザ=レアーナでございます」
続けて美しい青年も二人と同様、胸に手を当て一礼をする。
「私の名はオルティス=ハインシュです。以後よしなに」
三人とも黒い鎧を纏い、見るからに戦士であることが分かる。しかも立派な武具からしてかなり上位の騎士なのだろう……いや、魔族の世界に騎士というものは存在しないのかもしれないが。
ふと気になったのはバシュドラーンと名乗った青年だ。
彼と目が合った時、奇妙な既視感を覚えた。
何だか初めて会ったような気がしない。
頬には三日月型の切り傷がある。
僕の視線に気づいたのか、バシュドラーンはクスリと笑った。
「自分は以前、人間でした。仲間達が理不尽に殺されたにも関わらず、何も出来なかった……その無念の思いをくみ取って下さったアレム様が、自分に力を与えて下さったのです」
「まさか……お前……バーシュか?」
「はい」
イルの親友だったバーシュ。
僕の元にイルの亡骸を届けてくれたのも彼だった。
人間だった時も大柄な青年ではあったけど、今はあの頃よりも一回り大きくなっている。
今の姿はどう見ても魔族だ。
黒い短い髪の毛、紫の瞳、そして尖った耳に、頭には牛のような角が生えていた。
魔族の中でも特に屈強な種族であるオーガそのものだ。
「お前も魔族の身体に作り変えられたのか?」
「はい。あなたと同じように。二年前に暗黒卵から孵化しました。貴方は大いなる力を育む為に、自分よりも孵化に時間がかかったのだと思います」
僕を魔族に変えたあの卵は暗黒卵というのか。
ふと、その時肝心なことを思い出し、僕はバシュドラーンに訪ねた。
「そうだ、イルは? あの後イルはどうなったんだ?」
「イルは隣国に嫁いだ妹に託しました。妹夫婦には子がいないので、イルのことをとても歓迎していました。きっと大切に育ててくれるでしょう」
イルの行く末を案じていた僕には嬉しい知らせだった。
今度は両親に愛され、幸せに暮らせますように。
僕はそう願わすにはいられなかった。
バシュドラーンの話が一区切りついた所で、美しい女性が前に出てきた。
褐色の肌に長く尖った耳、長い髪の毛は灰色がかった桜色、目の色も同じ色だった。
「私はダークエルフ族族長の娘です。邪神アレム様のお導きにより、あなた様をお待ちしておりました」
「ああ、よろしく。メルザ」
僕がにこりと笑って頷くと、メルザは驚いたように目を見張った。
けれども次の瞬間嬉しそうに破顔して一礼をする。
バシュドラーンが可笑しそうに笑いながら僕に教えてくれる。
「メルザはもっと恐ろしい人を想像していたみたいですよ」
「バーシュ、余計なことを言わないで!」
顔を真っ赤にして怒鳴るメルザ。彼女はバシュドラーンのことをバーシュって呼ぶのか。
二人は何だか親しそうだな。
「私もメルザと同様、アレム神の導きによりここに来ました。魔王様、私に出来る事がありましたら、何なりとお申しつけ下さい」
ふわりと微笑するオルティスは、男の僕から見ても美しい男だった。
エルフの血とオーガの血を引く彼は、エルフの美しさとオーガの屈強さ両方を受け継いでいた。
四将軍の中でも一番強かったのは恐らく彼だったのだと思う。
オルティスは僕に促した。
「さあ参りましょう。この日のために私共が鍛え上げた精兵達もあなたを待っております」
重厚な扉が開かれると、そこから先は謁見の間だ。
僕は三人の配下たちを連れ、玉座をめざし歩き出した。
魔王城の謁見の間には、多くの兵士たちが整列していた。
屈強な戦士らしき者もいれば、魔術師らしき者もいる。全員微動だにせずまっすぐ前を見ていた。
人間の頃の僕だったら、その気迫に飲まれていたところだ。
だけど今の僕にとっては、人形が並んでいるにも等しい、そんな感覚だ。
漆黒の絨毯の道を歩み、その先にある玉座に腰掛けた僕は、バシュドラーン、メルザ、オルティスを横に据え、整列する魔族たちをぐるりと見回した。
僕は彼らの前で宣言をする。
「邪神アレムの天啓により、これより僕がお前達の王となる。ただちに我が指揮の下、人界にある国、ラダ国への侵攻の準備を命ずる。異論は許さぬ」
「「「「「ははっ! 魔王様の仰せのままに」」」」」
その日、魔王が誕生したと同時に一つの国が地図上から消えた。
3
あなたにおすすめの小説
天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました
藤吉めぐみ
BL
高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。
ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。
そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。
冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで……
優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
記憶を失くしたはずの元夫が、どうか自分と結婚してくれと求婚してくるのですが。
鷲井戸リミカ
BL
メルヴィンは夫レスターと結婚し幸せの絶頂にいた。しかしレスターが勇者に選ばれ、魔王討伐の旅に出る。やがて勇者レスターが魔王を討ち取ったものの、メルヴィンは夫が自分と離婚し、聖女との再婚を望んでいると知らされる。
死を望まれたメルヴィンだったが、不思議な魔石の力により脱出に成功する。国境を越え、小さな町で暮らし始めたメルヴィン。ある日、ならず者に絡まれたメルヴィンを助けてくれたのは、元夫だった。なんと彼は記憶を失くしているらしい。
君を幸せにしたいと求婚され、メルヴィンの心は揺れる。しかし、メルヴィンは元夫がとある目的のために自分に近づいたのだと知り、慌てて逃げ出そうとするが……。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】義妹(いもうと)を応援してたら、俺が騎士に溺愛されました
未希かずは(Miki)
BL
「ねえ、私だけを見て」
これは受けを愛しすぎて様子のおかしい攻めのフィンと、攻めが気になる受けエリゼオの恋のお話です。
エリゼオは母の再婚により、義妹(いもうと)ができた。彼には前世の記憶があり、その前世の後悔から、エリゼオは今度こそ義妹を守ると誓う。そこに現れた一人の騎士、フィン。彼は何と、義妹と両想いらしい。けれど付き合えていない義妹とフィンの恋を応援しようとするエリゼオ。けれどフィンの優しさに触れ、気付けば自分がフィンを好きになってしまった。
「この恋、早く諦めなくちゃ……」
本人の思いとはうらはらに、フィンはエリゼオを放っておかない。
この恋、どうなる!? じれキュン転生ファンタジー。ハピエンです。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる