beat down

もち

文字の大きさ
27 / 53
第1章 until you die

第27話 ポイズンフロッグ

しおりを挟む

「パンドラボックスを直せる人を知ってる。私は今からそこに行く」

 食事を終えて外に出る支度をしていると、ブリッツが無線機を渡してきた。

「これはあたし特製の電気が流れてる。あたしが死なない限り、電池も電源も使わずに連絡できるよ」

 ブリッツはソファから立ち上がって部屋のドアノブに手をかけた。
「さ、行こっか」



 建物から出ると、そこは寂れたスラム街だった。路地にはウジの湧いた人間が横たわり、そこらの建物は全て汚くボロい。身なりの良い人間はブリッツぐらいしか見当たらず、都心とは全く違った景色が広がっていた。

「ここは神の目も届かない暗がりだよ」

 ブリッツはすれ違う無法者たちに笑顔を見せながらズカズカと歩く。その様子はまるで、街のボスのように堂々とした態度だった。

「ま、こいつらはいわゆるクズだ。あたしが面倒見てやってるだけだから、気にせず行こうぜ。アテはあるのか?」

 ブリッツは私の手を引いてそそくさとスラム街を闊歩する。

「コッカイギジドーに続いてるどこかの駅に、鋼技こうぎ屋って店がある。そこの知り合いなら、もしかしたら頼れるかもしれない」

 次に行くべき場所を決め、味方も増えた矢先に奴らの刺客が来た。


 
「やぁ君達」

 不気味な笑顔を浮かべたそいつは、すぐさま顔に赤い筋を浮き出させる。体には斑模様が浮かび上がり、見るからに毒々しい見た目になっていった。

「スノウ、ちょうどいい機会だからあたしの素晴らしく最強な力をお披露目するよ」

 ブリッツは背の直剣を抜き、左腕を振ってカイトシールドを展開する。身体には僅かに赤い稲妻が走り、バリバリと唸っている。
 ブリッツと神の両者は戦闘態勢に入り、互いに殺気を飛ばしあっている。

「おらぁ!」
 神は口から毒液のようなものを打ち出してブリッツへ先制攻撃をする。

 ベチャ――

 ブリッツはカイトシールドで毒液を防ぐが、ほんの僅か1滴が体に当たる。しかし彼女は気づかずに、即座に剣を構え、神に一閃。

「お、おいブリッツ、どこ狙ってるんだ?」

 彼女の振るった剣はあらぬ方向を切り裂く。神はそれを見るとにんまりと笑い、舌とヨダレを出しながら私を見てきた。

「君達は僕の毒に犯されて、自分の都合のいい映像を見て、僕に殺されるんだぁ!」
 神は私に向けて毒液を吐き出す。

「『アイスフィルム』」

 私は考えるよりも先に動いていた。
 手で空を撫でると、私の周囲には見えないほど薄く透き通った氷の膜が張られていく。その膜が神の毒液を防ぐ。

「なかなか賢いねぇ君」

 息巻いていたブリッツは使えず、パンドラボックスがない今、この状況は自分の実力がどれほどのものか試せる絶好の機会だった。
 私は拳を握り、舌を出している斑の神を見る。

「やってやる」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...