【完結】フェンリルと勇者と魔王と王子

turarin

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訓練1

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アキラの頭の中はぐちゃぐちゃだった。あてにもならない誓いを信じるしかない。正直、帰れる保証は無いということだ。

だが、酸いも甘いも噛み分けてきたおじさんだ。諦めは悪い。辛く苦しいときは先ず目の前の事を一つずつ乗り越える。乗り越えたら、もう一つ…と、そうすれば最終的に大きな試練も乗り越えられる…はず。
人生の山は登りきって、残りは下り坂。ゆっくり下りていくだけと思っていたのに…やってやろうじゃないか。まずは魔王とやらを倒しに行って無事にここに戻ってくることだ。そして、あちらへ帰れると信じよう。
待っていてくれるだろうか。本当にすまない。

というわけで、魔王討伐の旅の準備だ。
まず、聖剣の使い方や、魔法?の修行に入るらしい。

やって来たのはウィルバートだ。そういえば筆頭魔法使いって言ってたな。

「魔王討伐の依頼、受けてくださりありがとうございます。召喚することばかり考えておりました。アキラ様やミミ様の人生を奪ってしまうこととは全く考えが及びませんでした。本当に申し訳ありません。討伐の旅には私と騎士団長も同行致します。」

「もう、いいよ。まずは魔王を倒すんだろ。ウィルバート殿、その、堅苦しい話し方も止めないか?討伐チームの仲間だろ。俺のことはアキラと、呼んでくれ。ウィルバートも、長いからウィル?でどうだ?」

「よろしいのですか?」
「ほら、また!」
「あ…いいのかな?アキラと呼んで」
「勿論だ、ウィル」

「では、まず魔力量と性質を確認しよう。召喚された時にものすごい魔力が一瞬感じられたから、多分膨大な量の魔力がありそうだ。
私の手を掴んでくれ」

「……………………アキラ、これはすごい!全属性、魔力量も素晴らしいよ」

「あ、そうなんだ…」
自分が信じられないな。魔力とか魔法とか。

「これほどの魔力があるなら、魔力の流れが感じられるようになったら、後は、どうしたいか想像するだけでいい。私の魔力を少しずつ流してみるから、流れを感じてみてくれ」

「あ…、ああ、分かった」

温かい感じが両手の指先から入ってきて、そのまま首、頭、そしてまた首から下、胸、腹、足へと伝わっていく。不思議な感じ…そして循環する。気がつくと、色が違う感じのものも力強く体内を巡っている…これが俺の魔力か…ウィルの魔力の色は水色。俺の魔力は青だ…無意識に目を閉じていた。ぱっと目を開けると、ものすごい美男子(この言葉死後?)と、手をつないでいて、超至近距離で目が合ってしまう。

「うわっ」
思わず手を離す。ドキドキした…おいおいやめてくれ。親父がイケメンにドキドキとか…なんなら少し顔が熱い。こいつ無自覚イケメンだな…金色の目ってあり得ないだろ。

「流れ、分かったみたいだな。これから先は早いぞ。今日はここまでにしよう。この後騎士団で剣の修練をつんでくれ。送っていくよ」








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