【完結】フェンリルと勇者と魔王と王子

turarin

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魔王城にて(ソラとウィル2)

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「俺は運命の番と言うものが分かった気がする。ソラの魔力が、俺の魔力と混じり合った時、真に幸せを感じた、と思う。他の誰と居てもそんなふうに感じたことは無い。ただ、俺は男と付き合ったことは無いが。」

「ふうん、女と付き合った事はあるのか?」
「そりゃ、まあそれなりに。俺を何歳だと思っているんだ。お前だってあるだろ?」
「当然だ。魔王は特にモテるからな。」
暫しムッとする2人であったが、
「なら、上書きすればいいではないか」

嬉しそうに椅子から立ち上がり、痛くないように、そうっとウィルの身体を抱き締めるソラ。布団の上からだけど。 

「ずっとこうしたかった。」
包帯のまかれていないウィルの頬に、そっと自分の頬を寄せ、目を閉じて暫くじっとする。
「ウィルは知らないだろうけど、運命の番に出会える確率は本当に低いんだ。自分の魂の片割れなのに会えないことが多いって酷いよな。俺は本当に幸せだ。」 
そっと頬に口づける。満身創痍のウィルは為されるままに、ただ赤面している。幸せを感じながら。

「すまない。大事なことを忘れていた。俺は魔王を殺しにきたんだ。だが、もう、俺はソラのことは殺せない。魂の片割れだと知ってしまったからな。」
「おまえは馬鹿だな。人間に俺が殺せるわけがないだろ。」
そう言いながら、今度は唇にそっと口づける。
「俺は……お前に口づけされると、ドキドキしてわけがわからなくなる。でもすごく嬉しいとも感じる。そう思ったことは今まで無かった。」
ウィルは顔を赤らめながらもぞもぞと言う。
「大怪我をしているくせに、そんな顔で、そんなことを言うな!元気になったら思い知らせてやるからな。」
ソラも顔を赤らめながら言う。

「人間は、勝てもしないのに、なぜ魔王城までやって来るんだ?まあ、魔王軍は強いから、やられはしないがな。ただ、腹は立つ。最近は、滅ぼしてもいいかと思うほどにな。」
「すまない。王族が、クズなのだ。」
「そんな気はしたがな。ずっとずっと昔、俺もまだ産まれる前、人間の王と魔王は不可侵条約を結んだはずだ。お互いの領域を侵さないと。
お前達人間はずっとそれをやぶっていると言うわけだ。」
「知らなかった。本当に申し訳ない。」
「お前のせいではない」
「いや、俺はわざわざ魔王城まで来てるわけだから。」
「あ、そうであったな。許すぞ、お前は。可愛いからな。」
ちゅっ、ちゅっ。頬と唇に連続キス。
驚いて赤面するウィルであった。

「元々魔族は強いのだから、別に条約なんて結ぶ必要もないのでないか?」
「当時の魔王、俺の大祖父だが、の番が王の娘だったのだ。王位を巡って争いがあったらしく、一族で逃げていたところを見かけてしまってな。運命の番だというのだから、もう離すことはできなかったのだろうな。その娘を娶り、魔王の武力でその父親を王位につけ、条約を結んだのだ。300年位前のことだと聞いている。」






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