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魔王城にて(ソラとウィル4)
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「俺は王にはならない。義理の兄上を王とする約束をしてきた。そ、それにだな、もし俺が王になったら、その、ソラと一緒には居られないのではないか?俺達は番なんだろ?」
身体が動かせないウィルは目だけでソラに訴える。無意識にあざとさ満載の上目遣い。一撃必殺、効果抜群である。ウィルの身体を気遣いながら、パタッとベッドに突っ伏すソラ。暫くして顔を上げる。
「その通りだな。ウィルは俺とともにいてくれるのか?その、ずっと。」
「運命の番というのはそういうものでは無いのか?少なくとも俺はお前とともに居たい。」
こうと決めたら貫き通すウィルらしい言葉だ。もはや赤面もしていない。
夢のようだった。魔族にとって運命の番は夢である。人間のように番が異種族の場合は、魔族のようには番の絆を感じられない。やっと見つけた番に愛されないことだって多々ある。
「幸せ、というのはこういうことを言うのか。俺は初めて知った。」
そおっとウィルを抱きしめ、顔を埋める。抱き締め返せないウィルは心の中で地団駄を踏む。
「早く身体を治せ。待ちきれん。」
「ところで、その、おまえの兄はまともなのだろうな。」
「そう思う。義兄上の助言のおかげで、刺客のことも知ることができた。防げはしなかったがな。あの時アオが居なければ………あ、アオとアキラとエドはどうしたんだ!?」
「ああ、大丈夫だ。アオが連れて行ったぞ。」
「どこへだ?」
「お前はあの勇者がアオの番と知らないのか?フェンリルが番を死なせるはずが無い。もう一人は、取り敢えず瘴気の外に置いておくと言っていたな。」
「は!?、あ…、痛っ。何だと?フェンリルって、聖獣のか?」
ウィルは余りの衝撃に暫く口もきけない様子である。
「大丈夫か?少し話しすぎたか。俺も浮かれすぎているからな。」
「いや、大丈夫だ。教えてくれ。アオは本当は聖獣フェンリル様で、アキラはその運命の番なのか?」
「そうだ。アオは普段、冒険者として過ごしていてかなり有名人だぞ。その姿で出会ったのだろう?人間は、番なぞ感じないからなあ。アオは難儀しているのか?」
「妙にくっついて仲がいい様子で気になってはいたのだ。だがな、アキラは元々60歳の親父で、長く連れ添った妻もいる。俺はアキラを妻の元に返すと約束している。」
「なんと?!あの可愛らしい見た目でか。」
「俺も普段のアキラの様子を見ていると、すっかり忘れているが、妻のことはかなり愛しているらしい。初めての謁見の間で、王に妻の元へ返せと楯突いていたからな。あのときは肝が冷えたぞ。」
「アオ、お前はなんと難儀なやつなのだ。」
身体が動かせないウィルは目だけでソラに訴える。無意識にあざとさ満載の上目遣い。一撃必殺、効果抜群である。ウィルの身体を気遣いながら、パタッとベッドに突っ伏すソラ。暫くして顔を上げる。
「その通りだな。ウィルは俺とともにいてくれるのか?その、ずっと。」
「運命の番というのはそういうものでは無いのか?少なくとも俺はお前とともに居たい。」
こうと決めたら貫き通すウィルらしい言葉だ。もはや赤面もしていない。
夢のようだった。魔族にとって運命の番は夢である。人間のように番が異種族の場合は、魔族のようには番の絆を感じられない。やっと見つけた番に愛されないことだって多々ある。
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そおっとウィルを抱きしめ、顔を埋める。抱き締め返せないウィルは心の中で地団駄を踏む。
「早く身体を治せ。待ちきれん。」
「ところで、その、おまえの兄はまともなのだろうな。」
「そう思う。義兄上の助言のおかげで、刺客のことも知ることができた。防げはしなかったがな。あの時アオが居なければ………あ、アオとアキラとエドはどうしたんだ!?」
「ああ、大丈夫だ。アオが連れて行ったぞ。」
「どこへだ?」
「お前はあの勇者がアオの番と知らないのか?フェンリルが番を死なせるはずが無い。もう一人は、取り敢えず瘴気の外に置いておくと言っていたな。」
「は!?、あ…、痛っ。何だと?フェンリルって、聖獣のか?」
ウィルは余りの衝撃に暫く口もきけない様子である。
「大丈夫か?少し話しすぎたか。俺も浮かれすぎているからな。」
「いや、大丈夫だ。教えてくれ。アオは本当は聖獣フェンリル様で、アキラはその運命の番なのか?」
「そうだ。アオは普段、冒険者として過ごしていてかなり有名人だぞ。その姿で出会ったのだろう?人間は、番なぞ感じないからなあ。アオは難儀しているのか?」
「妙にくっついて仲がいい様子で気になってはいたのだ。だがな、アキラは元々60歳の親父で、長く連れ添った妻もいる。俺はアキラを妻の元に返すと約束している。」
「なんと?!あの可愛らしい見た目でか。」
「俺も普段のアキラの様子を見ていると、すっかり忘れているが、妻のことはかなり愛しているらしい。初めての謁見の間で、王に妻の元へ返せと楯突いていたからな。あのときは肝が冷えたぞ。」
「アオ、お前はなんと難儀なやつなのだ。」
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