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「ねぇポール、この前の集会の時の資料纏めてくれたよね。持ってる?」
「あ、はいマーク先輩、これです。どうぞ。」
「お、ありがとう。おーよくまとまってるなあ、さすがポール。やるなぁ…」
と、早速、頭をなでなで。頰を染め、嬉しそうなポール。そんな顔、俺にはしないだろ…。苦虫を噛み潰したような顔のアンドルー。
ユリアが言う。
「ちょっと、うちのポールに気安く触んないでよね。手懐けようとか思ってないでしょうね。」
「何?人聞き悪いね。ポールが可愛いから仕方ないだろ。」
「え?」
ますます赤くなるポール。
「そういうとこでしょ?もう、やめなさいよ!
リリアン、資料取りに行くわよ。」
「はーい。」
マークは生徒会室を出ていく2人を、じっと見つめる。
「おう、マーク、こんどの学年総会だけどさ、それまでに決算報告出来るかな?」
生徒会長のリチャードが言う。
「あー厳しいけど、やんないとダメっすよね。」
「おーい、そこの1年坊主2人、ちょっとこの資料見てもらっていいかな?」
「はい、わかりました。」
メンバー各自、暫く、集中して取り組む。
バタン
「遅くなりました。」
ユリアとリリアンが戻ってきた。
「お前らさ、ずいぶん遅かったじゃん。」
棘のある言い方をするマーク。
「あ、ごめんなさい…」
おろおろするリリアン。
「しょうがないでしょ。これ、なかなか見つからなかったんだから。」
ユリアが苛立たし気に言う。
あれ?なんだろう、この雰囲気、やだな。ポールがそう思ったとき、
「おい、マーク、そんなちっちゃいことでゴチャゴチャ言うなよ。雰囲気悪いよ。」
副会長のトーリが言う。
「はーい、すんません。」
マーク先輩、どうしたんだろ?あの言い方…いつもあんなじゃ無いのに。
「おーい、ポール、次、剣術の実技だろ?着替えたのかよ。」
「あ、そうだった!」
ぱっと振り返ると、騎士服を模した練習着を着たアンドルーが居た。
アンドルーは背が高くて、肩幅が広い。一見痩せて見えるが、しっかり筋肉がついている。足も長く、顔が小さい。九頭身である。逆光が眩しくて、ポールは少し目を細めた。
「のんびりするなよ。」
そう言って、アンドルーは笑った。
ポールは驚いた。美しかったのだ。
太陽を後ろに背負ったアンドルーの笑顔が、人工物のように整ったシルエットが………
ポールは暫く口がきけなかった。アンドルーって、こんなに…………
「どうした?」
不思議そうなアンドルー。
「いや、なんていうか、君が、美しくて、驚いたんだ。」
ポールは素直になんでも口にする。
「は?!俺が、美しい?かっこいいとかじゃなくて?う、美しいのはおまえだろ?」
と言いながら、耳を赤くするアンドルーも素直である。
「……………」
「馬鹿なこと言ってないで早く準備しろよ。」
「うん。」
「あ、はいマーク先輩、これです。どうぞ。」
「お、ありがとう。おーよくまとまってるなあ、さすがポール。やるなぁ…」
と、早速、頭をなでなで。頰を染め、嬉しそうなポール。そんな顔、俺にはしないだろ…。苦虫を噛み潰したような顔のアンドルー。
ユリアが言う。
「ちょっと、うちのポールに気安く触んないでよね。手懐けようとか思ってないでしょうね。」
「何?人聞き悪いね。ポールが可愛いから仕方ないだろ。」
「え?」
ますます赤くなるポール。
「そういうとこでしょ?もう、やめなさいよ!
リリアン、資料取りに行くわよ。」
「はーい。」
マークは生徒会室を出ていく2人を、じっと見つめる。
「おう、マーク、こんどの学年総会だけどさ、それまでに決算報告出来るかな?」
生徒会長のリチャードが言う。
「あー厳しいけど、やんないとダメっすよね。」
「おーい、そこの1年坊主2人、ちょっとこの資料見てもらっていいかな?」
「はい、わかりました。」
メンバー各自、暫く、集中して取り組む。
バタン
「遅くなりました。」
ユリアとリリアンが戻ってきた。
「お前らさ、ずいぶん遅かったじゃん。」
棘のある言い方をするマーク。
「あ、ごめんなさい…」
おろおろするリリアン。
「しょうがないでしょ。これ、なかなか見つからなかったんだから。」
ユリアが苛立たし気に言う。
あれ?なんだろう、この雰囲気、やだな。ポールがそう思ったとき、
「おい、マーク、そんなちっちゃいことでゴチャゴチャ言うなよ。雰囲気悪いよ。」
副会長のトーリが言う。
「はーい、すんません。」
マーク先輩、どうしたんだろ?あの言い方…いつもあんなじゃ無いのに。
「おーい、ポール、次、剣術の実技だろ?着替えたのかよ。」
「あ、そうだった!」
ぱっと振り返ると、騎士服を模した練習着を着たアンドルーが居た。
アンドルーは背が高くて、肩幅が広い。一見痩せて見えるが、しっかり筋肉がついている。足も長く、顔が小さい。九頭身である。逆光が眩しくて、ポールは少し目を細めた。
「のんびりするなよ。」
そう言って、アンドルーは笑った。
ポールは驚いた。美しかったのだ。
太陽を後ろに背負ったアンドルーの笑顔が、人工物のように整ったシルエットが………
ポールは暫く口がきけなかった。アンドルーって、こんなに…………
「どうした?」
不思議そうなアンドルー。
「いや、なんていうか、君が、美しくて、驚いたんだ。」
ポールは素直になんでも口にする。
「は?!俺が、美しい?かっこいいとかじゃなくて?う、美しいのはおまえだろ?」
と言いながら、耳を赤くするアンドルーも素直である。
「……………」
「馬鹿なこと言ってないで早く準備しろよ。」
「うん。」
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