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第3話 異世界四重奏 〜イセカイカルテット〜
14「スクール水着」
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スク水というのは至高である。
ほぼ裸に近いものの、本当に裸な訳ではなく、大事なところはしっかり隠されていて、妄想が捗るものだ。
そして裸でないにも関わらず、胸の膨らみ具合から太ももの肉付き、果ては腰のくびれまで、身体のラインはしっかりと映し出されている。
そして女子の綺麗な白い肌と、濃い紺色とのコントラストもまたエロを主張しているのだ。
先刻ニーハイスカートの間の絶対領域について語ったが、スク水もまた同様に最高のオカズである。
──もちろん、俺が着ていなければ、の話であるが。
「すっごい! ミラちゃんもうそんなに作れるの!?」
同じくスク水に身を包んだシルヴィアが、俺が《アクアボール》で作った十数個の水球を見ながら興奮気味に叫んでいる。
どうしてお風呂場でスク水を着て魔法の練習なんてするハメになったのだろうか。俺は力を抜き、支えを失って落ちる水を全身に浴びながら、つい1時間前のことを思い出した。
◇
朝食を食べ終えた俺は、5日目にしてようやく何の用事もない朝を過ごせることになり、何をするかと悩んだ挙句、貰って以来あまり読み進められていない魔法書に目を通していた。
これを理解して実践することが出来れば、俺は憧れた魔法を使いこなせるようになる。
そんなことを無意識のうちに考えて興奮してしまい、その昂りが募るほどに、早く練習したいという気持ちが増幅していった。
しかし、俺の財布は一昨日の服の買い出しによって、あまり余裕はなくなってしまっていた。そもそも次の収入がいつになるのか不明な時点であまり無駄に散財できない。
ミストに頼めばきっとお金はくれることだろうが、あまりそれをアテにしたくはない。
本当に節約して、それでもダメだった時の最後の手段として以外では、その手は使いたくないのだ。
となると、必然的に魔法修練場を使う時間というのは限られてくる。D級魔法はどこか他の場所で使いたいものだ。
しかし、水魔法を繰り返し使うとなると、どうしても無駄に水浸しにしてしまう。それが出来る穴場スポットなんぞ知っているはずもない。
……ふと、家の中にもある、どんなに床を水浸しにしても構わない場所を閃いた。
そう、風呂場である。
あそこならどんなに水を出しても下水道に流れていくだけだし、床が濡れたところで何の問題もない。なんなら浴槽の水を使ってあれこれできるかもしれない。
己の会心のアイデアに思わずほくそ笑んでは、急いで魔法書のD級魔法のページを頭の中に叩き込む。そして早速実行に移すべく一人お風呂場に向かった。
目的地に着くや否や、誰も利用していないことを確認してから水のD級補佐魔法《アクアボール》で5つほどの水球を浮かべ、力を抜いて落としてみた。
突如支えの力を失って、重力に逆らえず落ちた水球は、地面に着くなりその衝撃で四散するが、大きな塊は排水口に流れ、小さな塊は表面張力の力だろう、地面や壁についた。
やはり思った通りだ。
所詮D級の魔法くらいでは排水口の処理能力を超えることはない。万が一超えてしまったとしても、浴槽に落とすだけでまたキャパシティは爆増する。
やはり自らの完璧な思いつきに改めて自惚れながら、水球の数を増やしつつ発動時間の短縮の練習を始めた。
そして少し経った頃のことだ。
「うわっ! アクアボールだ! もうそんなに作れるの!? すっごい! というかミラちゃん水属性魔法の使い手だったんだ! いいなあー! 今どこまで出来る!? 《リキッドブレード》とか使えたりする!? 水の剣ってかっこいいよね! あれ私一回見てみたくって! あ、でもあれB級魔法だからここじゃ使えないか!」
いつの間にか背後にやってきていたシルヴィアに、今まで見たこともないくらいの早口でまくし立てられては、驚きに頭を支配さてしまい、つい制御を失って十個の水球を頭からかぶってしまう。
そんなうっかり行為から着ていたスウェットごとずぶ濡れにしてしまうが、そんな俺を見たシルヴィアは少し慌てたようにするも、興奮は未だ残っている様子で。
「あ、あれっ! 驚かしちゃった!? ごめんね、ついつい興奮しちゃって! 風邪引いちゃうよね! 待ってて、着替え取ってくるから!」
何も言えずにドタバタと嵐が去っていくのを見たあと、ようやく落ち着きを取り戻した頭が一つの嫌な予感を告げた。
シルヴィアに替えの服を任せるのはヤバくないか、と。
彼女の恐ろしさは、2日前のショッピングで嫌という程思い知らされている。
まあまず俺の欲しい服は持ってこないだろう。せめて少しでもマシなものを持ってきてくれることを祈るしかないようだ。
◇
数分の後、戻ってきたシルヴィアが持っていたのが、今俺の着ているスク水であった。
「まだ練習するんでしょ? なら濡れても大丈夫なものがいいかな、って思って!」
というのがシルヴィアの言い分である。いちおう理には適っているのだが……。
何度も言うが、俺は服を持つシルヴィアの前では着せ替え人形と化してしまうので、拒否することなんてできずに今こうしてスク水姿で練習しているのだ。
いやもちろん学校が存在しない時点でこれがスクール水着でないことは分かっているのだが、見た目がどう見てもスク水なので便宜上そう呼んでいるだけでである。
多分俺が『これスク水?』とか聞いたら『なにそれ?』と帰ってくるパターンだろう。
ちなみにシルヴィアが同じ格好をしているのは、「私もミラちゃんの魔法を近くで見たいから!」だそうです。
二人の女の子が水着を着て身体を濡らしているという絶好のエロシチュエーションにも関わらず、俺の心は排水口へ流れゆく水のように冷たく虚しものとなっていた。
そうしてまたひとつ、俺の定番のオカズが水に流され消え失せてしまった。
ほぼ裸に近いものの、本当に裸な訳ではなく、大事なところはしっかり隠されていて、妄想が捗るものだ。
そして裸でないにも関わらず、胸の膨らみ具合から太ももの肉付き、果ては腰のくびれまで、身体のラインはしっかりと映し出されている。
そして女子の綺麗な白い肌と、濃い紺色とのコントラストもまたエロを主張しているのだ。
先刻ニーハイスカートの間の絶対領域について語ったが、スク水もまた同様に最高のオカズである。
──もちろん、俺が着ていなければ、の話であるが。
「すっごい! ミラちゃんもうそんなに作れるの!?」
同じくスク水に身を包んだシルヴィアが、俺が《アクアボール》で作った十数個の水球を見ながら興奮気味に叫んでいる。
どうしてお風呂場でスク水を着て魔法の練習なんてするハメになったのだろうか。俺は力を抜き、支えを失って落ちる水を全身に浴びながら、つい1時間前のことを思い出した。
◇
朝食を食べ終えた俺は、5日目にしてようやく何の用事もない朝を過ごせることになり、何をするかと悩んだ挙句、貰って以来あまり読み進められていない魔法書に目を通していた。
これを理解して実践することが出来れば、俺は憧れた魔法を使いこなせるようになる。
そんなことを無意識のうちに考えて興奮してしまい、その昂りが募るほどに、早く練習したいという気持ちが増幅していった。
しかし、俺の財布は一昨日の服の買い出しによって、あまり余裕はなくなってしまっていた。そもそも次の収入がいつになるのか不明な時点であまり無駄に散財できない。
ミストに頼めばきっとお金はくれることだろうが、あまりそれをアテにしたくはない。
本当に節約して、それでもダメだった時の最後の手段として以外では、その手は使いたくないのだ。
となると、必然的に魔法修練場を使う時間というのは限られてくる。D級魔法はどこか他の場所で使いたいものだ。
しかし、水魔法を繰り返し使うとなると、どうしても無駄に水浸しにしてしまう。それが出来る穴場スポットなんぞ知っているはずもない。
……ふと、家の中にもある、どんなに床を水浸しにしても構わない場所を閃いた。
そう、風呂場である。
あそこならどんなに水を出しても下水道に流れていくだけだし、床が濡れたところで何の問題もない。なんなら浴槽の水を使ってあれこれできるかもしれない。
己の会心のアイデアに思わずほくそ笑んでは、急いで魔法書のD級魔法のページを頭の中に叩き込む。そして早速実行に移すべく一人お風呂場に向かった。
目的地に着くや否や、誰も利用していないことを確認してから水のD級補佐魔法《アクアボール》で5つほどの水球を浮かべ、力を抜いて落としてみた。
突如支えの力を失って、重力に逆らえず落ちた水球は、地面に着くなりその衝撃で四散するが、大きな塊は排水口に流れ、小さな塊は表面張力の力だろう、地面や壁についた。
やはり思った通りだ。
所詮D級の魔法くらいでは排水口の処理能力を超えることはない。万が一超えてしまったとしても、浴槽に落とすだけでまたキャパシティは爆増する。
やはり自らの完璧な思いつきに改めて自惚れながら、水球の数を増やしつつ発動時間の短縮の練習を始めた。
そして少し経った頃のことだ。
「うわっ! アクアボールだ! もうそんなに作れるの!? すっごい! というかミラちゃん水属性魔法の使い手だったんだ! いいなあー! 今どこまで出来る!? 《リキッドブレード》とか使えたりする!? 水の剣ってかっこいいよね! あれ私一回見てみたくって! あ、でもあれB級魔法だからここじゃ使えないか!」
いつの間にか背後にやってきていたシルヴィアに、今まで見たこともないくらいの早口でまくし立てられては、驚きに頭を支配さてしまい、つい制御を失って十個の水球を頭からかぶってしまう。
そんなうっかり行為から着ていたスウェットごとずぶ濡れにしてしまうが、そんな俺を見たシルヴィアは少し慌てたようにするも、興奮は未だ残っている様子で。
「あ、あれっ! 驚かしちゃった!? ごめんね、ついつい興奮しちゃって! 風邪引いちゃうよね! 待ってて、着替え取ってくるから!」
何も言えずにドタバタと嵐が去っていくのを見たあと、ようやく落ち着きを取り戻した頭が一つの嫌な予感を告げた。
シルヴィアに替えの服を任せるのはヤバくないか、と。
彼女の恐ろしさは、2日前のショッピングで嫌という程思い知らされている。
まあまず俺の欲しい服は持ってこないだろう。せめて少しでもマシなものを持ってきてくれることを祈るしかないようだ。
◇
数分の後、戻ってきたシルヴィアが持っていたのが、今俺の着ているスク水であった。
「まだ練習するんでしょ? なら濡れても大丈夫なものがいいかな、って思って!」
というのがシルヴィアの言い分である。いちおう理には適っているのだが……。
何度も言うが、俺は服を持つシルヴィアの前では着せ替え人形と化してしまうので、拒否することなんてできずに今こうしてスク水姿で練習しているのだ。
いやもちろん学校が存在しない時点でこれがスクール水着でないことは分かっているのだが、見た目がどう見てもスク水なので便宜上そう呼んでいるだけでである。
多分俺が『これスク水?』とか聞いたら『なにそれ?』と帰ってくるパターンだろう。
ちなみにシルヴィアが同じ格好をしているのは、「私もミラちゃんの魔法を近くで見たいから!」だそうです。
二人の女の子が水着を着て身体を濡らしているという絶好のエロシチュエーションにも関わらず、俺の心は排水口へ流れゆく水のように冷たく虚しものとなっていた。
そうしてまたひとつ、俺の定番のオカズが水に流され消え失せてしまった。
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