海を見ていたソランジュ

第1章 パラダイス・シティーの闇

第６話 あなたにひとつ課題を出します。

「いいでしょう。あなたが仕事に復帰することを考えてみましょう。ただ･･･」
と、ためらいながらアンジーはひとつの提案をした。

「あなたにひとつ課題を出します。
　それをクリアできたならば、復帰を認めます」

「どんな課題でしょう？」

「簡単なことです。私に新しい警護官を見つけてほしいのです。
　あなたの代わりに派遣された警護官は、あなたと違いとても仕事熱心で、家まで来ておいしい料理まで作ってくれる素晴らしい警護官なのですが、お酒に弱いようで酔うと少し困ったことが･･･」

「私の代わりに派遣された警護官は、もしかして･･･、オーウェン・ライトですか？」

　アンジーはうなづいた。

「あいつは酔うと、辺り構わず側にいる人間にキスをしたり、抱きついたりする癖があるのですが、そのことでお困りなのでしょうか？」

　アンジーは静かにうなずいた。そして、
「火星では、この地球のような親しい者とスキンシップする習慣は無いのだ。
　だから私は触られるのが、あまり好きではないのだ」
と言った。

「ただオーウェンは部下としては最高だった。彼を傷つけないで、新しい警護官を用意できたならば、秘密捜査官のポストを用意しよう」
とアンジーはカイルに言った。