海を見ていたソランジュ

第1章 パラダイス・シティーの闇

第3話 エリートコースなんだぞ･･･

「お断りします」
と、にべもなく、まだ幼さの残る、角度によっては美少女のようにも見える美しい顔を少しゆがめながら、ルイスはきっぱりとカイルの申し出をその場で拒否した。

「いくら恩義のあるカイル先輩からの申し出でも、今回ばかりは受けられません」

「俺は一生のお願いだと言っているのに、なぜだめなんだ？
　エリートコースなんだぞ」

「決まってるでしょう･･･。
　そんな仕事引き受けたら、フェイと会えなくなります。やっと仲直りしたばかりなのに、またフェイが怒り出すに決まってます」

　フェイとエルはクラブ「コカパバーナ」の人気スターダンサーだったのだが、エルが抜けた今、フェイはクラブの唯一無二の看板スターダンサーになっていた。

　ルイスはフェイと前から付き合っていたのだが、最近フェイはルイスに冷たくなり、富豪の男とつきあったりもしていた。

　それを知っていたので、ルイスは拘束時間がきついアンジーの警護官には、絶対になりたく無かった。
　しかしそんなルイスを、カイルは無理矢理アンジーに引き合わせた。
　案の定、ルイスはアンジーの顔を見たとたん、考えを変えた。

　アンジーもすぐにルイスが気に入った。
　こうしてルイスはアンジーの警護官になった。