フェイタル・アトラクション~「長い旅の始まり」が意味するもの

夢織人

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第2章 運命の風が吹くとき

「太陽を抱く月」のオーディションを受けられなかったジェリム

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 モデルとしては実績があったが、俳優としてはほとんど実績が無かったジェリム。
 そのジェリムの名を世界に知らしめた作品が、ドラマ「太陽を抱く月」なのだが、実はジェリムはこのドラマのオーディションを受けていない。受けるつもりだったのだが、「美男ラーメン店」の制作発表会とオーディションの日が重なってしまい、あきらめるしかなかったのだ。それなのになぜ彼が、あの護衛武士ウンの役を射止めることが出来たのか? 実は「美男ラーメン店」で共演し、仲良くなったあの美青年俳優の熱心な推薦があったおかげだったと言われている。

 例の美青年俳優もジェリムも、この作品で大ブレイクするのだが、最初に発表された配役発表ではふたりの名前は無かった。主人公の次に重要な役が陽明君なのだが、実は初めはその役は別の俳優が演じることになっていた。
 最初のキャスティングでは陽明君役は、人気実力派俳優チュウォンの予定だった。しかしチュウォンが初主演したドラマが予想以上の大ヒットとなり、放送が延長となってしまい、出演できなくなってしまったのだ。結局チュウォンは陽明君役を辞退し、その代役を打診されたのが、「美男ラーメン店」の撮影が終了したばかりの主演俳優の青年だったのだ。
 撮影開始までの準備期間が二週間しかなく、オファーされた美青年俳優はとても悩んだと言う。当然たくさんの知人に相談したのだが、賛成と反対の意見がありとても悩んだと言うのだ。結局彼は、リスクを覚悟の上で出演を選ぶのだが、私はジェリムが出演することを強く薦めた結果なのではないかと思っている。
 ジェリムは理系の人間である。オーディションを受けるつもりだったのだから、当然その作品のことについては調べ分析していたはずなのだ。たぶん他の知人の意見とは、説得力が違ったのではないかと思う。

 さて、不運にも陽明君役を降りたチュウォンだが、実は彼も幸運をつかむ。KBSの大作ドラマ「カクシタル」の主演俳優の座を射止めたのだ。陽明君は準主役で、2番手俳優の立ち位置だったのだが、チュウォンは「カクシタル」の成功で、一気に主演級のスター俳優の仲間入りを果たすのだった。
 事実は小説よりも奇なりで、次々と不思議な連鎖が起きていたことになる。そしてこのときは、すべてが良い連鎖だった。

 しかし明らかに不思議な偶然が重なっていて、その結果、3人の俳優の運命が大きく変わったことになる。
 偶然が重なると、時には必然となり、運命となる場合もある。
 やはり二人の出会いは、必然であり、運命だったのだろう。
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