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1章
通り雨
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通りかがった雲が、まるでいたずらするように町を濡らしていく。遠くの空は晴れているのに、足元にできた大きな水たまり。
3月。
山の上には、まだ雪が残っている。もう二度と歩くことのない、学校までの道、3つ目の交差点。
本当はもう少しゆっくり、この町の景色を、心に焼きつけておきたかった。
両親の離婚が決まって、もうすぐここを去る。
17年間過ごした町は、人口1万人に満たない小さな町だった。町に3つある小学校は、昨年1つに統合された。中学は2つ。高校は1つ。1学年1クラスしかない高校は、保育園からずっと一緒の同級生が多くいた。
渋谷遥《しぶやはるか》は、父の覚《さとし》が運転席で待つ、車の後部座席に乗った。
「遥、本当にいいのか。出発は明日って言ってたのに、急に行くことになって。」
「別にいいよ。今日も明日も変わらないし。」
「クラスの子には、何か言っておいたほうがいいんじゃないのか?保育園からずっと同じだった友達もいたはずだし。」
「お父さん、早く行こう。」
遥は後部座席に寝転がる。
「シートベルト、しないとダメだぞ。」
「はい、はい。」
遥はシートベルトを締めると車の窓にもたれて目をつぶった。
半年前、母の浮気が発覚した。母と同じ職場にいる、父より10歳も年下の男性との関係は、もう3年にもなるらしい。母は仕事しかできない父を残し、半年前からその男性と暮らし始めた。
小さな町での不倫など、あっという間に広がってしまうのに、母はまるで、少しずつ老いていく父が悪いように、私はいつまでも女性でいたかった、そう言って父を責めた。
大学生の3つ上の姉は、すでに家を離れていたので、母の浮気の事は知らなかった。どうせ一緒には暮らさないからと、母と新しい父の籍に入った。
父は気の知れた仲間のいるこの町の支社から、大きな町にある本社への異動を願い出た。長年暮らした家を売りに出すと聞いた時、遥は大切な思い出も何もかも失った父と、一緒に付いて行く決心をした。
一生誰かを愛し続ける事なんて、できるわけがないんだ。時々思い出す母の粘っこい笑い声が、遥はいらやしくて耳を塞いだ。父が一生懸命になればなる度、その背中を見るのが情けない。
お母さん、あなたが幸せになる事なんて、絶対許さないからね。
遥は赤信号で車が止まるたびに、寂しさが母への憎しみに変わり、やるせない気持ちが募っていった。
「お父さん、ごめん。学校に寄って。」
「どうした?」
「机の中にシャープペン入ったままだ。」
「そんなの後で誰かが捨ててくれるだろう。」
「そうだけど…。何も残して置きたくないの。」
「そうか、わかった。」
父は車を引き返した。
家から出て、3つ目の大きな交差点にくると、学校の薄い黄色の壁が見えてくる。
本当はシャープペンなんて、どうでもよかった。父のいう通り、誰かが見つけて、もう捨ててしまったかもしれないし。
学校の玄関に入ると、近くにあるスリッパを借りて教室へ向かった。ペタペタとスリッパでは歩きにくい階段を上ると、少し前まで自分が過ごしていた教室が見えた。なんだかとても重く感じるドアを開け、グランドを眺めていた自分を思い浮かべなから、窓際の席まで、机と机の間を歩いていく。
自分の机は、やっぱり空っぽだった。
少しだけ残る思い出を吸い込むと、遥は教室を後にした。玄関にある、まだ自分の名前のついている下駄箱が、最後の挨拶をしているようだった。
この連休が終ったら、本当に何もなくなってしまうんだろうな。
遥は吸い寄せられるように何も入っていないはずの下駄箱を開けた。上靴がない淋しそうな下駄箱の中には、薄い緑色の便箋が置かれていた。
名前も何もない便箋を手に取ると、しっかりのり付けされて開かないようになっている。
誰のだろう、これ。
「遥。」
部活の休憩中なのか、玄関を通った小百合が声を掛けてきた。
「小百合、部活だったの?」
「そう。遥は忘れ物?」
「うん。」
「明日、行くんだっけ、向こうに。」
「ううん。今日行くの。」
「えー、明日みんなで見送りに行こうと思ったのに。」
「ごめん、小百合。会うと辛くなるから。」
泣かないはずだったのに、思い出が喉の奥を熱くする。
「遥、大変だったね。新しい学校に行ったら、ラインちょうだい。」
「うん。」
遥は手紙を下駄箱に戻すのを忘れ、父の待つ車へ戻ってきた。
「あったか?」
父が遥に聞いてきた。
「なかった。」
遥はシートベルトを締めながら答えた。
「シャープペンなんて、また新しいの買えばいいだろう。」
「そうだね。」
父はとても急いでいたので、持ってきた手紙を下駄箱に戻すのは諦めた。薄い緑色の封筒をそっとカバンにしまうと、遥はまた車の窓を眺めた。
「新しい制服、明日できるそうだ。」
「うん。」
「連休が終ったら、学校だからな。」
「わかってる。」
父の言葉など、本当は耳に入ってこない。どうして父と私だけが、逃げるようにこの町を出ていかなければいけないのか。時間を巻き戻せるなら、どこから巻き戻せば、静かで穏やかな日がまた戻ってくるのだろう。そんな事を言ったら、父は母との出会いすら、消してしまいたいって言うかもしれない。
私は生まれてこない方が、よかったのか…。あの母から生まれこなければ、父はもっと自由に、次の人生を歩んでいけたのに。
「ほら。」
運転席から伸びた手が、冷たいお茶を遥に渡す。
「ありがとう、お父さん。」
社宅に着いた。
無造作に置かれた段ボールだらけの部屋の中。遥は開かないように止めた段ボールのガムテープを、カッターで裂いて蓋を開けていた。
机の引き出しの物をぐちゃぐちゃに詰めてきた箱の中には、制服のボタンが入っていた。
もしかしたら…、
遥はカバンの中にある封筒を出した。
机に置かれていたカッターで、丁寧に手紙の封を切ると、中から封筒と同じ薄い緑色の便箋が出てきた。
さみしくなったら、ラインしろよ。
手紙の下には、自分で書いたデタラメのQRコードがあった。
これ…、
手紙の相手は藤原叶太《ふじわらかなた》だとわかった。
あいつ、バカなの?
叶太は小学2年の時、突然この町に転校してきて、遥の隣りの席になった。
母と2人きりで都会からやってきたという叶太に、同級生は興味津々だった。言いたくもない事だってたくさんあるだろうに、叶太は誰にでも同じように笑顔をむけて、すぐにみんなと打ち解けた。
「渋谷さん、少しの間、藤原くんに教科書を見せてあげて。」
担任の先生がそう言うので、遥は藤原に教科書を見せるために、授業が始まると机をくっつけた。
遥の教科書にデタラメのQRコードを書いた叶太は、
「これで、俺と繋がるから。」
そう言って笑った。
叶太の教科書が来るまでの1ヶ月の間、叶太は遥の教科書に、いつも落書きをして笑わせた。
中学の卒業式の日。
ついたまま帰ると母が悲しむと言って、遥に学生服のボタンを渡した。
「いらないよ。」
遥はボタンを叶太に返した。
「遥ちゃんのボタン、くれよ。」
叶太はそう言って手を出した。
「なんで?」
「交換してもいいだろう。」
叶太は遥の左手に自分のボタンを握らせると、遥のブレザーのボタンをもぎ取った。
「ちょっと!」
「携帯、買ってもらったから、今度ラインしようよ。」
叶太は笑った。
「私、携帯なんて持ってないし。」
「嘘つけ。遥ちゃん、この前、携帯選んでるの見たよ。」
「見てたなら、声を掛けてくれれば良かったのに。」
「ボタン、大切にするから。」
叶太はそう言って友達の中に戻っていった。
転校してきた日から、ずっとそうやって近くで笑っていた叶太。同じバドミントン部だった事もあって、遥と叶太は、少しずつ距離が縮まっていた。
本当は、部活で学校にいるはずの叶太に会えると思って学校に寄ったのに。今度こそラインを交換して、離れていても、ずっと繋がっていたかった。
結局、叶太に会えないまま町を出てきた遥は、初恋と失恋とよくわからない気持ちを、このまま胸の奥に閉じ込めた。
3月。
山の上には、まだ雪が残っている。もう二度と歩くことのない、学校までの道、3つ目の交差点。
本当はもう少しゆっくり、この町の景色を、心に焼きつけておきたかった。
両親の離婚が決まって、もうすぐここを去る。
17年間過ごした町は、人口1万人に満たない小さな町だった。町に3つある小学校は、昨年1つに統合された。中学は2つ。高校は1つ。1学年1クラスしかない高校は、保育園からずっと一緒の同級生が多くいた。
渋谷遥《しぶやはるか》は、父の覚《さとし》が運転席で待つ、車の後部座席に乗った。
「遥、本当にいいのか。出発は明日って言ってたのに、急に行くことになって。」
「別にいいよ。今日も明日も変わらないし。」
「クラスの子には、何か言っておいたほうがいいんじゃないのか?保育園からずっと同じだった友達もいたはずだし。」
「お父さん、早く行こう。」
遥は後部座席に寝転がる。
「シートベルト、しないとダメだぞ。」
「はい、はい。」
遥はシートベルトを締めると車の窓にもたれて目をつぶった。
半年前、母の浮気が発覚した。母と同じ職場にいる、父より10歳も年下の男性との関係は、もう3年にもなるらしい。母は仕事しかできない父を残し、半年前からその男性と暮らし始めた。
小さな町での不倫など、あっという間に広がってしまうのに、母はまるで、少しずつ老いていく父が悪いように、私はいつまでも女性でいたかった、そう言って父を責めた。
大学生の3つ上の姉は、すでに家を離れていたので、母の浮気の事は知らなかった。どうせ一緒には暮らさないからと、母と新しい父の籍に入った。
父は気の知れた仲間のいるこの町の支社から、大きな町にある本社への異動を願い出た。長年暮らした家を売りに出すと聞いた時、遥は大切な思い出も何もかも失った父と、一緒に付いて行く決心をした。
一生誰かを愛し続ける事なんて、できるわけがないんだ。時々思い出す母の粘っこい笑い声が、遥はいらやしくて耳を塞いだ。父が一生懸命になればなる度、その背中を見るのが情けない。
お母さん、あなたが幸せになる事なんて、絶対許さないからね。
遥は赤信号で車が止まるたびに、寂しさが母への憎しみに変わり、やるせない気持ちが募っていった。
「お父さん、ごめん。学校に寄って。」
「どうした?」
「机の中にシャープペン入ったままだ。」
「そんなの後で誰かが捨ててくれるだろう。」
「そうだけど…。何も残して置きたくないの。」
「そうか、わかった。」
父は車を引き返した。
家から出て、3つ目の大きな交差点にくると、学校の薄い黄色の壁が見えてくる。
本当はシャープペンなんて、どうでもよかった。父のいう通り、誰かが見つけて、もう捨ててしまったかもしれないし。
学校の玄関に入ると、近くにあるスリッパを借りて教室へ向かった。ペタペタとスリッパでは歩きにくい階段を上ると、少し前まで自分が過ごしていた教室が見えた。なんだかとても重く感じるドアを開け、グランドを眺めていた自分を思い浮かべなから、窓際の席まで、机と机の間を歩いていく。
自分の机は、やっぱり空っぽだった。
少しだけ残る思い出を吸い込むと、遥は教室を後にした。玄関にある、まだ自分の名前のついている下駄箱が、最後の挨拶をしているようだった。
この連休が終ったら、本当に何もなくなってしまうんだろうな。
遥は吸い寄せられるように何も入っていないはずの下駄箱を開けた。上靴がない淋しそうな下駄箱の中には、薄い緑色の便箋が置かれていた。
名前も何もない便箋を手に取ると、しっかりのり付けされて開かないようになっている。
誰のだろう、これ。
「遥。」
部活の休憩中なのか、玄関を通った小百合が声を掛けてきた。
「小百合、部活だったの?」
「そう。遥は忘れ物?」
「うん。」
「明日、行くんだっけ、向こうに。」
「ううん。今日行くの。」
「えー、明日みんなで見送りに行こうと思ったのに。」
「ごめん、小百合。会うと辛くなるから。」
泣かないはずだったのに、思い出が喉の奥を熱くする。
「遥、大変だったね。新しい学校に行ったら、ラインちょうだい。」
「うん。」
遥は手紙を下駄箱に戻すのを忘れ、父の待つ車へ戻ってきた。
「あったか?」
父が遥に聞いてきた。
「なかった。」
遥はシートベルトを締めながら答えた。
「シャープペンなんて、また新しいの買えばいいだろう。」
「そうだね。」
父はとても急いでいたので、持ってきた手紙を下駄箱に戻すのは諦めた。薄い緑色の封筒をそっとカバンにしまうと、遥はまた車の窓を眺めた。
「新しい制服、明日できるそうだ。」
「うん。」
「連休が終ったら、学校だからな。」
「わかってる。」
父の言葉など、本当は耳に入ってこない。どうして父と私だけが、逃げるようにこの町を出ていかなければいけないのか。時間を巻き戻せるなら、どこから巻き戻せば、静かで穏やかな日がまた戻ってくるのだろう。そんな事を言ったら、父は母との出会いすら、消してしまいたいって言うかもしれない。
私は生まれてこない方が、よかったのか…。あの母から生まれこなければ、父はもっと自由に、次の人生を歩んでいけたのに。
「ほら。」
運転席から伸びた手が、冷たいお茶を遥に渡す。
「ありがとう、お父さん。」
社宅に着いた。
無造作に置かれた段ボールだらけの部屋の中。遥は開かないように止めた段ボールのガムテープを、カッターで裂いて蓋を開けていた。
机の引き出しの物をぐちゃぐちゃに詰めてきた箱の中には、制服のボタンが入っていた。
もしかしたら…、
遥はカバンの中にある封筒を出した。
机に置かれていたカッターで、丁寧に手紙の封を切ると、中から封筒と同じ薄い緑色の便箋が出てきた。
さみしくなったら、ラインしろよ。
手紙の下には、自分で書いたデタラメのQRコードがあった。
これ…、
手紙の相手は藤原叶太《ふじわらかなた》だとわかった。
あいつ、バカなの?
叶太は小学2年の時、突然この町に転校してきて、遥の隣りの席になった。
母と2人きりで都会からやってきたという叶太に、同級生は興味津々だった。言いたくもない事だってたくさんあるだろうに、叶太は誰にでも同じように笑顔をむけて、すぐにみんなと打ち解けた。
「渋谷さん、少しの間、藤原くんに教科書を見せてあげて。」
担任の先生がそう言うので、遥は藤原に教科書を見せるために、授業が始まると机をくっつけた。
遥の教科書にデタラメのQRコードを書いた叶太は、
「これで、俺と繋がるから。」
そう言って笑った。
叶太の教科書が来るまでの1ヶ月の間、叶太は遥の教科書に、いつも落書きをして笑わせた。
中学の卒業式の日。
ついたまま帰ると母が悲しむと言って、遥に学生服のボタンを渡した。
「いらないよ。」
遥はボタンを叶太に返した。
「遥ちゃんのボタン、くれよ。」
叶太はそう言って手を出した。
「なんで?」
「交換してもいいだろう。」
叶太は遥の左手に自分のボタンを握らせると、遥のブレザーのボタンをもぎ取った。
「ちょっと!」
「携帯、買ってもらったから、今度ラインしようよ。」
叶太は笑った。
「私、携帯なんて持ってないし。」
「嘘つけ。遥ちゃん、この前、携帯選んでるの見たよ。」
「見てたなら、声を掛けてくれれば良かったのに。」
「ボタン、大切にするから。」
叶太はそう言って友達の中に戻っていった。
転校してきた日から、ずっとそうやって近くで笑っていた叶太。同じバドミントン部だった事もあって、遥と叶太は、少しずつ距離が縮まっていた。
本当は、部活で学校にいるはずの叶太に会えると思って学校に寄ったのに。今度こそラインを交換して、離れていても、ずっと繋がっていたかった。
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