1 / 13
1章
道のない道
しおりを挟む
左足を踏み出すと、たちまち膝のあたりまで雪に埋まった。
準備をしていたはずの右足は、まだ誰も踏んでいない真っ白な地面に竦んで出す事ができない。
「優里、もう少ししたら除雪が入るんだから、家に入ってなさい。」
母が窓からそう叫んだ。
「お母さん、遅刻しちゃうよ!」
佐伯優里《さえきゆり》は、雪の中で冷たくなっていく左足を庇うように、右足を雪の中に入れた。
スカートの裾に雪がついたのは知っていたが、冷たくなってきた左足を雪の中から出し、もう一度、深い雪の中にゆっくりと入れる。
靴の中には柔らかい雪が入り、タイツ一枚の足は一瞬温かくなったのかと勘違いしている。
「今日はこれからますますひどくなるのよ。とにかく家に入ってよ。」
母の言葉に優里はふてくされながら、スカートを太腿までたくし上げた。
渋々、今つけた足跡を辿って家に戻る。
雪だらけになった体を玄関で震わせ、頭、肩、足と、すでに水になり掛けている雪を、手でパンパンと払った。
家に入ると、母の松江《まつえ》と妹の真里《まり》が、ご飯を食べていた。
「優里も食べな。この雪じゃあ吹雪いて前が見えないから、学校には行けないよ。」
母は食パンを一枚手に取った。
「焼くの、そのまま食べるの、どっち?」
能天気な母と妹の態度に、優里はだんだん腹が立ってきた。
「今日は期末テストがあるの。これで評価が決まるんだから、欠席なんて絶対できないのに!」
昨日の天気予報では、明け方には雪が晴れると言っていたのに、低気圧はノロノロと進み、まるで自分を笑っているようだ。
学校は臨時休校にならないって言うし、自分の家から町まで出る道路の見通しが悪いだけで交通機関も通常運行している。
この状況の中、悪天候だから欠席するなんて、絶対再試験は認められないに決まってる。
「なにも命がけでテストを受ける事なんてないよ。お母さんから、学校に休むって連絡しておくから、テストは別の日に受けたらいいじゃない。」
「待ってお母さん。お父さんは会社へ行くんでしょう?私を学校まで車で送って行ってよ。」
優里は母に頼んだ。
「ダメ。お父さんの会社と優里の学校は反対方向だし、今日は諦めて家にいて。」
母の言葉に優里は涙が溢れそうになり、自分の部屋までの階段を、バタバタと駆け上がった。
濡れた制服を脱ぎ捨てると、ベッドに突っ伏して、声を殺して泣いた。
4月。
高校最後の1年が始まった。
あの雪の日に欠席した期末テストは、結局受ける事が許されなかった。
優里の住む町と高校は離れていた。優里はいつも汽車とバスを乗り継ぎ、2時間程掛けて通学していた。地元にも高校は一校あったが、どんなに募集人数を下げても、ここ何年も定員割れが続いている。
この町の中学生は、名前さえ書けば入学できるその高校に、なんの努力もせずに進んでいく。同級生の大半が、保育園からずっと同じ進路を辿る中、優里はわざわざ区域の違う高校を選んで進学した。少し考えたらそうでもしなければ、これからの人生の選択肢が限られるというのに。
自分達は下流にいて、上から流れてくるものを、ただ待って暮している人間だって、誰も気がついていない。足元に着いたものを喜んで手にするなんて、なんとも情けなくてつまらない。
私はそんな人生を送らず、少しでも上流の近くに行くんだ。そしてそこから、いらないものをさっさと川下へ流してしまえばいい。
進学クラスのある高校に入学した優里は、高校1年の初めの頃は安定した成績を保っていたが、だんだんと思うように点数が伸びなくなってきた。
クラスの子のほとんどが、大学受験に備え進学塾に通っている。効率良く模試やテストの対策を身につけていく中、ただ授業の予習復習をするだけでは、その差は広がるばかりだった。
高校最後の春、毎年行われている進学クラスの入れ替えで、優里は通常クラスへ格下げとなってしまった。10月にあった中間テストは風邪を引いて高熱を出し、それでも学校へ行こうとする優里を母は止めた。
受験は自分が熱を出そうが、自分の町が悪天候だろうが、よほど災害級の出来事が起きない限り、通常通り行われる。普段から試験に備えての体調管理、数日前からいろんな事を予想して準備をする事が、大学受験だけでなく、これから社会に出て認められるための最低限の常識だと、特進クラスの担任が優里にそう言った。
クラスの中で、自分がどの位置にいるのか、それはよくわかっている。努力だけでは追いつかない状況になってきた自分の存在が、担任にとっては足手まといだという事も、よくわかっている。
それでもなんとか進学クラスに残りたくて、期末試験までの間、毎日必死で勉強してきたのに。
今まで親しい友達も作らず、高校生らしい日常なんてひとつもなかった。
なのに、神様はとうとう、こっちを向いてはくれなかった。
4月6日。
自分が入れ替えになったクラスでは、初めて顔を合わせる同級生達ばかりで、なかなかその輪の中に入っていくことができなかった。進学クラスからやってきた落ちこぼれの自分を見る視線は、どこか冷ややかなものだと感じた。
誰とも話さず一人で席に座っていると、聞きたくもない笑い声が誇張されて耳に残る。
部活動に明け暮れているか、誰が誰を好きとか嫌いとか、アホみたいに無駄な感情に左右されている人達。高校生活なんて、何より思い出作りが大切だと思っているこの集団の中で、私は最後の一年をやり過ごすさなければならないのか。
「佐伯、お前、Aから落ちてきたんだよな。」
隣りの席になった高田直哉《たかだなおや》が、優里にそう言った。
将来を見据られないような、この手の人間はかなり苦手だ。これからはなんの感情も持たず、目立たない様に過ごせばいいや。
「佐伯さんだっけ?」
前の席にいた八木悠《やぎはるか》が、優里の方を向いた。
「小5の時に一緒だったよね?」
優里はその顔に少し見覚えがあった。
「悠?」
「そう。優里と同じ高校だったなんて、ぜんぜん知らなかった。」
悠はそう言うと、優里の手をぎゅっと掴んだ。
「うちの親、転勤族だから、ここの町には去年から住んでいたの。良かった、あんまり話す人がいなかったから、優里が一緒なら心強い。」
自分がこのクラスにきて落胆している事を知らない悠には、なんの悪気もない。
「去年、ここに転校してきたの?」
優里は悠にそう聞いた。
「そうだよ。ねえ、これからお弁当、一緒に食べよう。」
悠は嬉しそうに優里の手を揺すると、
「良かった。これから楽しくやろうね。」
そう言った。
テンションの高い悠に、優里は少しうんざりした。前のクラスでは、こんな煩わしい人付き合いなどなかったから、正直めんどくさい。友達という存在は、自分の時間を削っていくようだ。
学校が終わり駅まで歩いていると、さっき自分をからかった高田が、優里を追いかけてきた。
「佐伯、お前も駅まで行くんだろう。」
「そうだけど。」
優里は目を合わせず、黙々と歩いている。
「17時の汽車に乗るのか?」
「うん。」
「俺もそう。」
「同じ汽車になった事なんてあった?」
優里は初めて高田の顔を見た。
雨に濡れたような黒い瞳とスーッと整った鼻筋。優里は一瞬、何の音も聞こえず、高田の顔に魅入った。
「俺は反対の汽車。佐伯の乗る汽車と出発するのは一緒だろう。」
高田の声が近くで聞こえると、優里は現実に戻った。
「そういえばそうだね。」
進学クラスから落ちたと言っても、自分は人の羨むような大学へ行くんだ。高校なんて通過点。役に立たない思い出なんて、ひとつもいらない。
「佐伯、なんでそんなテンションなの?」
高田は優里の肩に手を置いた。
「知らない。」
優里はそう言うと、高田から離れる様に走って駅まで向かった。
汽車に乗り込むと、隣りに停まる車両に高田が乗っているのが見えた。優里は高田に気づかれない様、窓から顔が見えない位置に座り直した。
次の日。
休み時間に勉強していた優里の参考書を、高田が奪った。
「佐伯、勉強ばっかりしてたら体壊すよ。」
「返してよ。」
優里は高田が持っている参考書に手を伸ばした。隙をついて奪い取ると、さっき見ていたページを急いで探した。
「最後の高校生活なんだって。」
高田は優里の肩に手を置いた。
「高田くん、あんまりしつこいと、優里は本気で怒るよ。」
悠が高田に注意すると、高田は優里にごめんと言って席を離れた。
「ねぇ、優里。どこの大学を目指してる?」
「まだ、決めてない。悠は?」
「私は入れたらどこでもいいや。」
悠はそう言って、席を立った。
「邪魔してごめんね、優里。」
準備をしていたはずの右足は、まだ誰も踏んでいない真っ白な地面に竦んで出す事ができない。
「優里、もう少ししたら除雪が入るんだから、家に入ってなさい。」
母が窓からそう叫んだ。
「お母さん、遅刻しちゃうよ!」
佐伯優里《さえきゆり》は、雪の中で冷たくなっていく左足を庇うように、右足を雪の中に入れた。
スカートの裾に雪がついたのは知っていたが、冷たくなってきた左足を雪の中から出し、もう一度、深い雪の中にゆっくりと入れる。
靴の中には柔らかい雪が入り、タイツ一枚の足は一瞬温かくなったのかと勘違いしている。
「今日はこれからますますひどくなるのよ。とにかく家に入ってよ。」
母の言葉に優里はふてくされながら、スカートを太腿までたくし上げた。
渋々、今つけた足跡を辿って家に戻る。
雪だらけになった体を玄関で震わせ、頭、肩、足と、すでに水になり掛けている雪を、手でパンパンと払った。
家に入ると、母の松江《まつえ》と妹の真里《まり》が、ご飯を食べていた。
「優里も食べな。この雪じゃあ吹雪いて前が見えないから、学校には行けないよ。」
母は食パンを一枚手に取った。
「焼くの、そのまま食べるの、どっち?」
能天気な母と妹の態度に、優里はだんだん腹が立ってきた。
「今日は期末テストがあるの。これで評価が決まるんだから、欠席なんて絶対できないのに!」
昨日の天気予報では、明け方には雪が晴れると言っていたのに、低気圧はノロノロと進み、まるで自分を笑っているようだ。
学校は臨時休校にならないって言うし、自分の家から町まで出る道路の見通しが悪いだけで交通機関も通常運行している。
この状況の中、悪天候だから欠席するなんて、絶対再試験は認められないに決まってる。
「なにも命がけでテストを受ける事なんてないよ。お母さんから、学校に休むって連絡しておくから、テストは別の日に受けたらいいじゃない。」
「待ってお母さん。お父さんは会社へ行くんでしょう?私を学校まで車で送って行ってよ。」
優里は母に頼んだ。
「ダメ。お父さんの会社と優里の学校は反対方向だし、今日は諦めて家にいて。」
母の言葉に優里は涙が溢れそうになり、自分の部屋までの階段を、バタバタと駆け上がった。
濡れた制服を脱ぎ捨てると、ベッドに突っ伏して、声を殺して泣いた。
4月。
高校最後の1年が始まった。
あの雪の日に欠席した期末テストは、結局受ける事が許されなかった。
優里の住む町と高校は離れていた。優里はいつも汽車とバスを乗り継ぎ、2時間程掛けて通学していた。地元にも高校は一校あったが、どんなに募集人数を下げても、ここ何年も定員割れが続いている。
この町の中学生は、名前さえ書けば入学できるその高校に、なんの努力もせずに進んでいく。同級生の大半が、保育園からずっと同じ進路を辿る中、優里はわざわざ区域の違う高校を選んで進学した。少し考えたらそうでもしなければ、これからの人生の選択肢が限られるというのに。
自分達は下流にいて、上から流れてくるものを、ただ待って暮している人間だって、誰も気がついていない。足元に着いたものを喜んで手にするなんて、なんとも情けなくてつまらない。
私はそんな人生を送らず、少しでも上流の近くに行くんだ。そしてそこから、いらないものをさっさと川下へ流してしまえばいい。
進学クラスのある高校に入学した優里は、高校1年の初めの頃は安定した成績を保っていたが、だんだんと思うように点数が伸びなくなってきた。
クラスの子のほとんどが、大学受験に備え進学塾に通っている。効率良く模試やテストの対策を身につけていく中、ただ授業の予習復習をするだけでは、その差は広がるばかりだった。
高校最後の春、毎年行われている進学クラスの入れ替えで、優里は通常クラスへ格下げとなってしまった。10月にあった中間テストは風邪を引いて高熱を出し、それでも学校へ行こうとする優里を母は止めた。
受験は自分が熱を出そうが、自分の町が悪天候だろうが、よほど災害級の出来事が起きない限り、通常通り行われる。普段から試験に備えての体調管理、数日前からいろんな事を予想して準備をする事が、大学受験だけでなく、これから社会に出て認められるための最低限の常識だと、特進クラスの担任が優里にそう言った。
クラスの中で、自分がどの位置にいるのか、それはよくわかっている。努力だけでは追いつかない状況になってきた自分の存在が、担任にとっては足手まといだという事も、よくわかっている。
それでもなんとか進学クラスに残りたくて、期末試験までの間、毎日必死で勉強してきたのに。
今まで親しい友達も作らず、高校生らしい日常なんてひとつもなかった。
なのに、神様はとうとう、こっちを向いてはくれなかった。
4月6日。
自分が入れ替えになったクラスでは、初めて顔を合わせる同級生達ばかりで、なかなかその輪の中に入っていくことができなかった。進学クラスからやってきた落ちこぼれの自分を見る視線は、どこか冷ややかなものだと感じた。
誰とも話さず一人で席に座っていると、聞きたくもない笑い声が誇張されて耳に残る。
部活動に明け暮れているか、誰が誰を好きとか嫌いとか、アホみたいに無駄な感情に左右されている人達。高校生活なんて、何より思い出作りが大切だと思っているこの集団の中で、私は最後の一年をやり過ごすさなければならないのか。
「佐伯、お前、Aから落ちてきたんだよな。」
隣りの席になった高田直哉《たかだなおや》が、優里にそう言った。
将来を見据られないような、この手の人間はかなり苦手だ。これからはなんの感情も持たず、目立たない様に過ごせばいいや。
「佐伯さんだっけ?」
前の席にいた八木悠《やぎはるか》が、優里の方を向いた。
「小5の時に一緒だったよね?」
優里はその顔に少し見覚えがあった。
「悠?」
「そう。優里と同じ高校だったなんて、ぜんぜん知らなかった。」
悠はそう言うと、優里の手をぎゅっと掴んだ。
「うちの親、転勤族だから、ここの町には去年から住んでいたの。良かった、あんまり話す人がいなかったから、優里が一緒なら心強い。」
自分がこのクラスにきて落胆している事を知らない悠には、なんの悪気もない。
「去年、ここに転校してきたの?」
優里は悠にそう聞いた。
「そうだよ。ねえ、これからお弁当、一緒に食べよう。」
悠は嬉しそうに優里の手を揺すると、
「良かった。これから楽しくやろうね。」
そう言った。
テンションの高い悠に、優里は少しうんざりした。前のクラスでは、こんな煩わしい人付き合いなどなかったから、正直めんどくさい。友達という存在は、自分の時間を削っていくようだ。
学校が終わり駅まで歩いていると、さっき自分をからかった高田が、優里を追いかけてきた。
「佐伯、お前も駅まで行くんだろう。」
「そうだけど。」
優里は目を合わせず、黙々と歩いている。
「17時の汽車に乗るのか?」
「うん。」
「俺もそう。」
「同じ汽車になった事なんてあった?」
優里は初めて高田の顔を見た。
雨に濡れたような黒い瞳とスーッと整った鼻筋。優里は一瞬、何の音も聞こえず、高田の顔に魅入った。
「俺は反対の汽車。佐伯の乗る汽車と出発するのは一緒だろう。」
高田の声が近くで聞こえると、優里は現実に戻った。
「そういえばそうだね。」
進学クラスから落ちたと言っても、自分は人の羨むような大学へ行くんだ。高校なんて通過点。役に立たない思い出なんて、ひとつもいらない。
「佐伯、なんでそんなテンションなの?」
高田は優里の肩に手を置いた。
「知らない。」
優里はそう言うと、高田から離れる様に走って駅まで向かった。
汽車に乗り込むと、隣りに停まる車両に高田が乗っているのが見えた。優里は高田に気づかれない様、窓から顔が見えない位置に座り直した。
次の日。
休み時間に勉強していた優里の参考書を、高田が奪った。
「佐伯、勉強ばっかりしてたら体壊すよ。」
「返してよ。」
優里は高田が持っている参考書に手を伸ばした。隙をついて奪い取ると、さっき見ていたページを急いで探した。
「最後の高校生活なんだって。」
高田は優里の肩に手を置いた。
「高田くん、あんまりしつこいと、優里は本気で怒るよ。」
悠が高田に注意すると、高田は優里にごめんと言って席を離れた。
「ねぇ、優里。どこの大学を目指してる?」
「まだ、決めてない。悠は?」
「私は入れたらどこでもいいや。」
悠はそう言って、席を立った。
「邪魔してごめんね、優里。」
10
あなたにおすすめの小説
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる