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第二部 少年編
第三十六回
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「一体どうしたでござる!」
イズヴァルトとマイヤが外に出た。駆け上って来る彼等を見て「あっ!」と驚いた。ウラスコーの町はこの場所では隅々まで見渡せたのだ。
町には至る所、水色の長い繊毛の様なものに覆われていた。建物の窓や井戸や排水溝からうねうね、くねくねとうごめき、人々の悲鳴がこだましていた。
少年達は「変な長いものが街のみんなを襲っている!」と伝えると、イズヴァルトは穴倉の中へと戻り、覇王の剣を手に取って鞘から抜き放った。刀身は赤色に激しく輝いていた。
(まさか、魔族でござるか!)
こんなところにまで、魔竜の眷属たちが侵入していたとは。すぐにでも助けに行かなければ、とイズヴァルトは荷物の中に入れていた膝までの鎖帷子、鉄の胸当てをすぐに身に着け、毛織の帽子をかぶった。
帽子の上に、ホーデンエーネンの聖騎士の証であり、彼の家の家紋が彫られた鋼のサレットを目深にかぶるせると、マイヤの為に買った子供用のチェインメイルを荷から取り出した。
駆けつけてきた彼女に、「もしもの時があればこれを着て突っ切るでござるよ」と言って手渡す。
「連弩があったよね?」
「矢は20本ござる」
「それだけか……ターケハールの街で買っておくべきだったなあ」
マイヤはイズヴァルトが手入れしてくれたそれを持つと残念がった。ターケハールの武器屋には、ホーデンエーネン制の連弩と矢が売られていた。姫竜の牙があればもっと手伝えるのに。
「イズヴァルト。一緒に行っていい?」
「駄目でござる」
きっぱりと断り、少年達とここで待っている様に申し付けて若き騎士は、一目散に麓へと駆け降りて行った。
□ □ □ □ □
街では老若男女問わず、街の者達は、妖しく動く長い軟体の生物によって絡め取られていた。表面はぬらりとして生暖かい。繊毛というべきか、いや、これは触手であった。
子供の腕ほどの太さだ。自在に伸びるそれは、半透明でふにゅりとした質感であった。町の者の手足を縛るだけでなく、彼等のズボンやスカート、腰巻の中へと潜ってしきりにこねくり回し続けていた。
「あひいいーっ!」
「はわああああん!」
「ああん、きもちいいいーっ!」
陰茎は水ようかんのようなやわらかさと、思いのほか強い弾力性のあるそれにしごかれて精を放ち、女性器は中をこねくりまわされていた。
「あううう。あうううーっ!」
身体の奥で触手はねっとしとした動きでこねまわす。きつくて入りきらない事は無かった。狭い膣だと触手は細くなり、膣が馴染むと大きさを増すのだ。
表面が絶えずぬらぬらとしていたから、こすれて痛くなる事は無かった。入り込むのは女性器だけでない。口や尻の穴までも侵入して来る。
「おっ♥ おおっ♥ おおおおおっ♥」
触手に絡めとられ、アナルを制圧されペニスをしごかれていた男達は臆面無くメスイキの声をあげながら絶頂し、射精し続けていた。口の中に触手の先端から液体を放たれると、射精したペニスはたちまちの内に勃起して、更なる高ぶりへと進んで行った。
それだけではない。触手は股と尻の穴や棒だけではなく。女に対してはクリトリスまで浸食していた。先端に細かい繊毛を作り出し、ぬらぬらとしたそれで小刻みに可愛がるのだ。
「うう。うううー! (も、もっとねちょねちょして!)」
町の者達は皆、この触手らによる凌辱を心の底から楽しんでいた。触手はうまれたばかりの赤ちゃんや物覚えがついたぐらいの幼児もくすぐっていた。
町の一角にある若夫婦の家では、触手を悶え楽しむ父母に見られながら、産まれて3カ月目の赤ん坊が触手たちが集まって形作ったゆりかごに乗せられ、はがされたおむつからまろびでた割れ目とお尻の穴とを、くちゅくちゅとされて喜んでいた。
「おびゃびゃぶーい! (きもちいいよう! もっとしてー!)」
この魔力生物達には人を害する気配は無かった。というより耽溺させて甘やかすという気配が濃厚だ。それでも一度捕らえられたらどうしようもない。
町に入ったイズヴァルトは次々と襲い掛かる触手達を大剣で切り裂いて、一心不乱に町長の家へと向かっていた。
「……力技で襲い掛かるものよりも質たちが悪いでござる!」
前後から飛び込んで来た。おおよそ10本。イズヴァルトは飛び上がり、回転しながら叩き切った。足元からも伸びあがって来ると、素早く横にそれて思い切り薙ぐ。
なかなかに素早い。この魔物達で鍛錬が出来るのではないだろうかと考えた。この触手の大元をとっ捕まえて支配し、聖騎士団の訓練過程に触手を持ち込むのはいかがだろうか?
なれど、触手達の数は多かった。斬っても次々と湧いて出てくる。街中はひどい有様だ。すでに触手に絡めとられて愛撫されている者らから、精液と愛液のにおいが充満していた。
何故か勃起を催させる。とてつもない強敵と立ち会える事に歓喜しすぎ、思わず射精してしまった。鎖帷子の中はスカートだったから、自分が放った濃厚な精液のにおいを嗅いでにやりと笑った。
「たまらない、匂いでござるな……」
剣を握りしめた小手に力が入る。四方八方からかかってきた触手に、心が躍ってしまった。
「うれしくてたまらぬでござるよ!」
森の中の肉食獣の様な早さでもってイズヴァルトは動き、触手たちを次々と葬って行った。ようやく町長の館にたどり着いた。
そこでは町長とお手伝いの手伝い女の3名が、身ぐるみを引っ剥がされ、鼻と耳以外の穴を触手の先端に塞がれ、悶え狂っていた。
「うほほほほーい♥」
「あっ!」
「ひゃおっ!」
「おぷぷぷぷ!」
クロームウェルの邪気の無い喜び声と、女を捨てきってしまった小間使い達の悶え声が。赤ん坊たちもあああひゅうーと笑いながら、己の秘部と尻穴をくすぐる触手を楽しんでいた。
「あっ♥ あっ♥ あーっ♥」
宙づりにされた町長は見るも無残だった。ペニスは太い触手が造った穴の中に入れられてしごかれつづけ、スカートをめくられて丸出しになった尻には触手による激しいガン掘りが行われていたのである。
「おちりが熱い♥ おちんちんも吸われちゃう♥ わ、わしもうだめ♥ このこたちがいないと死んじゃいそう♥ だめ、だめだめだめ♥ ぜったいにとめにゃいでぇーっ♥」
触手は町長の上着をはがし、突き出た腹とニップルにもぬるりとして柔かいものを這わされていた。乳首は繊毛ばかりになった先端によって刺激され、ぴんと勃起して牡乳の汁が垂れてしまった。
「んんーっ♥ おっぱいはだめ! だめじゃ♥ はひ! うひひひ! はうううううう♥」
触手たちは更に、町長のわきの下や横腹をくすぐり始めた。あれをやられたら地獄でござる。イズヴァルトは思い切った。町長どのには申し訳ないが、今すぐお助けいたすでござる!
イズヴァルトが動いた。町長と小間使い3人が触手から解放された。余韻に浸って呆けた顔の女達は置いといて、メスイキアクメですっかり淫乱中年男の貌となった町長を抱き起こした。
「あふふ♥ ……あれ、イズヴァルト君? もしかして儂が乱れるところを見て、けつの穴に入れたくなったんかのう?」
「溺れるのも大概にするでござるよ? クロームウェルどの。このへんなくねくねとしたいやらしい魔物たちは一体なんでござるか?」
「……さ、さあ。しかしのう。これはもしかして、もしかするかもしれんけえ」
町長は身なりを整え、飾っていた剣を手に取えながらイズヴァルトに秘密の話を語った。初代国王のジョナサンが、ぬるぬるした魔物に絡めとれて「あひゅん……」と悶える事を毎日楽しんでいたそうだ。
「こういうものにでござるか?」
「そうらしいのう。その魔物は代々、ウラスコー家の女達を助けたそうじゃ。あのエリザべスもな」
新手の触手が開いた窓から入り込んで来た。すかさずイズヴァルトは斬り伏せた。小間使い達がうらめしそうな眼でそれを見る。赤ん坊たちはずっと触手にかわいがられ、「あひゃひゃ!」と笑っていたが。
「そして魔物はウラスコー家の代々すべての女達を……初代ジョナサンの様におまんこと尻穴をくちゅくちゅしてもらってたらしいのう」
「ジョナサン王は女王でござったか!」
「知らんけえ? ヒッジランドは神に護られた女王の国じゃったんよ! 二代目と三代目以外はみーんな女王様が君臨していたんじゃ!」
ウラスコー王朝の二代目の国王は孕ませだけが得意なろくでなし。三代目に至っては妻と娘に牛耳られるへたれ王であった。以後、女王ばかりが君臨した。
特筆すべきは、王朝最後の国王は、王国危急の時で女ではどうにもならぬ、と廷臣達が盛んに叫んだので入り婿が即位した。女が作り男が滅ぼした国が以前のヒッジランドであった。
ちなみにだがイーズモーの暗黒卿は熟女好きでもあった。愛妾にしたエリザベスの実母も美人と評判だったので後宮に入れたがったが、ぴしゃりとはねつけられて悲しい思いをしたらしい。
「というわけですけえ。しかしこの触手どもはどうして?」
「その根源を突き止めるのが先でござる。姫竜の牙、貸していただけぬでござるか?」
大剣よりも素早く振れるあの魔剣の力を借りたい。風切りの力でもってなぎ倒したいとイズヴァルトは考えていた。町長はうなずいて屋敷の地下室へと向かう。そこに姫竜の牙はしまわれていたのだ。
「姫竜の牙はこの中にござるのか?」
照明石ではなくガス灯で明かりをつけた町長に尋ねる。この地下室は元は王国の宝物蔵だった。暗黒卿とヒッジランドの新王朝に根こそぎ持っていかれたが、覇王の剣と姫竜の牙だけは隠し通せたと。
「覇王の剣と姫竜の牙だけは、イズヴァルト君が暮らしている温泉場に隠したそうじゃよ」
「なるほど。しかし広い地下室でござる。ここなら確かに財宝が隠せると思うでござるが……」
姫竜の牙は地下の一番奥の部屋に置かれていた。そこにはヴィクトリアの思い出の品。彼女が寝るときに抱いたぬいぐるみや、少女時代に身に着けていた靴下や乳当てや月経帯などが箱の中に納められていた。
「ヴィクトリアちゃんの思い出の品があるけえ。中には洗濯を怠ったものもあるから、それのにおいを嗅いでちんちんをしこしこするのもええよ?」
「……拙者はそこまでひどく思われているのでござろうか?」
ならばヴィクトリアに懸想をしていたウォルターに全て授ければ。そう提案しようとした時に覇王の剣の刀身が帯びていた赤い光が輝きを増した。
相当上位の魔物がいるという証だ。イズヴァルトは印を切り、いつでも全力を出そうと身構えた。しかし姫竜の牙が欲しい。それが納められている地下室に向かうと、凄まじい圧気が扉の向こうから感じられた。
「イズヴァルト君。わしにもわかるけえ……」
「ここからは拙者一人で十分でござる。少々手荒でござるが、御免致す!」
先手必勝だ。イズヴァルトは覇王の剣に秘められた重圧の力を解放した。扉に向かって振り下ろすと、壁がめりこみ扉が吹き飛んだ。
「ひゃああーっ!」
なんだか気抜けしてしまう。幼い女の子の声が部屋の奥から聞こえて来た。速足で部屋の中に入り込むと、吹っ飛んだ扉の下敷きになった、人型で水色の子供みたいな背丈の生き物がもがいていた。
「おもいでち! いったいなにをしたでちか!」
生き物は4歳ぐらいの童女の様な背丈で、何も身にまとっていなかった。しかし顔はある。目玉は無いが目や口や鼻の様なものがあった。全体が身体と同じ色をしていた。
頭はつるっぱげというわけでなかった。髪みたいなものがついていた。髪があればボブカットのそれに近かったが、触ってみるとぷるぷると揺れた。
「うーむ。これは魔物でござろうか?」
「まぞくでち! あたちは『すいま』とよばれるまぞくでちよ!」
「すいま? どういう魔物でござろうか?」
童女の様な魔族は答えた。スライムや半魚人の様な水属性の魔法を得意とする魔の一族が魔界にはいる。その中でも自分達の一族は、最高位にある存在だ。水魔と呼ぶ。
「ふ、ふーむ。それでそなたがどうしてここにおるでござるか?」
「ひめりゅうのきばでわるいことをしようとまちのみんながたくらんでいるときいたから、こうしてしょくしゅちんたちでとめたのでちよ!」
話が分からない。しかしこの魔物が町を襲った触手の根源であることがわかった。イズヴァルトは覇王の剣を魔物の首根っこに突きつけた。
「ふ。ふふん! くろきしぐらっとんちんのおたからでちね! ふーんだ! そんなのでやられるあたちじゃございませんでち!」
本当にそうだろうか。容赦なく振り下ろしてみたがぼよん、とした感触とともに弾かれた。しかし水魔も叩かれて痛かったらしい。「びええええん!」と泣いた。目玉がないのに眼から涙が出ていた。
「びええええん!」
「すまぬでござる……」
「だいじょうぶだからってようしゃしないなんてひどいでち! あたちはあんたちゃんのことなんかきらいでち!」
「あはは……それよりもそなたの誤解を解きたいでござるよ?」
あそこに飾られている姫竜の牙で、この町の人達は悪いことをたくらんでいない。イズヴァルトはこの魔物の誤解を解こうと熱弁をふるった。
□ □ □ □ □
「ふえ。ふえええん。ヴィクトリアちんはおなくなりになっちゃったんでちか?」
町長の部屋で水魔の娘は、めそめそと泣いてジェニファーにしがみついた。何故ヴィクトリアの名前を知っているのだろう。
姫竜の牙と一緒にお供えをされていたヴィクトリアの遺品の猫のぬいぐるみを抱きしめていた水魔に、イズヴァルトと町長は聞き出した。
「あたちはヴィクトリアちんとなかよしだったんでちよ……」
町の者達にはすっかり忘れ去られていた水魔だが、嫡流のヴィクトリアだけはその存在を知っていた。まだ6歳の頃に祖父に連れられて初めて知り合った彼女に、触手による洗礼を受けさせた。
それならば処女膜は突き破られているはずだ。アカサカチハヤで抱いた彼女は処女だった。いや違うよと水魔は答えた。繊毛で身体の隅々をくすぐっただけなのだと。
「ヴィクトリアちんはからだのおくにいれられるのをとてもいやがったでち。だからあたちはぬめぬめくすぐりだけでとどめたんでちよ。まいかい……」
「ということは何度かそういう事をしたというのでござるか。うううむ……」
とはいえヴィクトリアは触手たちとの定期的な交流により、美肌とはちきれんばかりのおっぱいを手に入れたという。精飲と直腸おちゅーしゃで肌をつやつやさせている、どこかの誰かさんみたいに思えたが。
水魔は涙ぐみながら猫のぬいぐるみのにおいを嗅いで、少女時代のヴィクトリアのおまんこのにおいがするとつぶやいた。これを直に股に挟んで悶えていたらしい。とても女の子らしい人だったのだなとイズヴァルトは思った。
「おいえさいこうをこころざしたヴィクトリアちんは、あたちのしょくしゅちんでしゅぎょうしたのでちよ」
木刀を持って、四方八方から襲い掛かる触手を払いのける鍛錬をヴィクトリアは繰り返した。たまにやられて繊毛でくすぐられ、アヘアへと喘ぐ事もあったが身のこなしはめきめきと上達したという。
「……おもえばごせんぞのジョナサンちんもそうだったでち。エリザベスちんも」
「そなた、姫騎士エリザベスとも知り合いでござったか! あ、いや、守り神でござるからな」
「れきだいのおんなのこのなかでいちばんゆうぼうだったのはエリザベスちんだったでち。ジョナサンちんとヴィクトリアちんいがいは、わざとしょくしゅちんにからめとられてあへあへしたがるろくでなしばかりだったでちよ」
それと。あの暗黒卿にも触手によるおもてなしを何度もせしめたという。ただ彼は気持ちよいことは良かったが、終始平静で黙り込んで、美酒を味わう様に触手の愛撫を楽しんだという。
どこまでも冷静で平静さを保っていたが、水魔に言わせるとええかっこしいの気取りたがり屋。とはいえ彼女は幾多の決戦で暗黒卿に黒星をつけていた。とんでもなく恐ろしい相手だったと。
「そのあんこくきょうちんもエリザベスちんもいまはなく、そのまつえいのヴィクトリアちんまでもがいなくなったでち……」
「しかしでござる。姫竜の牙で悪いことをしたと吹聴したのは、どこのどなたでござろうか?」
「たしか……ぱらっつぉきょうとかいうだんたいの、ヘンリック=イプセンとかいうかっこいいおにいさんだったでちよ?」
パラッツォ教の手がここまで入り込んでいたとは。イズヴァルトは詳しい話を聞き出した。パラッツォ教のヘンリックらはヒッジランド王家から頼まれ、反乱の計画を立てているウラスコーの町の者らを説得する為にやって来た。
ついでに王国からサート鉱山に残っているミスリル鉱脈の調査も受けているという。話がつながった。パラッツォ教団はサート鉱山の掘り残しを狙っていたのだ。
「魔族とはいえ、いたいけな女の子を騙して悪事に加担させたとは、許せぬでござる!」
今すぐにでも成敗してやる。そう意気込んでイズヴァルトは水魔に協力を求めた。彼女は「いやでち!」ときっぱりと断った。
「なぜにでござる!」
「あたちはまかいでもくらいのたかいまぞくでち! けーやくにはそれそうおうのじょーけんがほしいんでちよ!」
水魔の娘が言う条件。亜人か強大な魔力の持ち主か、あるいは前世の記憶を持つ者。つまりは転生人だ。その上に更に条件があった。ちんちんがついていない性別のほうである。
「な、なんでござるかその条件は?」
「すいまのまりょくとしょくしゅちんは、おんなのこのほうがしんわせいがたかいんでち! ジョナサンちんはてんせいじんとまりょくのもちぬしということでじょうけんにかなっていたでち!」
初代のジョナサンは前世の記憶があった。前の人生ではとある大国のお姫様だったらしい。しかし『せきぐん』と呼ばれる反乱軍に親兄弟とともに幽閉され、暗殺の憂き目に遭ったという。
「とてもいばりんぼうでよくにまみれただいおうさまを、むりやりにえんじさせられたしょうしんもののおとうさまと、でかでかちんぽのあやしいおぼうさんにのめりこんだ、いしはくじゃくなおかあさまのせいでくろうしたとおっしゃっていたでち!」
「うーむ。その話はマイヤから聞いたでござる。『ろしあ』とかいうでっかい国の、『ろまのふ』と呼ばれる薄らたわけな王家でござるな?」
「そうでちそうでち! ジョナサンちんはぜんせでは、アナスタシアといかいうなまえだったでち!」
「あれ? 確かその姫様は……一人生き残って『あめりか』なる国に逃げたと聞かされたでござるが?」
水魔は否と答えた。幽閉中、父親の目の前で姉や母ともども無法者の監視員達に散々に輪姦されるという散々な目に遭った。
しばらくして『せきぐん』の幹部の一人に愛人になるか死ぬかを持ちかけられた。ぶち切れて「さっさと殺せ『ぐるじあ』のごろつき野郎!」と啖呵を切ったから殺されたらしい。
「ひどい話でござる……」
「だからうまれかわったあとはヒッジランドのとういつとみんなをしあわせにするせいじにいそしんだのでち! ジョナサンちんほどのめいくんは、このヒッジランドにはいなかったでちよ!」
今の王国のことは良く知らんが。水魔はそう付け加えてイズヴァルトに提案した。せめて3つの条件のうち1つを叶えられる女の子が知り合いにいれば契約してやる。
「そうなればヒッジランドにいるかぎり、あたちがそのおんなのこをまもってあげるでち! ついでながらイプセンちんのいばしょもさがしだして、あわせてあげるでちよ!」
「……いるでござる。1つの条件だけ叶えられる人物が拙者の身近に」
「ほんとうでちか!」
イズヴァルトはうなずいた。それよりもこの魔族の名前をまだ聞いたことが無かった。ジェニファーに抱きしめられてうとうととし出した水魔に名前を尋ねた。
「あたちのなまえは……ブランカでち!」
□ □ □ □ □
「きゃーっ! かわいい!」
姫竜の牙を携えたイズヴァルトは、療養所に連れてきたブランカを見て抱き上げたマイヤがそう叫ぶのを見て、これなら仲良くなれそうだと安心した。
しかし当のブランカは何やら気難しい顔をしている。言い表しにくい表情だ。強いて言えば、許嫁の面倒な友人とばったり色街であった時の貴族の若者がする顔だ。
「うーん。このおんなのこ。みょーなかんじがするでち」
「どうしたのブランカちゃん? 私は貴方のこと、可愛くてたまらないとしか思えないんだけど?」
「いやいや。あなたのからだのさいぼうから、サキュバスちんのおまんこのにおいとにたかおりがぷんぷんとするんでちよ……」
それから亜人の中で一番面倒くさい種族のハーフリングのにおいも。まとめると愛嬌たっぷりで淫乱な。そんな評され方をされてマイヤはふくれっ面になった。
「ひどいなあ。私はブランカちゃんのこと、そんな悪く思っていないのに?」
「きぶんをがいしてしまってもうしわけないでち。しかしあなたはどうも……いろいろとすっごいごせんぞがいそうでちね?」
水魔ははっきりという。多分魔界の魔族の血が流れていると。マイヤはそうかもしれないと答えた。少なくともご先祖のうち1人に、ハーフリングやサキュバスはいたかもしれない。
ニンゲンの中には亜人が先祖の中にいるという者が数えきれないほどいた。特にサキュバスは精力自慢の男と盛んに交わる。
彼女は姉のトーリから、おちんぽ汁狂いの淫魔が母方のご先祖にいたということを聞いたことがあった。しかしハーフリングは聞いたことがない。多分父親のポンタ―の家系であろう。
「ということは私は合格でいいのかな?」
「もちろんでち。マイヤちんはあたちとけいやくをむすぶことができるでち! とはいえあなたにかんじるまかいのけはいではないでち。てんせいじんということでけいやくをむすばせてもらうでちよ?」
ブランカは契約の儀を行う前に、まずはこれにサインしろと魔法で羊皮紙とインクのついた羽ペンを出した。『魔王の証文』と呼ばれる契約書であった。
「はいはい。ここになまえをかくでち」
「見たことがない文字ばかりで読めないよ? 何が書いてあるの?」
「とってくうとかかいてないでち。じゃあよみあげるでちね」
ブランカが魔王の証文を読み上げる。1つ。魔族の力を悪だくみに用いてはならない。2つ。魔族の力はいいことに用いましょう。
3つ。この決まりを決して破ってはいけません。4つ。契約者さんは契約相手の魔族をいじめてはいけませんよ。極めて平和的なことばかりだ。契約を破ったら魂を食うなどと、恐ろしいことは書いていなかった。
「なるほど。魔界はなかなかに平和的なのね!」
「もちろんでち! どこかのたいりくにある、ばんゆうをふるってばかりのおうこくとはおおちがいでち!」
「拙者なんぞ、所詮はその野蛮な国の家来筋でござるよ……」
イズヴァルトがふてくされる間に、マイヤは羊皮紙に自分の名前をサインした。まずは契約書の記入が終わる。ここからが本当の契約の儀であった。
「さて、マイヤちんはあたちとてをむすぶことになったでち」
「となりますと? どういう契約の方法なのかな?」
「それはでちね……」
水魔はどこかからか触手達を呼び出した。それらを見てマイヤは呆気にとられる。すぐさま彼女は絡め取られて沐浴場へと連れて行かれてしまった。
この後行う儀式こそが、マイヤならずヒッジランド旧王家の歴代の女達も為したもの。さて、マイヤはいかなる行いでもって水魔との契りを結ぶのであろうか?
その続きについてはまた、次回にて。
イズヴァルトとマイヤが外に出た。駆け上って来る彼等を見て「あっ!」と驚いた。ウラスコーの町はこの場所では隅々まで見渡せたのだ。
町には至る所、水色の長い繊毛の様なものに覆われていた。建物の窓や井戸や排水溝からうねうね、くねくねとうごめき、人々の悲鳴がこだましていた。
少年達は「変な長いものが街のみんなを襲っている!」と伝えると、イズヴァルトは穴倉の中へと戻り、覇王の剣を手に取って鞘から抜き放った。刀身は赤色に激しく輝いていた。
(まさか、魔族でござるか!)
こんなところにまで、魔竜の眷属たちが侵入していたとは。すぐにでも助けに行かなければ、とイズヴァルトは荷物の中に入れていた膝までの鎖帷子、鉄の胸当てをすぐに身に着け、毛織の帽子をかぶった。
帽子の上に、ホーデンエーネンの聖騎士の証であり、彼の家の家紋が彫られた鋼のサレットを目深にかぶるせると、マイヤの為に買った子供用のチェインメイルを荷から取り出した。
駆けつけてきた彼女に、「もしもの時があればこれを着て突っ切るでござるよ」と言って手渡す。
「連弩があったよね?」
「矢は20本ござる」
「それだけか……ターケハールの街で買っておくべきだったなあ」
マイヤはイズヴァルトが手入れしてくれたそれを持つと残念がった。ターケハールの武器屋には、ホーデンエーネン制の連弩と矢が売られていた。姫竜の牙があればもっと手伝えるのに。
「イズヴァルト。一緒に行っていい?」
「駄目でござる」
きっぱりと断り、少年達とここで待っている様に申し付けて若き騎士は、一目散に麓へと駆け降りて行った。
□ □ □ □ □
街では老若男女問わず、街の者達は、妖しく動く長い軟体の生物によって絡め取られていた。表面はぬらりとして生暖かい。繊毛というべきか、いや、これは触手であった。
子供の腕ほどの太さだ。自在に伸びるそれは、半透明でふにゅりとした質感であった。町の者の手足を縛るだけでなく、彼等のズボンやスカート、腰巻の中へと潜ってしきりにこねくり回し続けていた。
「あひいいーっ!」
「はわああああん!」
「ああん、きもちいいいーっ!」
陰茎は水ようかんのようなやわらかさと、思いのほか強い弾力性のあるそれにしごかれて精を放ち、女性器は中をこねくりまわされていた。
「あううう。あうううーっ!」
身体の奥で触手はねっとしとした動きでこねまわす。きつくて入りきらない事は無かった。狭い膣だと触手は細くなり、膣が馴染むと大きさを増すのだ。
表面が絶えずぬらぬらとしていたから、こすれて痛くなる事は無かった。入り込むのは女性器だけでない。口や尻の穴までも侵入して来る。
「おっ♥ おおっ♥ おおおおおっ♥」
触手に絡めとられ、アナルを制圧されペニスをしごかれていた男達は臆面無くメスイキの声をあげながら絶頂し、射精し続けていた。口の中に触手の先端から液体を放たれると、射精したペニスはたちまちの内に勃起して、更なる高ぶりへと進んで行った。
それだけではない。触手は股と尻の穴や棒だけではなく。女に対してはクリトリスまで浸食していた。先端に細かい繊毛を作り出し、ぬらぬらとしたそれで小刻みに可愛がるのだ。
「うう。うううー! (も、もっとねちょねちょして!)」
町の者達は皆、この触手らによる凌辱を心の底から楽しんでいた。触手はうまれたばかりの赤ちゃんや物覚えがついたぐらいの幼児もくすぐっていた。
町の一角にある若夫婦の家では、触手を悶え楽しむ父母に見られながら、産まれて3カ月目の赤ん坊が触手たちが集まって形作ったゆりかごに乗せられ、はがされたおむつからまろびでた割れ目とお尻の穴とを、くちゅくちゅとされて喜んでいた。
「おびゃびゃぶーい! (きもちいいよう! もっとしてー!)」
この魔力生物達には人を害する気配は無かった。というより耽溺させて甘やかすという気配が濃厚だ。それでも一度捕らえられたらどうしようもない。
町に入ったイズヴァルトは次々と襲い掛かる触手達を大剣で切り裂いて、一心不乱に町長の家へと向かっていた。
「……力技で襲い掛かるものよりも質たちが悪いでござる!」
前後から飛び込んで来た。おおよそ10本。イズヴァルトは飛び上がり、回転しながら叩き切った。足元からも伸びあがって来ると、素早く横にそれて思い切り薙ぐ。
なかなかに素早い。この魔物達で鍛錬が出来るのではないだろうかと考えた。この触手の大元をとっ捕まえて支配し、聖騎士団の訓練過程に触手を持ち込むのはいかがだろうか?
なれど、触手達の数は多かった。斬っても次々と湧いて出てくる。街中はひどい有様だ。すでに触手に絡めとられて愛撫されている者らから、精液と愛液のにおいが充満していた。
何故か勃起を催させる。とてつもない強敵と立ち会える事に歓喜しすぎ、思わず射精してしまった。鎖帷子の中はスカートだったから、自分が放った濃厚な精液のにおいを嗅いでにやりと笑った。
「たまらない、匂いでござるな……」
剣を握りしめた小手に力が入る。四方八方からかかってきた触手に、心が躍ってしまった。
「うれしくてたまらぬでござるよ!」
森の中の肉食獣の様な早さでもってイズヴァルトは動き、触手たちを次々と葬って行った。ようやく町長の館にたどり着いた。
そこでは町長とお手伝いの手伝い女の3名が、身ぐるみを引っ剥がされ、鼻と耳以外の穴を触手の先端に塞がれ、悶え狂っていた。
「うほほほほーい♥」
「あっ!」
「ひゃおっ!」
「おぷぷぷぷ!」
クロームウェルの邪気の無い喜び声と、女を捨てきってしまった小間使い達の悶え声が。赤ん坊たちもあああひゅうーと笑いながら、己の秘部と尻穴をくすぐる触手を楽しんでいた。
「あっ♥ あっ♥ あーっ♥」
宙づりにされた町長は見るも無残だった。ペニスは太い触手が造った穴の中に入れられてしごかれつづけ、スカートをめくられて丸出しになった尻には触手による激しいガン掘りが行われていたのである。
「おちりが熱い♥ おちんちんも吸われちゃう♥ わ、わしもうだめ♥ このこたちがいないと死んじゃいそう♥ だめ、だめだめだめ♥ ぜったいにとめにゃいでぇーっ♥」
触手は町長の上着をはがし、突き出た腹とニップルにもぬるりとして柔かいものを這わされていた。乳首は繊毛ばかりになった先端によって刺激され、ぴんと勃起して牡乳の汁が垂れてしまった。
「んんーっ♥ おっぱいはだめ! だめじゃ♥ はひ! うひひひ! はうううううう♥」
触手たちは更に、町長のわきの下や横腹をくすぐり始めた。あれをやられたら地獄でござる。イズヴァルトは思い切った。町長どのには申し訳ないが、今すぐお助けいたすでござる!
イズヴァルトが動いた。町長と小間使い3人が触手から解放された。余韻に浸って呆けた顔の女達は置いといて、メスイキアクメですっかり淫乱中年男の貌となった町長を抱き起こした。
「あふふ♥ ……あれ、イズヴァルト君? もしかして儂が乱れるところを見て、けつの穴に入れたくなったんかのう?」
「溺れるのも大概にするでござるよ? クロームウェルどの。このへんなくねくねとしたいやらしい魔物たちは一体なんでござるか?」
「……さ、さあ。しかしのう。これはもしかして、もしかするかもしれんけえ」
町長は身なりを整え、飾っていた剣を手に取えながらイズヴァルトに秘密の話を語った。初代国王のジョナサンが、ぬるぬるした魔物に絡めとれて「あひゅん……」と悶える事を毎日楽しんでいたそうだ。
「こういうものにでござるか?」
「そうらしいのう。その魔物は代々、ウラスコー家の女達を助けたそうじゃ。あのエリザべスもな」
新手の触手が開いた窓から入り込んで来た。すかさずイズヴァルトは斬り伏せた。小間使い達がうらめしそうな眼でそれを見る。赤ん坊たちはずっと触手にかわいがられ、「あひゃひゃ!」と笑っていたが。
「そして魔物はウラスコー家の代々すべての女達を……初代ジョナサンの様におまんこと尻穴をくちゅくちゅしてもらってたらしいのう」
「ジョナサン王は女王でござったか!」
「知らんけえ? ヒッジランドは神に護られた女王の国じゃったんよ! 二代目と三代目以外はみーんな女王様が君臨していたんじゃ!」
ウラスコー王朝の二代目の国王は孕ませだけが得意なろくでなし。三代目に至っては妻と娘に牛耳られるへたれ王であった。以後、女王ばかりが君臨した。
特筆すべきは、王朝最後の国王は、王国危急の時で女ではどうにもならぬ、と廷臣達が盛んに叫んだので入り婿が即位した。女が作り男が滅ぼした国が以前のヒッジランドであった。
ちなみにだがイーズモーの暗黒卿は熟女好きでもあった。愛妾にしたエリザベスの実母も美人と評判だったので後宮に入れたがったが、ぴしゃりとはねつけられて悲しい思いをしたらしい。
「というわけですけえ。しかしこの触手どもはどうして?」
「その根源を突き止めるのが先でござる。姫竜の牙、貸していただけぬでござるか?」
大剣よりも素早く振れるあの魔剣の力を借りたい。風切りの力でもってなぎ倒したいとイズヴァルトは考えていた。町長はうなずいて屋敷の地下室へと向かう。そこに姫竜の牙はしまわれていたのだ。
「姫竜の牙はこの中にござるのか?」
照明石ではなくガス灯で明かりをつけた町長に尋ねる。この地下室は元は王国の宝物蔵だった。暗黒卿とヒッジランドの新王朝に根こそぎ持っていかれたが、覇王の剣と姫竜の牙だけは隠し通せたと。
「覇王の剣と姫竜の牙だけは、イズヴァルト君が暮らしている温泉場に隠したそうじゃよ」
「なるほど。しかし広い地下室でござる。ここなら確かに財宝が隠せると思うでござるが……」
姫竜の牙は地下の一番奥の部屋に置かれていた。そこにはヴィクトリアの思い出の品。彼女が寝るときに抱いたぬいぐるみや、少女時代に身に着けていた靴下や乳当てや月経帯などが箱の中に納められていた。
「ヴィクトリアちゃんの思い出の品があるけえ。中には洗濯を怠ったものもあるから、それのにおいを嗅いでちんちんをしこしこするのもええよ?」
「……拙者はそこまでひどく思われているのでござろうか?」
ならばヴィクトリアに懸想をしていたウォルターに全て授ければ。そう提案しようとした時に覇王の剣の刀身が帯びていた赤い光が輝きを増した。
相当上位の魔物がいるという証だ。イズヴァルトは印を切り、いつでも全力を出そうと身構えた。しかし姫竜の牙が欲しい。それが納められている地下室に向かうと、凄まじい圧気が扉の向こうから感じられた。
「イズヴァルト君。わしにもわかるけえ……」
「ここからは拙者一人で十分でござる。少々手荒でござるが、御免致す!」
先手必勝だ。イズヴァルトは覇王の剣に秘められた重圧の力を解放した。扉に向かって振り下ろすと、壁がめりこみ扉が吹き飛んだ。
「ひゃああーっ!」
なんだか気抜けしてしまう。幼い女の子の声が部屋の奥から聞こえて来た。速足で部屋の中に入り込むと、吹っ飛んだ扉の下敷きになった、人型で水色の子供みたいな背丈の生き物がもがいていた。
「おもいでち! いったいなにをしたでちか!」
生き物は4歳ぐらいの童女の様な背丈で、何も身にまとっていなかった。しかし顔はある。目玉は無いが目や口や鼻の様なものがあった。全体が身体と同じ色をしていた。
頭はつるっぱげというわけでなかった。髪みたいなものがついていた。髪があればボブカットのそれに近かったが、触ってみるとぷるぷると揺れた。
「うーむ。これは魔物でござろうか?」
「まぞくでち! あたちは『すいま』とよばれるまぞくでちよ!」
「すいま? どういう魔物でござろうか?」
童女の様な魔族は答えた。スライムや半魚人の様な水属性の魔法を得意とする魔の一族が魔界にはいる。その中でも自分達の一族は、最高位にある存在だ。水魔と呼ぶ。
「ふ、ふーむ。それでそなたがどうしてここにおるでござるか?」
「ひめりゅうのきばでわるいことをしようとまちのみんながたくらんでいるときいたから、こうしてしょくしゅちんたちでとめたのでちよ!」
話が分からない。しかしこの魔物が町を襲った触手の根源であることがわかった。イズヴァルトは覇王の剣を魔物の首根っこに突きつけた。
「ふ。ふふん! くろきしぐらっとんちんのおたからでちね! ふーんだ! そんなのでやられるあたちじゃございませんでち!」
本当にそうだろうか。容赦なく振り下ろしてみたがぼよん、とした感触とともに弾かれた。しかし水魔も叩かれて痛かったらしい。「びええええん!」と泣いた。目玉がないのに眼から涙が出ていた。
「びええええん!」
「すまぬでござる……」
「だいじょうぶだからってようしゃしないなんてひどいでち! あたちはあんたちゃんのことなんかきらいでち!」
「あはは……それよりもそなたの誤解を解きたいでござるよ?」
あそこに飾られている姫竜の牙で、この町の人達は悪いことをたくらんでいない。イズヴァルトはこの魔物の誤解を解こうと熱弁をふるった。
□ □ □ □ □
「ふえ。ふえええん。ヴィクトリアちんはおなくなりになっちゃったんでちか?」
町長の部屋で水魔の娘は、めそめそと泣いてジェニファーにしがみついた。何故ヴィクトリアの名前を知っているのだろう。
姫竜の牙と一緒にお供えをされていたヴィクトリアの遺品の猫のぬいぐるみを抱きしめていた水魔に、イズヴァルトと町長は聞き出した。
「あたちはヴィクトリアちんとなかよしだったんでちよ……」
町の者達にはすっかり忘れ去られていた水魔だが、嫡流のヴィクトリアだけはその存在を知っていた。まだ6歳の頃に祖父に連れられて初めて知り合った彼女に、触手による洗礼を受けさせた。
それならば処女膜は突き破られているはずだ。アカサカチハヤで抱いた彼女は処女だった。いや違うよと水魔は答えた。繊毛で身体の隅々をくすぐっただけなのだと。
「ヴィクトリアちんはからだのおくにいれられるのをとてもいやがったでち。だからあたちはぬめぬめくすぐりだけでとどめたんでちよ。まいかい……」
「ということは何度かそういう事をしたというのでござるか。うううむ……」
とはいえヴィクトリアは触手たちとの定期的な交流により、美肌とはちきれんばかりのおっぱいを手に入れたという。精飲と直腸おちゅーしゃで肌をつやつやさせている、どこかの誰かさんみたいに思えたが。
水魔は涙ぐみながら猫のぬいぐるみのにおいを嗅いで、少女時代のヴィクトリアのおまんこのにおいがするとつぶやいた。これを直に股に挟んで悶えていたらしい。とても女の子らしい人だったのだなとイズヴァルトは思った。
「おいえさいこうをこころざしたヴィクトリアちんは、あたちのしょくしゅちんでしゅぎょうしたのでちよ」
木刀を持って、四方八方から襲い掛かる触手を払いのける鍛錬をヴィクトリアは繰り返した。たまにやられて繊毛でくすぐられ、アヘアへと喘ぐ事もあったが身のこなしはめきめきと上達したという。
「……おもえばごせんぞのジョナサンちんもそうだったでち。エリザベスちんも」
「そなた、姫騎士エリザベスとも知り合いでござったか! あ、いや、守り神でござるからな」
「れきだいのおんなのこのなかでいちばんゆうぼうだったのはエリザベスちんだったでち。ジョナサンちんとヴィクトリアちんいがいは、わざとしょくしゅちんにからめとられてあへあへしたがるろくでなしばかりだったでちよ」
それと。あの暗黒卿にも触手によるおもてなしを何度もせしめたという。ただ彼は気持ちよいことは良かったが、終始平静で黙り込んで、美酒を味わう様に触手の愛撫を楽しんだという。
どこまでも冷静で平静さを保っていたが、水魔に言わせるとええかっこしいの気取りたがり屋。とはいえ彼女は幾多の決戦で暗黒卿に黒星をつけていた。とんでもなく恐ろしい相手だったと。
「そのあんこくきょうちんもエリザベスちんもいまはなく、そのまつえいのヴィクトリアちんまでもがいなくなったでち……」
「しかしでござる。姫竜の牙で悪いことをしたと吹聴したのは、どこのどなたでござろうか?」
「たしか……ぱらっつぉきょうとかいうだんたいの、ヘンリック=イプセンとかいうかっこいいおにいさんだったでちよ?」
パラッツォ教の手がここまで入り込んでいたとは。イズヴァルトは詳しい話を聞き出した。パラッツォ教のヘンリックらはヒッジランド王家から頼まれ、反乱の計画を立てているウラスコーの町の者らを説得する為にやって来た。
ついでに王国からサート鉱山に残っているミスリル鉱脈の調査も受けているという。話がつながった。パラッツォ教団はサート鉱山の掘り残しを狙っていたのだ。
「魔族とはいえ、いたいけな女の子を騙して悪事に加担させたとは、許せぬでござる!」
今すぐにでも成敗してやる。そう意気込んでイズヴァルトは水魔に協力を求めた。彼女は「いやでち!」ときっぱりと断った。
「なぜにでござる!」
「あたちはまかいでもくらいのたかいまぞくでち! けーやくにはそれそうおうのじょーけんがほしいんでちよ!」
水魔の娘が言う条件。亜人か強大な魔力の持ち主か、あるいは前世の記憶を持つ者。つまりは転生人だ。その上に更に条件があった。ちんちんがついていない性別のほうである。
「な、なんでござるかその条件は?」
「すいまのまりょくとしょくしゅちんは、おんなのこのほうがしんわせいがたかいんでち! ジョナサンちんはてんせいじんとまりょくのもちぬしということでじょうけんにかなっていたでち!」
初代のジョナサンは前世の記憶があった。前の人生ではとある大国のお姫様だったらしい。しかし『せきぐん』と呼ばれる反乱軍に親兄弟とともに幽閉され、暗殺の憂き目に遭ったという。
「とてもいばりんぼうでよくにまみれただいおうさまを、むりやりにえんじさせられたしょうしんもののおとうさまと、でかでかちんぽのあやしいおぼうさんにのめりこんだ、いしはくじゃくなおかあさまのせいでくろうしたとおっしゃっていたでち!」
「うーむ。その話はマイヤから聞いたでござる。『ろしあ』とかいうでっかい国の、『ろまのふ』と呼ばれる薄らたわけな王家でござるな?」
「そうでちそうでち! ジョナサンちんはぜんせでは、アナスタシアといかいうなまえだったでち!」
「あれ? 確かその姫様は……一人生き残って『あめりか』なる国に逃げたと聞かされたでござるが?」
水魔は否と答えた。幽閉中、父親の目の前で姉や母ともども無法者の監視員達に散々に輪姦されるという散々な目に遭った。
しばらくして『せきぐん』の幹部の一人に愛人になるか死ぬかを持ちかけられた。ぶち切れて「さっさと殺せ『ぐるじあ』のごろつき野郎!」と啖呵を切ったから殺されたらしい。
「ひどい話でござる……」
「だからうまれかわったあとはヒッジランドのとういつとみんなをしあわせにするせいじにいそしんだのでち! ジョナサンちんほどのめいくんは、このヒッジランドにはいなかったでちよ!」
今の王国のことは良く知らんが。水魔はそう付け加えてイズヴァルトに提案した。せめて3つの条件のうち1つを叶えられる女の子が知り合いにいれば契約してやる。
「そうなればヒッジランドにいるかぎり、あたちがそのおんなのこをまもってあげるでち! ついでながらイプセンちんのいばしょもさがしだして、あわせてあげるでちよ!」
「……いるでござる。1つの条件だけ叶えられる人物が拙者の身近に」
「ほんとうでちか!」
イズヴァルトはうなずいた。それよりもこの魔族の名前をまだ聞いたことが無かった。ジェニファーに抱きしめられてうとうととし出した水魔に名前を尋ねた。
「あたちのなまえは……ブランカでち!」
□ □ □ □ □
「きゃーっ! かわいい!」
姫竜の牙を携えたイズヴァルトは、療養所に連れてきたブランカを見て抱き上げたマイヤがそう叫ぶのを見て、これなら仲良くなれそうだと安心した。
しかし当のブランカは何やら気難しい顔をしている。言い表しにくい表情だ。強いて言えば、許嫁の面倒な友人とばったり色街であった時の貴族の若者がする顔だ。
「うーん。このおんなのこ。みょーなかんじがするでち」
「どうしたのブランカちゃん? 私は貴方のこと、可愛くてたまらないとしか思えないんだけど?」
「いやいや。あなたのからだのさいぼうから、サキュバスちんのおまんこのにおいとにたかおりがぷんぷんとするんでちよ……」
それから亜人の中で一番面倒くさい種族のハーフリングのにおいも。まとめると愛嬌たっぷりで淫乱な。そんな評され方をされてマイヤはふくれっ面になった。
「ひどいなあ。私はブランカちゃんのこと、そんな悪く思っていないのに?」
「きぶんをがいしてしまってもうしわけないでち。しかしあなたはどうも……いろいろとすっごいごせんぞがいそうでちね?」
水魔ははっきりという。多分魔界の魔族の血が流れていると。マイヤはそうかもしれないと答えた。少なくともご先祖のうち1人に、ハーフリングやサキュバスはいたかもしれない。
ニンゲンの中には亜人が先祖の中にいるという者が数えきれないほどいた。特にサキュバスは精力自慢の男と盛んに交わる。
彼女は姉のトーリから、おちんぽ汁狂いの淫魔が母方のご先祖にいたということを聞いたことがあった。しかしハーフリングは聞いたことがない。多分父親のポンタ―の家系であろう。
「ということは私は合格でいいのかな?」
「もちろんでち。マイヤちんはあたちとけいやくをむすぶことができるでち! とはいえあなたにかんじるまかいのけはいではないでち。てんせいじんということでけいやくをむすばせてもらうでちよ?」
ブランカは契約の儀を行う前に、まずはこれにサインしろと魔法で羊皮紙とインクのついた羽ペンを出した。『魔王の証文』と呼ばれる契約書であった。
「はいはい。ここになまえをかくでち」
「見たことがない文字ばかりで読めないよ? 何が書いてあるの?」
「とってくうとかかいてないでち。じゃあよみあげるでちね」
ブランカが魔王の証文を読み上げる。1つ。魔族の力を悪だくみに用いてはならない。2つ。魔族の力はいいことに用いましょう。
3つ。この決まりを決して破ってはいけません。4つ。契約者さんは契約相手の魔族をいじめてはいけませんよ。極めて平和的なことばかりだ。契約を破ったら魂を食うなどと、恐ろしいことは書いていなかった。
「なるほど。魔界はなかなかに平和的なのね!」
「もちろんでち! どこかのたいりくにある、ばんゆうをふるってばかりのおうこくとはおおちがいでち!」
「拙者なんぞ、所詮はその野蛮な国の家来筋でござるよ……」
イズヴァルトがふてくされる間に、マイヤは羊皮紙に自分の名前をサインした。まずは契約書の記入が終わる。ここからが本当の契約の儀であった。
「さて、マイヤちんはあたちとてをむすぶことになったでち」
「となりますと? どういう契約の方法なのかな?」
「それはでちね……」
水魔はどこかからか触手達を呼び出した。それらを見てマイヤは呆気にとられる。すぐさま彼女は絡め取られて沐浴場へと連れて行かれてしまった。
この後行う儀式こそが、マイヤならずヒッジランド旧王家の歴代の女達も為したもの。さて、マイヤはいかなる行いでもって水魔との契りを結ぶのであろうか?
その続きについてはまた、次回にて。
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