誘拐記念日

木継 槐

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2、

焦眉②

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…影子視点…

「早く!!」
宗太の体を掴むと、宗太は足を震わせて教室を飛び出していった。

悠一に駆け寄ると、すでに微かに息をするほどしかできない状態で胃を抑え蹲っていた。
「悠一君、分かる?」
悠一は涙でぐしゃぐしゃになった目を微かに開けると、口をパクパクと動かした。
声すら出せないほどのアナフィラキシーショックに私でも血の気が引きそう。

私はカバンから自己注射薬を取り出して太ももを抑えた。
悠一は何をされるか分からず怖いのか、首を振って抵抗をした。
それでも、状態が悪く息も絶え絶えの体は私の腕ひとつで抑え込めた。

「私は殺しはしないって言ったでしょ。これ、あなたのカバンに入っている薬と同じ成分が入ってる。意味わかるね?」
注射器を見せつけると、悠一は私の腕に捕まって目をきつく閉じた。
おかげで太ももから薬を入れることができた。

「だっせぇ、キウイ詰まらせたんじゃねぇの?」
「女に介抱されてやんの!!」
「動画動画!!」
「可哀そうな振りなんて、呆れますね。」

4人の取り巻きだった男子たちは、ただの野次馬と化していた。
机の周りに散乱しているキウイの量を見て……これだけの事をしても何も思わないガキたちに、心から虫唾が走った。
「佐野憲司。動画盗ってる暇あったら救急車を呼んで。」
「は?」
「医者になる前に、人殺しになりたいの?!!」
睨み上げると、佐野はやっと事の重大さを感じ取ったのかスマホを縦にして操作を始めた。
その様子に、クラス中がじわじわと状況を把握し始めた。
混乱になるのは時間の問題ね……。

「長谷川悟。保健室の先生と一緒に校門に向かって。」
「ッは、はい。」

「矢嶋秋大。こっちで悠一君に声かけ続けて。」
矢嶋は慌てたように悠一に駆けよって声をかけ始めた。
しかし、松岡は固まったままこちらを見おろしていた。

それに気が付いた矢嶋が声を掛けようとするのを止めた。
「松岡透。あんたの八つ当たりにクラスメイトを巻き込まないで。あんたの助けはいらない。」
松岡は私の言葉で我に返ったのか悔しそうに眉間にしわを寄せた。
ふと佐野を見ると、スマホを耳にあてた状態で硬直してしまっている。

「学校、クラス、患者の状態。」
「あ……あの……。」
ダメダメじゃない……。
私は手を伸ばして佐野からスマホを受け取った。

「救急車をお願いします。瀬野第一高校1-C、稲辺悠一君がアナフィラキシーショックで倒れました。キウイを丸々3個以上摂取、彼はゴムのアレルギーを持っています。本人は自覚がないようです。今、自己注射薬を注射しました。他に出来ることがあれば教えてください。」

状況を伝えると、救急隊が到着するまでは5分かかると聞かされた。
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