52 / 99
3、
不信感②
しおりを挟む
悠一の写真には目の前にあるクッキーが口を開けた状態で映っているのに、そのクッキーには焼き印が一つも入っていない。
僕の記憶にも間違いなく……表面が少し日々の入ったあり触れたクッキーの記憶しかなかった。焼き印何て押されていたら、僕だって市販だって気が付くはずだ。
「宗太君、一体どういうことですか?」
慌てて目の前の丸尾クッキーに手を伸ばす。
クッキーには『尾』の字を丸で囲んだ焼き印がはっきりと押されている。
「宗太君!!」
「わ、分からない……。」
「まさか本当に僕たちにアレルゲンをッ!」
「そんなことする人じゃない!!」
「じゃ、この写真をどう説明付けるんだよ!!」
「ッ……。」
答え何て浮かばず僕が口をつぐむと、悠一が僕とみんなの間に立った。
「落ち着けって!!こいつを一斉に攻め立てたって答えが出る事じゃねぇだろ!!……この写真を出したのは俺だけど……俺も影子って女が俺たちの命を脅かしたとは思ってない。」
「何故そう庇いきれるんですか?」
「考えてもみろよ、宗太を面倒見て多様な奴がわざわざそのクラスメイトに手を掛けるような……犯罪じみたことを、それも宗太にさせるか?」
「そんなの分かりませんよ。」
「おい!」
「何を勘違いしているか知りませんけど、影子という女性は宗太君を誘拐した犯人なんですよ?あわよくば宗太君をコントロールして人殺しを楽しむ方とも疑える。」
「透!」
「僕はもともと信頼に値する方とはお見受けしていません。君たちも目を覚ますべきだ。」
「てめぇ!!」
悠一が透に拳を掛けると、透もそれに負けじと悠一の頬に拳をぶつけた。
お互い掴み合いになったところで僕と悟と加藤が悠一を、憲司と秋大が透を抑えて引きはがした。
「離せ!!」
「悠一落ち着いて!!」
「校内でしかも顧問の前で殴り合うな!!」
「そこじゃないでしょ、先生!!」
「」
悠一が僕たちを振るい落とすと、それに合わせるように透も両手を上げて降参したように制した。
「松岡、お前もお前だ!お前の言い分も一理あるが、言い方ひとつで傷をえぐることになるんだぞ?」
加藤が透を叱咤すると、透はフンっと鼻で笑った。
「あなたが言えた義理ですか?あれだけ僕たちの親を見て行動しておいて。」
「松岡。」
「僕は、あなたのような教師が顧問だなんて虫唾が走るんですよ。どうせ我々と本気で向き合う気もない癖に。」
透は加藤の前に立つとわざと肩をぶつけてすれ違った。
「透!!」
「……宗太君、申し訳ないが今日は先に帰らせてもらうよ。」
「待って!」
「透君、殴ったことには謝罪をしておくよ。」
透はそう言って部室の扉を開けて出て行ってしまった。
それを見て、憲司が徐に自分のカバンを持った。
「ごめん、俺は透を追うよ。」
「憲司まで……。」
「大丈夫。透もわざとじゃないよ、多分。先生も、彼は本気でそう言ったわけではないと思いますから。ちょっと落ち着かせておきます。」
憲司は慌てて部室を出て扉を閉めて行ってしまった。
僕の記憶にも間違いなく……表面が少し日々の入ったあり触れたクッキーの記憶しかなかった。焼き印何て押されていたら、僕だって市販だって気が付くはずだ。
「宗太君、一体どういうことですか?」
慌てて目の前の丸尾クッキーに手を伸ばす。
クッキーには『尾』の字を丸で囲んだ焼き印がはっきりと押されている。
「宗太君!!」
「わ、分からない……。」
「まさか本当に僕たちにアレルゲンをッ!」
「そんなことする人じゃない!!」
「じゃ、この写真をどう説明付けるんだよ!!」
「ッ……。」
答え何て浮かばず僕が口をつぐむと、悠一が僕とみんなの間に立った。
「落ち着けって!!こいつを一斉に攻め立てたって答えが出る事じゃねぇだろ!!……この写真を出したのは俺だけど……俺も影子って女が俺たちの命を脅かしたとは思ってない。」
「何故そう庇いきれるんですか?」
「考えてもみろよ、宗太を面倒見て多様な奴がわざわざそのクラスメイトに手を掛けるような……犯罪じみたことを、それも宗太にさせるか?」
「そんなの分かりませんよ。」
「おい!」
「何を勘違いしているか知りませんけど、影子という女性は宗太君を誘拐した犯人なんですよ?あわよくば宗太君をコントロールして人殺しを楽しむ方とも疑える。」
「透!」
「僕はもともと信頼に値する方とはお見受けしていません。君たちも目を覚ますべきだ。」
「てめぇ!!」
悠一が透に拳を掛けると、透もそれに負けじと悠一の頬に拳をぶつけた。
お互い掴み合いになったところで僕と悟と加藤が悠一を、憲司と秋大が透を抑えて引きはがした。
「離せ!!」
「悠一落ち着いて!!」
「校内でしかも顧問の前で殴り合うな!!」
「そこじゃないでしょ、先生!!」
「」
悠一が僕たちを振るい落とすと、それに合わせるように透も両手を上げて降参したように制した。
「松岡、お前もお前だ!お前の言い分も一理あるが、言い方ひとつで傷をえぐることになるんだぞ?」
加藤が透を叱咤すると、透はフンっと鼻で笑った。
「あなたが言えた義理ですか?あれだけ僕たちの親を見て行動しておいて。」
「松岡。」
「僕は、あなたのような教師が顧問だなんて虫唾が走るんですよ。どうせ我々と本気で向き合う気もない癖に。」
透は加藤の前に立つとわざと肩をぶつけてすれ違った。
「透!!」
「……宗太君、申し訳ないが今日は先に帰らせてもらうよ。」
「待って!」
「透君、殴ったことには謝罪をしておくよ。」
透はそう言って部室の扉を開けて出て行ってしまった。
それを見て、憲司が徐に自分のカバンを持った。
「ごめん、俺は透を追うよ。」
「憲司まで……。」
「大丈夫。透もわざとじゃないよ、多分。先生も、彼は本気でそう言ったわけではないと思いますから。ちょっと落ち着かせておきます。」
憲司は慌てて部室を出て扉を閉めて行ってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる