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……百合子視点……
影子が施設を出てから3か月がたった。
”元気でいるか”と手紙を書いても、返事はない。
あの子らしい行動ではあったものの、内心は情が沸いて心配が募っていた。
今日も寮生たちはいつも通りに庭で遊んだり、図書室で勉強に励んでいる。
私は書斎に戻り、書類に目を通していた。
すると、廊下のほうで足音が聞こえたかと思うと、ノックも無しで亜子が飛び込んできた。
「亜子。ノックをしなさい。」
「あのね、お姉ちゃんが、帰ってきた。」
「お姉ちゃん?」
「あ、違う!お姉ちゃん”たち”が、帰ってきたの!!」
亜子の言葉に、私はすぐに誰のことを言っているのかを悟って、亜子の後を追った。
外ではいつの間にか降り出した雨が門を挟んだ向こうの人影を濡らしている。
「寮母さん。」
その呼び方をするのは。
「影子。」
「帰ってきちゃいました。」
からがら施設にたどり着いた影子は私と亜子の顔を見るなり気を失ってしまった。
「お姉ちゃん!!」
「亜子、すぐに男の職員を呼んできて。」
「うん!!」
亜子に呼ばれて飛び出してきた職員と協力して、影子の体を施設の一室に運び入れた。
その数分後目を覚ますと視線が泳いだ。
「……リサ?」
「あ……百合子さん……なんで……?」
「影子がここに来たのよ。」
私はリサの顔を確認してからベッドから離れて温タオルを絞った。
振り返った瞬間私の目に飛び込んできたのは、金物の定規を首に押し当てているリサだった。
「リサ!!」
「いやっ!!死なせて!!もう嫌なの!!死にたい!!死なせて!!」
定規を奪い取ると、リサは力を失ってベッドに突っ伏した。
直後、顔を上げたかと思うと自らの首に触れて眉を顰めた。
その手には首からにじんだ血が触れ、私をギロリと睨みつけた。
「違うわ、影子。私じゃない。」
「リサ……リサ……やめて……。やめなさッ、ウッ!」
影子は頭を抱え込み、唸り声をあげた。
「影子ッ。」
「あぁ、あぁぁああああ!!!!」
その瞬間、影子は腕を振り回し近くにあった花瓶を床にたたきつけた。
「落ち着きなさい!!影子!!」
「ッ?!あ……いや……影子さん、やめてっ!!もうやめてよぉ!!」
リサに変わったせいで次は泣きじゃくりながら花瓶のかけらに手を伸ばそうとする。
体を抑えても、リサは抵抗を強めた。
「だれか!!早く来てこの子を抑えて!!」
私はリサの体を抑えたまま声を荒げた。
近くにいた数人が部屋に飛び込んできてリサの体を抑える。
その直後には、鳴き声はうめき声に変わり足でベッドを踏みつける。
2人が落ち着いたころにはベッドが壊れ、陶器やガラスは割れ、職員も私も傷だらけで1人の体は一番の重傷を負い、力尽きたのを見計らって睡眠薬を投与された。
眠りについた姿を見届けてから、職員たちはやっと部屋の片づけを始めた。
この時点で家具は怪我や自殺防止にほとんどが運び出され、鋭利なものや紐状のものも消えた。
本人の口にはマウスピースがはめられ、噛み傷がないよう対処がされた。
殺風景になった部屋には音声付きの監視カメラが設置され24時間で本人を抑える体制がなされることになった。
影子が施設を出てから3か月がたった。
”元気でいるか”と手紙を書いても、返事はない。
あの子らしい行動ではあったものの、内心は情が沸いて心配が募っていた。
今日も寮生たちはいつも通りに庭で遊んだり、図書室で勉強に励んでいる。
私は書斎に戻り、書類に目を通していた。
すると、廊下のほうで足音が聞こえたかと思うと、ノックも無しで亜子が飛び込んできた。
「亜子。ノックをしなさい。」
「あのね、お姉ちゃんが、帰ってきた。」
「お姉ちゃん?」
「あ、違う!お姉ちゃん”たち”が、帰ってきたの!!」
亜子の言葉に、私はすぐに誰のことを言っているのかを悟って、亜子の後を追った。
外ではいつの間にか降り出した雨が門を挟んだ向こうの人影を濡らしている。
「寮母さん。」
その呼び方をするのは。
「影子。」
「帰ってきちゃいました。」
からがら施設にたどり着いた影子は私と亜子の顔を見るなり気を失ってしまった。
「お姉ちゃん!!」
「亜子、すぐに男の職員を呼んできて。」
「うん!!」
亜子に呼ばれて飛び出してきた職員と協力して、影子の体を施設の一室に運び入れた。
その数分後目を覚ますと視線が泳いだ。
「……リサ?」
「あ……百合子さん……なんで……?」
「影子がここに来たのよ。」
私はリサの顔を確認してからベッドから離れて温タオルを絞った。
振り返った瞬間私の目に飛び込んできたのは、金物の定規を首に押し当てているリサだった。
「リサ!!」
「いやっ!!死なせて!!もう嫌なの!!死にたい!!死なせて!!」
定規を奪い取ると、リサは力を失ってベッドに突っ伏した。
直後、顔を上げたかと思うと自らの首に触れて眉を顰めた。
その手には首からにじんだ血が触れ、私をギロリと睨みつけた。
「違うわ、影子。私じゃない。」
「リサ……リサ……やめて……。やめなさッ、ウッ!」
影子は頭を抱え込み、唸り声をあげた。
「影子ッ。」
「あぁ、あぁぁああああ!!!!」
その瞬間、影子は腕を振り回し近くにあった花瓶を床にたたきつけた。
「落ち着きなさい!!影子!!」
「ッ?!あ……いや……影子さん、やめてっ!!もうやめてよぉ!!」
リサに変わったせいで次は泣きじゃくりながら花瓶のかけらに手を伸ばそうとする。
体を抑えても、リサは抵抗を強めた。
「だれか!!早く来てこの子を抑えて!!」
私はリサの体を抑えたまま声を荒げた。
近くにいた数人が部屋に飛び込んできてリサの体を抑える。
その直後には、鳴き声はうめき声に変わり足でベッドを踏みつける。
2人が落ち着いたころにはベッドが壊れ、陶器やガラスは割れ、職員も私も傷だらけで1人の体は一番の重傷を負い、力尽きたのを見計らって睡眠薬を投与された。
眠りについた姿を見届けてから、職員たちはやっと部屋の片づけを始めた。
この時点で家具は怪我や自殺防止にほとんどが運び出され、鋭利なものや紐状のものも消えた。
本人の口にはマウスピースがはめられ、噛み傷がないよう対処がされた。
殺風景になった部屋には音声付きの監視カメラが設置され24時間で本人を抑える体制がなされることになった。
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