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畏怖と軽率の出会い
5.
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次の日、報道番組では昨日の出来事が大きく取り上げられ、メディアの見出しには【また不審死】と一面を飾った。
季依は駅の無料閲覧用の新聞を手に取り軽く目を通した。
そして、自身の希望通りに記事が書かれていることを確認して、新聞を元の棚に戻して足を速めた。
季依が教室に着くと、クラスの雰囲気は禍々しいものになっていた。
無理もないだろう、クラスメイトが一人命を落とした、それもクラスを牛耳っていた男だ。
挙句、警察の調べでは「自ら首の骨を折った」とされ、ネットでは『自殺シーン』という題名で匿名の動画が上がったことで、炎上。捨て垢だったとはいえ顔もはっきり取られたその動画はクラス中の目に入ったのだろう。
季依が無言で席に着くと、華弥子と視線がぶつかった。
季依が『前を向け』と顎で合図すると、華弥子はすぐに従った。
その直後に担任が慌てたように教室に入ってくる。
「皆にアンケートを配る。問題は『クラスにいじめがあったのか。』だ。これは体裁だからな!!みんなうまいこと書いてくれよ。」
担任はこちらが一言も話してないのに、出世がどうとか、面倒事が何とかぶつぶつ言いながら皆に記入時間を5分だけ提示した。
あきれた教師だが、2人のクラスは外れくじだったのだから仕方がない。
所詮この程度の大人に指導されたクラスだ、その程度に腐ってしかるべきだろう。
紙が集められると、担任は中をジロジロと見定め一枚をびりびりと破り捨てた。
そして、それを書いたであろう男子生徒のもとに予備のアンケート用紙を置いた。
「名前だけ記入しろ。お前の意見など不要だ、クラスのごみカス。」
男子生徒は目に涙を浮かべて名前を記入した。
担任は教壇に戻り一言……。
「うむ!今日もクラスは仲が良く結構結構!!」
担任が高笑いを浮かべて教室を出ると、クラスが一斉にアンケートの書き直しを食らった生徒に視線を向ける。
次の被害者が決まったのだろう。
季依が眉間に力を入れながら華弥子のほうを見ると、彼女はぼんやりと窓の外を眺めていた。
つくづく興味がないのだろう。
しかし、しばらく季依が睨みを利かせていると、華弥子はやっと視線を交えた。
そして、季依の手招きにトコトコと季依の席に駆け寄った。
「きーちゃん!!」
「ッ?!」
華弥子の声に、季依は耳を疑った。
昨日の恐ろしいほどに澄んだ上品な声から、女児の声と聞き間違えるようなしゃべり声に変わっていた。
「どしたの?」
「あぁ、別に何でもない。」
「そ!なら一緒にお昼食べよ!」
「は……?」
念のために時計を確認すると、案の定お昼休憩とは程遠い時間だった。
何のつもりなのかと季依が目を細めると、視界に入れたくない面々の顔が映った。
「あれぇ~?足立、まだ時計も読めないの?」
「おこちゃまでちゅかぁ~?」
「ガキは高校に立ち入っちゃだめでしょ。」
「ちょっとぉ~、足立がかわいそうでしょ~。」
キャハハハ……と汚らわしい声で季依に話しかけてきた彼女たちが、昨日2人が話し込んでいた次の相手だ。そしてその中で一際大きな目と口の持ち主が、加害者女子のリーダー。
季依が黙り込むと、リーダーは華弥子の髪をつかんで大きく揺らした。
「い、痛い……。」
季依は駅の無料閲覧用の新聞を手に取り軽く目を通した。
そして、自身の希望通りに記事が書かれていることを確認して、新聞を元の棚に戻して足を速めた。
季依が教室に着くと、クラスの雰囲気は禍々しいものになっていた。
無理もないだろう、クラスメイトが一人命を落とした、それもクラスを牛耳っていた男だ。
挙句、警察の調べでは「自ら首の骨を折った」とされ、ネットでは『自殺シーン』という題名で匿名の動画が上がったことで、炎上。捨て垢だったとはいえ顔もはっきり取られたその動画はクラス中の目に入ったのだろう。
季依が無言で席に着くと、華弥子と視線がぶつかった。
季依が『前を向け』と顎で合図すると、華弥子はすぐに従った。
その直後に担任が慌てたように教室に入ってくる。
「皆にアンケートを配る。問題は『クラスにいじめがあったのか。』だ。これは体裁だからな!!みんなうまいこと書いてくれよ。」
担任はこちらが一言も話してないのに、出世がどうとか、面倒事が何とかぶつぶつ言いながら皆に記入時間を5分だけ提示した。
あきれた教師だが、2人のクラスは外れくじだったのだから仕方がない。
所詮この程度の大人に指導されたクラスだ、その程度に腐ってしかるべきだろう。
紙が集められると、担任は中をジロジロと見定め一枚をびりびりと破り捨てた。
そして、それを書いたであろう男子生徒のもとに予備のアンケート用紙を置いた。
「名前だけ記入しろ。お前の意見など不要だ、クラスのごみカス。」
男子生徒は目に涙を浮かべて名前を記入した。
担任は教壇に戻り一言……。
「うむ!今日もクラスは仲が良く結構結構!!」
担任が高笑いを浮かべて教室を出ると、クラスが一斉にアンケートの書き直しを食らった生徒に視線を向ける。
次の被害者が決まったのだろう。
季依が眉間に力を入れながら華弥子のほうを見ると、彼女はぼんやりと窓の外を眺めていた。
つくづく興味がないのだろう。
しかし、しばらく季依が睨みを利かせていると、華弥子はやっと視線を交えた。
そして、季依の手招きにトコトコと季依の席に駆け寄った。
「きーちゃん!!」
「ッ?!」
華弥子の声に、季依は耳を疑った。
昨日の恐ろしいほどに澄んだ上品な声から、女児の声と聞き間違えるようなしゃべり声に変わっていた。
「どしたの?」
「あぁ、別に何でもない。」
「そ!なら一緒にお昼食べよ!」
「は……?」
念のために時計を確認すると、案の定お昼休憩とは程遠い時間だった。
何のつもりなのかと季依が目を細めると、視界に入れたくない面々の顔が映った。
「あれぇ~?足立、まだ時計も読めないの?」
「おこちゃまでちゅかぁ~?」
「ガキは高校に立ち入っちゃだめでしょ。」
「ちょっとぉ~、足立がかわいそうでしょ~。」
キャハハハ……と汚らわしい声で季依に話しかけてきた彼女たちが、昨日2人が話し込んでいた次の相手だ。そしてその中で一際大きな目と口の持ち主が、加害者女子のリーダー。
季依が黙り込むと、リーダーは華弥子の髪をつかんで大きく揺らした。
「い、痛い……。」
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