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監禁事件
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ある夏の夜。
その日は塾の宿題のせいで帰りの時間が深夜近くになってしまっていた。
この時間に帰っても多分食事の用意はしてくれないだろう。
俺は仕方なくコンビニでフライドチキンを買って噛り付いた。
「うわ……、しつこ……。」
チキンは食べ終わるころには胃がむかむかしてきた。
考えてみれば深夜に揚げたてってことは何度か揚げなおされているはずだ。
選択を誤ったな……と俺はふとそう感じた時だった。
「ッ?!」
背後から何者かが俺の鼻と口を布巾で抑えた。
俺は一瞬抵抗できたが、すぐに急激な眠気に襲われて意識を飛ばした。
どのくらい時間が経ったのか、パチパチと何かが焼けるような音が聞こえてくる冷たい空気の中、俺はゆっくり目を開けた。
視界には真暗な中にぽつんとドラム缶の中の焚火が目に入った。
その光を頼りに目を凝らすと、ゆっくり周りの様子が見えてきた。
ここは何かの倉庫なのか木のボックスがいくつかと金属片が散乱していた。
「お目覚めかい?」
どこからともなく聞こえる声に、俺はとっさに身構えようと体に力を入れた。
しかし、動くのはせいぜい肩くらいで手も足も何かで括られていて身動きも取れなかった。
「誰だてめぇ。」
「君の知り合いだよ?」
俺はあたりを見渡した。
それでも何も人のいる気配すら感じないのだ。
「あぁ、きょろきょろしてるところ悪いんだけど、僕は君の目には見えないはずだ。」
「は?」
「ふふ、一度君と面と向かって話してみたかったんだよ。」
俺の目の前にはさっきまでいなかった男が急に姿を現した。
「擬態っていうのは本当に面白いね。」
「……百目鬼……何のつもりだ。」
「嫌だな、言っただろう?僕は君と話してみたかったって。」
「ふざけッ……」
俺が体を動かすと、ガシャガシャと手首を拘束するものが悲鳴を上げた。
それを見て、百目鬼はおかしいものを見るように笑った。
「あはは、そうだね。これじゃ不公平か。」
そして、人差し指で上から下に1本線を引く動きをした。
すると動きに合わせるように拘束されていたものが砂のように姿を消した。
「これで、話ができッ」
バキッ
俺の拳が百目鬼の右目に当たり盛大な音と共に百目鬼は数歩後退った。
その瞬間に俺はあり得ない異変に気が付いた。
百目鬼の力だ。
今までなら一発食らわせただけでKOだったはずだ。
それなのに、目の前の男は殴られたところを抑えもしない。
そう、たった数歩後退っただけなのだ。
百目鬼は痛みを感じていないかのように俺の前に戻ってきた。
「痛いなぁ。目がだめになっちゃったじゃないか。」
しかし前髪の隙間から見える傷は陥没し血を流し、右目がグロテスクにつぶれていた。
俺はとっさに手元に会ったナイフを掴み刺しかかった……はずだった。
「あぁ、それやめてよ~。」
「ッ……?!」
なぜだ?……なぜ足が動かない?!?!
俺の足は重いという感覚もない。まるで下半身だけ時間が止められてしまったかのように全く動かないのだ。
その日は塾の宿題のせいで帰りの時間が深夜近くになってしまっていた。
この時間に帰っても多分食事の用意はしてくれないだろう。
俺は仕方なくコンビニでフライドチキンを買って噛り付いた。
「うわ……、しつこ……。」
チキンは食べ終わるころには胃がむかむかしてきた。
考えてみれば深夜に揚げたてってことは何度か揚げなおされているはずだ。
選択を誤ったな……と俺はふとそう感じた時だった。
「ッ?!」
背後から何者かが俺の鼻と口を布巾で抑えた。
俺は一瞬抵抗できたが、すぐに急激な眠気に襲われて意識を飛ばした。
どのくらい時間が経ったのか、パチパチと何かが焼けるような音が聞こえてくる冷たい空気の中、俺はゆっくり目を開けた。
視界には真暗な中にぽつんとドラム缶の中の焚火が目に入った。
その光を頼りに目を凝らすと、ゆっくり周りの様子が見えてきた。
ここは何かの倉庫なのか木のボックスがいくつかと金属片が散乱していた。
「お目覚めかい?」
どこからともなく聞こえる声に、俺はとっさに身構えようと体に力を入れた。
しかし、動くのはせいぜい肩くらいで手も足も何かで括られていて身動きも取れなかった。
「誰だてめぇ。」
「君の知り合いだよ?」
俺はあたりを見渡した。
それでも何も人のいる気配すら感じないのだ。
「あぁ、きょろきょろしてるところ悪いんだけど、僕は君の目には見えないはずだ。」
「は?」
「ふふ、一度君と面と向かって話してみたかったんだよ。」
俺の目の前にはさっきまでいなかった男が急に姿を現した。
「擬態っていうのは本当に面白いね。」
「……百目鬼……何のつもりだ。」
「嫌だな、言っただろう?僕は君と話してみたかったって。」
「ふざけッ……」
俺が体を動かすと、ガシャガシャと手首を拘束するものが悲鳴を上げた。
それを見て、百目鬼はおかしいものを見るように笑った。
「あはは、そうだね。これじゃ不公平か。」
そして、人差し指で上から下に1本線を引く動きをした。
すると動きに合わせるように拘束されていたものが砂のように姿を消した。
「これで、話ができッ」
バキッ
俺の拳が百目鬼の右目に当たり盛大な音と共に百目鬼は数歩後退った。
その瞬間に俺はあり得ない異変に気が付いた。
百目鬼の力だ。
今までなら一発食らわせただけでKOだったはずだ。
それなのに、目の前の男は殴られたところを抑えもしない。
そう、たった数歩後退っただけなのだ。
百目鬼は痛みを感じていないかのように俺の前に戻ってきた。
「痛いなぁ。目がだめになっちゃったじゃないか。」
しかし前髪の隙間から見える傷は陥没し血を流し、右目がグロテスクにつぶれていた。
俺はとっさに手元に会ったナイフを掴み刺しかかった……はずだった。
「あぁ、それやめてよ~。」
「ッ……?!」
なぜだ?……なぜ足が動かない?!?!
俺の足は重いという感覚もない。まるで下半身だけ時間が止められてしまったかのように全く動かないのだ。
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