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プロローグ
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その日、俺は不思議な夢を観た。
荒れた大海原、小さな小さな小船が一隻。
大きな怪物に襲われて、慌てて差し出したのは穴の空いた柄杓。
怪物は柄杓を使って船を沈めようとするが、穴の空いた柄杓では水は掬えない。
あんなにおっきな怪物なのに、穴の空いた柄杓では小舟一つ沈められない。
やがておいおいと泣き出した怪物の涙に海は更に荒れ、小さな船を飲み込んでいく。
けれど怪物はそんな小舟を両手で慌てて掬い上げ、「違うんだ。そうじゃないんだ」とまたおいおいと涙をこぼす。
コイツは一体何がしたいんだろう。
船の中の俺は首を傾げるが、怪物はふと、何かを思いついたかのように俺を指先でつまみ上げ、その大きな口をぱっくりと開いた。
なるほど、丸呑みすることに決めたのか。
投げ出された冷たい海に沈むくらいなら、この泣き虫に食べられたほうがずっといい。
いっそ一息に食べてくれないかと思ったその時。
「…あぁ、これでようやく満たされる」
どこか聞き覚えのある声が怪物の口から聞こえ、思わず怪物の真っ黒な顔をまじまじと見つめてーーーー。
「もしかして慈郎さん?」
★★★
ペタッと。
額に触れる肉の感触に、ぱちりと目が覚めた。
「ニャァ~」
なんか、変な夢見た。
「ミャ~オ」
「あぁはいはい、朝ごはんな、ご飯」
肉球スタンプで起こされる日々にも慣れた今日この頃。
俺が布団を捲り上げると、待ってましたとばかりにそこへ入り込むモフモフなサブローさん。
「おいおい、起こしに来たんじゃなかったのかよ~このこの~」
「にゃ~ん」
「そうだよな~。冬場の二度寝は最高だよな~」
ぐりぐりと顔を撫でまわし、最後にそっと布団をかけてやれば、満足そうに布団の中で大きく伸びをするサブローさん。
羨ましい限りだが、時計を見ればすでに時刻は7時過ぎ。
「うん、今日もめっちゃいい匂いがする」
早起きな同居人は、どうやら朝から最近フグの一夜干しを焼いてくれたらしい。
干物の独特な癖のある匂いと、朝の定番ワカメいっぱいの味噌汁の香り。
頭よりも先に、胃の方が目覚める幸せな朝ごはんに、緩んだ顔が元に戻らない。
「慈郎さ~ん。ねぇねぇ、船幽霊って知ってる?」
階段を降り、俺は一階の台所で料理をしているであろう慈郎さんの名を呼んだーーーー。
荒れた大海原、小さな小さな小船が一隻。
大きな怪物に襲われて、慌てて差し出したのは穴の空いた柄杓。
怪物は柄杓を使って船を沈めようとするが、穴の空いた柄杓では水は掬えない。
あんなにおっきな怪物なのに、穴の空いた柄杓では小舟一つ沈められない。
やがておいおいと泣き出した怪物の涙に海は更に荒れ、小さな船を飲み込んでいく。
けれど怪物はそんな小舟を両手で慌てて掬い上げ、「違うんだ。そうじゃないんだ」とまたおいおいと涙をこぼす。
コイツは一体何がしたいんだろう。
船の中の俺は首を傾げるが、怪物はふと、何かを思いついたかのように俺を指先でつまみ上げ、その大きな口をぱっくりと開いた。
なるほど、丸呑みすることに決めたのか。
投げ出された冷たい海に沈むくらいなら、この泣き虫に食べられたほうがずっといい。
いっそ一息に食べてくれないかと思ったその時。
「…あぁ、これでようやく満たされる」
どこか聞き覚えのある声が怪物の口から聞こえ、思わず怪物の真っ黒な顔をまじまじと見つめてーーーー。
「もしかして慈郎さん?」
★★★
ペタッと。
額に触れる肉の感触に、ぱちりと目が覚めた。
「ニャァ~」
なんか、変な夢見た。
「ミャ~オ」
「あぁはいはい、朝ごはんな、ご飯」
肉球スタンプで起こされる日々にも慣れた今日この頃。
俺が布団を捲り上げると、待ってましたとばかりにそこへ入り込むモフモフなサブローさん。
「おいおい、起こしに来たんじゃなかったのかよ~このこの~」
「にゃ~ん」
「そうだよな~。冬場の二度寝は最高だよな~」
ぐりぐりと顔を撫でまわし、最後にそっと布団をかけてやれば、満足そうに布団の中で大きく伸びをするサブローさん。
羨ましい限りだが、時計を見ればすでに時刻は7時過ぎ。
「うん、今日もめっちゃいい匂いがする」
早起きな同居人は、どうやら朝から最近フグの一夜干しを焼いてくれたらしい。
干物の独特な癖のある匂いと、朝の定番ワカメいっぱいの味噌汁の香り。
頭よりも先に、胃の方が目覚める幸せな朝ごはんに、緩んだ顔が元に戻らない。
「慈郎さ~ん。ねぇねぇ、船幽霊って知ってる?」
階段を降り、俺は一階の台所で料理をしているであろう慈郎さんの名を呼んだーーーー。
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