6 / 7
酔っ払いモモンガ、捕獲される 5
しおりを挟む
「外に出るなと言われても………」
閉じた扉を前に、呆然とする柚香。
そもそもここがどこかも分からないのに、どこへ行けと?
いや、実際逃げ出す気はあったわけなのだが……。
呑気にモーニングなんてしている場合ではなかった。
しかし、何度記憶を遡ってもどうやってここまでやってきたのか覚えがない。
「多分、あの人の家……だよね?」
少なくともホテルではなさそうだが、自宅だという確証もない。
「奥さんがいるかも聞いてなかったし……」
薬指にそれらしきものはなかったが、だからといって安心はできない。
第一だ。
「服ってそんなにすぐ用意できるもの…?」
しかも、下着まで。
流石に自分の妻のものを拝借してきたとは思いたくないが……。
「しかも、可愛いし……」
ブラを覗き込んで深々と感嘆する。
適当に選んだと言う割には好みもバッチリで、文句の付け所がない。
少なくとも着替えを貰うまでは部屋から出ることもできないわけで……。
「連休で良かった……」
金曜に有給を取った為、少なくともあと2日は休めるはず。
仕事に穴を開ける心配もない。
だからと言っていつまでもここにいるわけにはいかないが、そもそもあの人は、一体どういうつもりで柚香を引き止めたのか。
一夜だけの相手に、わざわざここまで手をかける理由は?
「まさかセフレにする気、とか……?」
嫌な予想を立て、一人でズーンと沈み込んだその時。
トントン
「待たせたな。すまんがそっちからドアを開けてもらえるか?」
「あ、はい!!」
扉の向こうから聞こえる艷やかな声にうっとりしつつ、条件反射で即座に立ち上がり扉に急ぐ。
ガチャリと、思いの外軽かったドアノブを回せば、そこには視界いっぱいの布の山。
「うぷ」
「悪い、前が見えなくてな。ドアから離れてちょっと待ってくれ」
「は、はい」
一抱えもある衣服の山と、見慣れた四角い箱がいくつか。
おまけに何が入っているのかわからない紙袋もいくつか両手に掴んでいる。
これでは扉を開けられないのも当然だ。
「よし、いい子で待てができたな」
大人しくその場で待っていた柚香に色っぽい笑顔を向け、荷物を下ろしていく。
「あ、あの、手伝いましょうか??」
「助かるよ。これをそっちに並べてくれるか?」
「はい!」
次々と降ろされる服の数は10ではとても足りない。
まるでアパレル店員にでもなった気分で、次々と服をベットに並べていく。
その中で、腕に引っ掛けたまま降ろす様子のない服が一着。
その見えた見覚えのある生地は、もしや。
「あのーーー」
「一応靴も一緒に持ってきたぞ。どうせなら揃いにしたほうが良いだろ」
「え?え?」
上着かもしれない服を見つけ、気もそぞろで手を伸ばしかけた柚香だったが、それを阻止するように靴の箱を指差す榎本。
「それ以前のは入り口に置きっぱなしだが、随分年季の入ったブーツだったな。なにか思い入れでもあるのか?」
「そういうわけでは…」
「なら構わないだろ。あっちは着てた服と一緒に後で家に届けてやるよ」
「え、いや、あの?」
「ほら、遠慮しないで好きなのを選べ。
ーーこれなんかどうだ?あぁ、やっぱりいいな」
戸惑う柚香をよそに、あれだこれだと服を組み合わせていく。
すっかり圧倒された柚香はなすがままだ。
「どうだ?よく似合ってると思うが」
「は、はい」
手渡された服を持ち、部屋の隅で慌てて身に着ければ、大きな姿見を手に取った榎本が、背の低い柚香にもよく見えるように位置を調節してくれる。
慌てていたせいで禄にデザインも確認していなかったが、改めて完成されたスタイルに感動した。
ただ裾の長いパーカーだと思って身につけたものは、どこか着物を思わせる和の刺繍が所々に施された和洋ミックスのパーカーワンピース。
フード紐には着物の帯締めが使われているようで、細かなところにも手が込んでいる。
量産品ではまず見ない複雑な作りに、サラッとした最高の着心地。
「何これ!?か、可愛い……!」
「良かった。趣味が合うようだな。
ーーほら、お揃いだ」
「あ……」
ちょんちょん、とフード紐を引っ張り、自身の髪を指差す。
そこに巻かれていたのは、フード紐とよく似た色の長い組紐。
確かにお揃いのように見えるなと思い、一気に顔が赤くなった。
閉じた扉を前に、呆然とする柚香。
そもそもここがどこかも分からないのに、どこへ行けと?
いや、実際逃げ出す気はあったわけなのだが……。
呑気にモーニングなんてしている場合ではなかった。
しかし、何度記憶を遡ってもどうやってここまでやってきたのか覚えがない。
「多分、あの人の家……だよね?」
少なくともホテルではなさそうだが、自宅だという確証もない。
「奥さんがいるかも聞いてなかったし……」
薬指にそれらしきものはなかったが、だからといって安心はできない。
第一だ。
「服ってそんなにすぐ用意できるもの…?」
しかも、下着まで。
流石に自分の妻のものを拝借してきたとは思いたくないが……。
「しかも、可愛いし……」
ブラを覗き込んで深々と感嘆する。
適当に選んだと言う割には好みもバッチリで、文句の付け所がない。
少なくとも着替えを貰うまでは部屋から出ることもできないわけで……。
「連休で良かった……」
金曜に有給を取った為、少なくともあと2日は休めるはず。
仕事に穴を開ける心配もない。
だからと言っていつまでもここにいるわけにはいかないが、そもそもあの人は、一体どういうつもりで柚香を引き止めたのか。
一夜だけの相手に、わざわざここまで手をかける理由は?
「まさかセフレにする気、とか……?」
嫌な予想を立て、一人でズーンと沈み込んだその時。
トントン
「待たせたな。すまんがそっちからドアを開けてもらえるか?」
「あ、はい!!」
扉の向こうから聞こえる艷やかな声にうっとりしつつ、条件反射で即座に立ち上がり扉に急ぐ。
ガチャリと、思いの外軽かったドアノブを回せば、そこには視界いっぱいの布の山。
「うぷ」
「悪い、前が見えなくてな。ドアから離れてちょっと待ってくれ」
「は、はい」
一抱えもある衣服の山と、見慣れた四角い箱がいくつか。
おまけに何が入っているのかわからない紙袋もいくつか両手に掴んでいる。
これでは扉を開けられないのも当然だ。
「よし、いい子で待てができたな」
大人しくその場で待っていた柚香に色っぽい笑顔を向け、荷物を下ろしていく。
「あ、あの、手伝いましょうか??」
「助かるよ。これをそっちに並べてくれるか?」
「はい!」
次々と降ろされる服の数は10ではとても足りない。
まるでアパレル店員にでもなった気分で、次々と服をベットに並べていく。
その中で、腕に引っ掛けたまま降ろす様子のない服が一着。
その見えた見覚えのある生地は、もしや。
「あのーーー」
「一応靴も一緒に持ってきたぞ。どうせなら揃いにしたほうが良いだろ」
「え?え?」
上着かもしれない服を見つけ、気もそぞろで手を伸ばしかけた柚香だったが、それを阻止するように靴の箱を指差す榎本。
「それ以前のは入り口に置きっぱなしだが、随分年季の入ったブーツだったな。なにか思い入れでもあるのか?」
「そういうわけでは…」
「なら構わないだろ。あっちは着てた服と一緒に後で家に届けてやるよ」
「え、いや、あの?」
「ほら、遠慮しないで好きなのを選べ。
ーーこれなんかどうだ?あぁ、やっぱりいいな」
戸惑う柚香をよそに、あれだこれだと服を組み合わせていく。
すっかり圧倒された柚香はなすがままだ。
「どうだ?よく似合ってると思うが」
「は、はい」
手渡された服を持ち、部屋の隅で慌てて身に着ければ、大きな姿見を手に取った榎本が、背の低い柚香にもよく見えるように位置を調節してくれる。
慌てていたせいで禄にデザインも確認していなかったが、改めて完成されたスタイルに感動した。
ただ裾の長いパーカーだと思って身につけたものは、どこか着物を思わせる和の刺繍が所々に施された和洋ミックスのパーカーワンピース。
フード紐には着物の帯締めが使われているようで、細かなところにも手が込んでいる。
量産品ではまず見ない複雑な作りに、サラッとした最高の着心地。
「何これ!?か、可愛い……!」
「良かった。趣味が合うようだな。
ーーほら、お揃いだ」
「あ……」
ちょんちょん、とフード紐を引っ張り、自身の髪を指差す。
そこに巻かれていたのは、フード紐とよく似た色の長い組紐。
確かにお揃いのように見えるなと思い、一気に顔が赤くなった。
5
あなたにおすすめの小説
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
転生したら4人のヤンデレ彼氏に溺愛される日々が待っていた。
aika
恋愛
主人公まゆは冴えないOL。
ある日ちょっとした事故で命を落とし転生したら・・・
4人のイケメン俳優たちと同棲するという神展開が待っていた。
それぞれタイプの違うイケメンたちに囲まれながら、
生活することになったまゆだが、彼らはまゆを溺愛するあまり
どんどんヤンデレ男になっていき・・・・
ヤンデレ、溺愛、執着、取り合い・・・♡
何でもありのドタバタ恋愛逆ハーレムコメディです。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる