7 / 7
酔っ払いモモンガ、捕獲される6
しおりを挟む
「あ、あった……!!私のスマホ!!」
幸いにして、その後手渡されたコートの中からスマホを確保することができた。
ここまでずいぶん流され続けてきたがとにかくスマホが戻ってきたというのは大きな一歩だ。
「ありがとうございます、本当に、色々と、色々とお世話になりましてっ!!」
「いやいや、気にすることはねぇよ。むしろいくら世話してもしたりねぇ位だし」
「は、はい?」
やはり自分は小動物と同じ扱いなのではないか?と思わず冷や汗が流れるが、ここは深く考えるのをやめ、好意的に受け取っておこうと心に決める。
とりあえず、そのままコートを羽織り、ベッドに上にちょこんと座りなおすと、真面目な顔で榎本に向き直る。
「あの、それでなんですが、そろそろお暇を…」
「?もうそんな時間か?今日は休みだろ、嬢ちゃん」
「え、いや、確かにそうなんですが…」
自分はそんなことまで話したのか。
全く記憶にないが、知っているはずのないことを知られているのだとしたら、自ら喋ったとしか考えられない。
「後で家まで送って行ってやるから、少しゆっくりしていったらどうだ?店に入ってみたかった、と言っていたが、酔っぱらってて碌に店の中も見てなかっただろう」
「そ…それは確かに」
気になる。
気にはなる…が。
「あの、そもそも、ここって………」
恐る恐る尋ねた柚香に、榎本は破顔し、「あぁ、そういや言ってなかったな」と。
「ここは店の二階だよ。住居として使用しててな」
「あぁ!」
通りで、店を出た記憶がないはずだと納得した。
「だから下に降りればすぐ店だ。二階にゃ、この部屋と簡単なキッチン、風呂くらいしかないからな。
昨日のうちに軽く風呂にも入れたんだが、その様子だと覚えてないだろ?」
「ふ、風呂…」
「やっぱりな。まぁいい。その辺はまぁ、おいおいってことで、どうする?」
どうする、と言われても。
「あの、今日の所はやっぱり……」
店の事は気になるが、正直に言えば今はそれどころではない。
「この服は後でお返ししに来ますし、ここがお店の二階なら、家には歩いてでも帰れるんで…」
送ってもらう必要はない、そこを強調したいところだったのが、榎本が気にしたのはそこではなかった。
「?何を言ってる?その服は返す必要なんてないぞ」
「え?」
思わず、きょとんとして着用済みの服を見下ろす柚香。
「それどころか、さっき持ってきた服、あれは全部お前のものだ。ちょっと少ないが、一週間分くらいにはなるだろ」
「?????」
「残りはまぁ後で買い足すとして、化粧品なんかも必要だな。そればっかりは肌の具合もあるし。
……若いとはいえ、艶があっていい肌だ」
そういって、遠慮なく柚香の頬に触れ、掌でその感触を確かめる。
まるで、恋人同士のような距離感に戸惑う。
「化粧品…?は、別に必要ないかと。すっぴんでも全然帰れます。むしろ普段あんまり化粧とかしないんで…」
「なるほど。だから肌がきれいなんだな。だが基礎化粧品位は一通り揃えたほうがいいだろう」
「???」
どうしよう。会話が通じない。
この人は一体何を言っているんだろうと、本気で悩んだ。
その様子をみて、榎本にも思うところがあったのだろう。
「どうした嬢ちゃん?……いや、柚香、だな」
「は、はいっ!!」
びくん、と思わず胸が高鳴る。
急に呼び捨てされたとか、そんなことがどうでもよくなって、背筋がピンと伸びた。
「昨日も言ったかと思うが、俺は重い男でな。
俺のものになったからには、これからの生活の全ては俺の管理下に置かれると思ってほしい。
身の回りのものも、人間関係もすべてだ」
――――――はい?
人間、理解の範疇外の事を言われると、思考が停止するものらしい。
「聞いてるのか、柚香?今更酒に酔って覚えていない、なんて言われても逃がしてやれないぞ」
「は?え?全部?え!?」
「……まさか、嘘だろ、マジか」
あぁ、と額に手をあて、空を仰ぐ榎本。
むしろそれをしたいのはこちらの方だと思いつつ、柚香は恐る恐る尋ねる。
「あの……ご想像の通り、実は私、昨日の記憶が殆どないんですけど…」
昨日、私たちの間に一体何があったのか。
「せ、説明していただけないでしょうか……!?」
幸いにして、その後手渡されたコートの中からスマホを確保することができた。
ここまでずいぶん流され続けてきたがとにかくスマホが戻ってきたというのは大きな一歩だ。
「ありがとうございます、本当に、色々と、色々とお世話になりましてっ!!」
「いやいや、気にすることはねぇよ。むしろいくら世話してもしたりねぇ位だし」
「は、はい?」
やはり自分は小動物と同じ扱いなのではないか?と思わず冷や汗が流れるが、ここは深く考えるのをやめ、好意的に受け取っておこうと心に決める。
とりあえず、そのままコートを羽織り、ベッドに上にちょこんと座りなおすと、真面目な顔で榎本に向き直る。
「あの、それでなんですが、そろそろお暇を…」
「?もうそんな時間か?今日は休みだろ、嬢ちゃん」
「え、いや、確かにそうなんですが…」
自分はそんなことまで話したのか。
全く記憶にないが、知っているはずのないことを知られているのだとしたら、自ら喋ったとしか考えられない。
「後で家まで送って行ってやるから、少しゆっくりしていったらどうだ?店に入ってみたかった、と言っていたが、酔っぱらってて碌に店の中も見てなかっただろう」
「そ…それは確かに」
気になる。
気にはなる…が。
「あの、そもそも、ここって………」
恐る恐る尋ねた柚香に、榎本は破顔し、「あぁ、そういや言ってなかったな」と。
「ここは店の二階だよ。住居として使用しててな」
「あぁ!」
通りで、店を出た記憶がないはずだと納得した。
「だから下に降りればすぐ店だ。二階にゃ、この部屋と簡単なキッチン、風呂くらいしかないからな。
昨日のうちに軽く風呂にも入れたんだが、その様子だと覚えてないだろ?」
「ふ、風呂…」
「やっぱりな。まぁいい。その辺はまぁ、おいおいってことで、どうする?」
どうする、と言われても。
「あの、今日の所はやっぱり……」
店の事は気になるが、正直に言えば今はそれどころではない。
「この服は後でお返ししに来ますし、ここがお店の二階なら、家には歩いてでも帰れるんで…」
送ってもらう必要はない、そこを強調したいところだったのが、榎本が気にしたのはそこではなかった。
「?何を言ってる?その服は返す必要なんてないぞ」
「え?」
思わず、きょとんとして着用済みの服を見下ろす柚香。
「それどころか、さっき持ってきた服、あれは全部お前のものだ。ちょっと少ないが、一週間分くらいにはなるだろ」
「?????」
「残りはまぁ後で買い足すとして、化粧品なんかも必要だな。そればっかりは肌の具合もあるし。
……若いとはいえ、艶があっていい肌だ」
そういって、遠慮なく柚香の頬に触れ、掌でその感触を確かめる。
まるで、恋人同士のような距離感に戸惑う。
「化粧品…?は、別に必要ないかと。すっぴんでも全然帰れます。むしろ普段あんまり化粧とかしないんで…」
「なるほど。だから肌がきれいなんだな。だが基礎化粧品位は一通り揃えたほうがいいだろう」
「???」
どうしよう。会話が通じない。
この人は一体何を言っているんだろうと、本気で悩んだ。
その様子をみて、榎本にも思うところがあったのだろう。
「どうした嬢ちゃん?……いや、柚香、だな」
「は、はいっ!!」
びくん、と思わず胸が高鳴る。
急に呼び捨てされたとか、そんなことがどうでもよくなって、背筋がピンと伸びた。
「昨日も言ったかと思うが、俺は重い男でな。
俺のものになったからには、これからの生活の全ては俺の管理下に置かれると思ってほしい。
身の回りのものも、人間関係もすべてだ」
――――――はい?
人間、理解の範疇外の事を言われると、思考が停止するものらしい。
「聞いてるのか、柚香?今更酒に酔って覚えていない、なんて言われても逃がしてやれないぞ」
「は?え?全部?え!?」
「……まさか、嘘だろ、マジか」
あぁ、と額に手をあて、空を仰ぐ榎本。
むしろそれをしたいのはこちらの方だと思いつつ、柚香は恐る恐る尋ねる。
「あの……ご想像の通り、実は私、昨日の記憶が殆どないんですけど…」
昨日、私たちの間に一体何があったのか。
「せ、説明していただけないでしょうか……!?」
5
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
転生したら4人のヤンデレ彼氏に溺愛される日々が待っていた。
aika
恋愛
主人公まゆは冴えないOL。
ある日ちょっとした事故で命を落とし転生したら・・・
4人のイケメン俳優たちと同棲するという神展開が待っていた。
それぞれタイプの違うイケメンたちに囲まれながら、
生活することになったまゆだが、彼らはまゆを溺愛するあまり
どんどんヤンデレ男になっていき・・・・
ヤンデレ、溺愛、執着、取り合い・・・♡
何でもありのドタバタ恋愛逆ハーレムコメディです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
こんなに愛が深い人、大好物です。
Hiro様、こんな過疎地にも有難うございます!ご奉仕型Sのイケオジは美味しいと思って書いたのがこのお話でした(笑)