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第1章 宛兎磨学園の恐怖
第3話 ザビエルの光輪
しおりを挟む(いっけない、遅刻しちゃう!!)
先程まで紀之守とくだらない茶番をしていたせいで、無駄に時間を使ってしまった。
______早く支度しないと、遅刻しちゃう!!
いつもより急いで洗顔や着替え、朝食などの支度を終わらせていき、出発時間ギリギリに送迎用の車に乗る。
ぷるるるるるるるるるるるブツッ
(間に合ってよかった…。落ち着けってお父様に言われそうだけど…、落ち着いてなんかいられない!だって今日は始業式!久しぶりに蓮くんに会える日だもの!)
ぷるるるるるrブツッ
それにしても、だいぶ急いできてしまったから過保護なお父様は過剰に心配しているかもしれない。というか絶対して騒いでいるに違いない。
きっと今頃私の部屋に突撃して「百仁華ちゃぁぁぁぁぁぁんっっっっっ!!」だなんて叫んでいるのだろう、“お父様落ち着かせ部隊”となりつつある特別部隊の仕事を増やしてしまって申し訳ない。
ぷるrブツッ
pブツッ
(はぁ、仕方がないわ…。)
このまま放置しておくのは特別部隊のみんなに顔向けできない。不本意ではあるが、さっきから鬱陶しいほど鳴っている電話に出てやろう。
ぷるるるrピッ
『もしもし!?百仁華ちゃn』ブツッ
駄目だ、流石に嫌だ。
鬱陶しい上にうるさいときたか。うん、着拒。
ぷrブツッ
えー、やだよぉめんどくせぇから。
着拒したのに着信届くのはなぁーぜなぁーぜ?
……。
ちょっとご令嬢らしくない言葉が出てしまったが…仕方がない。だって人間だもの。
だって切っても切っても鳴り止まない電話のコールが騒がしいんだもの。
だってメロンは果物だものー!!
「んふっ」
しまった、●1の見過ぎだ。冒頭なんて二体の日体大が出てきて吹き出しかけたし。
うん。一回落ち着こう。そうよ、お茶でも飲んで落ち着きましょう。
………マーガリンは染み込むけどジャムはびやり。
「んふっ、ごふっ!」
「お、お嬢様!!大丈夫ですか!?」
「え、えぇ。大丈夫よ。」
しまった。もっと他のことを考えよう。そう、もっと別のことを…
ぷるるるるるるるるるぷるるるるるるるるるるる
「……。」
そう、今まで私は忘れていたのよ…この忌々しい電話の存在を…。
ぷるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる
「………。」
そんなこと考えても止まってくれないみたいだわ、この電話。
そうか、そうか、つまり君はそんな奴だったんだな。でも私は諦めない。あっちが折れるまで切り続けてやる!
ぷるrブツッ
「………。」
ぷrブツッ
「………………。」
pブツッ
「………………………………。」
「…………………。ふぅ、やっと止まっ」
ぷるるるるるるるるるるぷるるるるるるるるるる
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
「お、お嬢様?…どうかなさいましたか?」
私の突然のため息(それも結構長い)に運転手の冨樫さんが恐る恐る尋ねてくる。
「ザ●エルからすんごい量の通知が届いてくるだけよ、気にしないで。」
「あぁ……お嬢様。お気を確かに、頑張ってくださいませ。」
“ザビ●ル”というのはお父様のことで、なんでも、お父様の頭のてっぺんが薄くなってきていることが語源なんですって。もぅ、失礼しちゃうわ。
ザビエ●は頭のてっぺんを剃っているだけなのよ、そういう習慣なの。
だから、天然ハゲのお父様とは訳が違うのよ。
偉大なるフラン●スコ・ザ●エルに謝って。
…流石にそんなこと言わないけれど。お父様死んじゃうわ。
「えぇ、大丈夫よ。ありがとう。」
「ご無理はなさらないでくださいね、頭痛薬も胃痛薬もご用意しておりますから。
必要になりましたら遠慮なくお申し付けくださいませ。」
「…えぇ。本当に大丈夫よ、ありがとう。」
(今度は何をやらかしたの、お父様……)
冨樫さんがこんなに早く薬を出せたのは彼自身が常時服用しているからだろう。
そしてその原因となりうるのは…お父様くらいしかいない。
だって私の家族も使用人のみんなも優秀だもの…。
「冨樫さんも気をつけて、無理はしないで頂戴ね?」
「なんと……!お嬢様……!!」
(しまった、冨樫さんが泣きそう!こっち向いちゃったし!)
「冨樫さん!!前!前見て運転して!?」
「も、申し訳ありませんっ!感動してしまって…!」
「ふぅ……。」
危ない。この氷刃家の一人娘が乗車している車が事故とか、洒落にならない。
我が家のザビ●ルが憤慨しちゃうわ、きっと、打首じゃ済まない。
小さく溜息を吐き視線を彷徨わせていると、車のルームミラーに映った寝癖だらけの私と目が合った。
(…………あ。)
_____どうしよう。急いで出てきてしまったけれど、今の私、物凄くみっともないわ……!!
大変…!こんな姿、彼に見せるわけにはいかない!!
私の初恋の人、高御堂蓮くんだけには…!
(ただでさえ、意識してもらえていないのに……!)
そう。私の想い人である蓮くんはみんなの憧れで、独りを好む孤高の人。
彼が私に向ける視線は他の女の子に向けるものよりは優しいけれど、この恋が実るとは思えない。
だって、蓮くんは明治時代から代々続く高御堂財閥の御曹司なのだもの。いくら天下の氷刃家といえども、我が家の歴史はまだ浅いし、お家柄も釣り合っていない。
お家柄がいいからなのか、血筋か、教育か…、私には到底わからないけれど、流石は高御堂家。ご家族もありとあらゆるところでご活躍なさっている。
例えば蓮くんのお父様は、若い頃から文武両道、非のつきどころの無い完璧人間。
特に21歳という若さで海外の超大手企業から商談をもぎ取ってきた話は業界内でも語り草になっている。それに加えルックスにも恵まれており2児の父親となった今も憧れる人が多いという。
さらに彼のお母様は華道の師範として有名で、是非とも彼女に師事したいという人が後を絶たないみたい。因みにお母様の方も眉目秀麗。教育熱心で、蓮くんの聡明さは血筋、彼自身の努力だけではなくて、お母様のご指導の集大成なのだろう。
そして最後に、彼の叔父様は私が今向かっている宛兎磨学園の学園長先生でもある。
そんな気高い血筋に産まれ、気品の高さを受け継いだ彼が、私のような小娘を意識してくれるのか。否、そんな訳が無い。
(彼の人生を遠くで見守って、道端の石ころとして生きていくのも良いかもしれない、なんて。そう思うくらいに、彼のことが好きなんだわ。好きで堪らない。
_______彼が私を助けてくれたあの日から。)
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