2 / 11
02.珍しい名字
「好きです」
「は?」
怒っているわけでもなんでもないが、思わずは?と口から漏れた。きっと今の顔はぽかんとしてアホのように見えるに違いないがそんなことはどうでもいい。
「え、ほんとにまじでタイプです。可愛い好き。付き合ってください」
感情的になりすぎて逆に言葉に強弱がなくなる現象が目の前の人に起こっている。
さっきの爽やかな笑顔はどこへ消えたか、真顔で言葉を繋いでいた。
状況の理解に数秒かかってしまったが、我に返り右手で彼の胸を優しく押し返す。
「き、緊張でおかしくなってるんですかね…。よくありますよね自分でも分からず喋ってしまうこと僕もありましたはい」
今実際にその事を実演しているのに気づかないほど僕の脳内は作動していない。
(聞き間違いだよねそうに決まってる…出会って数分で告白してくる人なんて居るわけないし…)
顔をそらすと、後ろの壁に掛けてある時計が目に入り、7時45分を指し示していた。
「…じゃあそろそろみんな来るし、職員室行きましょうか」
仕分け途中のプリントをざっくりとまとめて抱えようとしていると、雅楽川先生がドアを開けてくれていた。
「あ、ありがとうございます」
ドアの横に立つ先生にお礼を言うと、プリントを一瞥して僕の腕の隙間に手を入れる。
「俺、持ちます」
「えっでも全部は…せめて半分持ちますよ」
「いえ俺力あるので!任せてください」
頼りがいがある笑顔を見せて廊下に出ていく。
「ありがとうございます。助かります」
やっぱり少し緊張して変なことを口走ってしまっただけで素敵な好青年なんだ。もしくは僕の聞き間違いだ。と考えながらエレベーターまでの道を歩く。
到着して下三角のボタンを押すと、朝で稼働が少ないからかすぐにランプが光った。
「あの」
エレベーターの扉が閉まったあと、雅楽川先生が声をかけてきた。
「はい、なんですか」
「二組さんってどんなクラスなんですか?」
実習生なら当然気になる質問を向けられるが、改めて考えると少し難しい。
もちろん本当に良いクラスなのだが担任なら全員そう言うだろう。
「そうですね…静かな子もいれば外交的な子もいますけど、分断とかはされてなくて全体的に仲良しだと思います。他のクラスと比べても、団結力は負けてないですよ。問題も少ないし、良いクラスです」
結果的に良いクラスという具体性のない言葉に頼ってしまった。
「へぇ~楽しみです!そんなクラスに就けるの」
そんなことは全く気にしていない様子で雅楽川先生はにこにことしていた。
(緊張してないのかな…)
僕が実習に行ったときも緊張知らずな陽キャが同じ実習先にいたな。まるで全実習生の緊張を請け負ってるみたいな人と吸い取られて元気な人みたいに空気が別れていたことを思い出す。
「雅楽川先生好青年って雰囲気ですし、きっとすぐ馴染めますよ。朝のHRでご紹介するのでよろしくお願いしますね」
先にエレベーターを降り、少し待って雅楽川先生と横並びで歩き出す。
「はい!真飛斗先生に出会えて担当クラスになれるなんて、これってもう運命ですね!」
運命というか必然に近い気がするが、本来は一組に就くというのが変わったのだからたしかに運命と言われればそんな気もする。
「えぇ…そうかもですね?」
それよりも気になったことを雅楽川に伝えようと、職員室に入る一歩手前で呼び止める。
「あの、先生方を下の名前で呼ぶのはどうかと…。よく思わない方もいるでしょうし」
実習生は本職の先生方に嫌われたり、マイナスなイメージをもたれてしまうとかなり致命傷になる。雅楽川先生ならなさそうだが、コミュニケーション能力が高すぎてしまうのも考えものだ。
「七楽先生はよく思わないですか?」
すぐに受け入れるかと思っていたが、僕だけの意見を聞かれて少し戸惑う。
「え、いえ僕は…お好きなように呼んでもらっていいですけど」
馴れ馴れしく呼んだら失礼と言われるほど大層な役職をもっているわけではないし、距離を取るなら自分で勝手にとるので特に気にしない。
「じゃあ大丈夫です!先生しかそう呼ばないので」
「えっ…」
またもや爽やかなスマイルを見せて、近くの先生に挨拶をしながら職員室に入る。
「デスクどこですか?」
「ここです、一番手前」
入口から最も近いデスクを指さすと、すぐに歩き出してプリントを置く。
「他の先生に挨拶してきますね」
「あぁ、行ってらっしゃい…」
近くにいる先生から片っ端に挨拶を交わしている。さっき言っていた通り先生のことを名字で呼んでいて少し安心した。
まあ僕だけなら担当だし、さほど問題は無いだろう。
(……えなんで僕だけ?)
「は?」
怒っているわけでもなんでもないが、思わずは?と口から漏れた。きっと今の顔はぽかんとしてアホのように見えるに違いないがそんなことはどうでもいい。
「え、ほんとにまじでタイプです。可愛い好き。付き合ってください」
感情的になりすぎて逆に言葉に強弱がなくなる現象が目の前の人に起こっている。
さっきの爽やかな笑顔はどこへ消えたか、真顔で言葉を繋いでいた。
状況の理解に数秒かかってしまったが、我に返り右手で彼の胸を優しく押し返す。
「き、緊張でおかしくなってるんですかね…。よくありますよね自分でも分からず喋ってしまうこと僕もありましたはい」
今実際にその事を実演しているのに気づかないほど僕の脳内は作動していない。
(聞き間違いだよねそうに決まってる…出会って数分で告白してくる人なんて居るわけないし…)
顔をそらすと、後ろの壁に掛けてある時計が目に入り、7時45分を指し示していた。
「…じゃあそろそろみんな来るし、職員室行きましょうか」
仕分け途中のプリントをざっくりとまとめて抱えようとしていると、雅楽川先生がドアを開けてくれていた。
「あ、ありがとうございます」
ドアの横に立つ先生にお礼を言うと、プリントを一瞥して僕の腕の隙間に手を入れる。
「俺、持ちます」
「えっでも全部は…せめて半分持ちますよ」
「いえ俺力あるので!任せてください」
頼りがいがある笑顔を見せて廊下に出ていく。
「ありがとうございます。助かります」
やっぱり少し緊張して変なことを口走ってしまっただけで素敵な好青年なんだ。もしくは僕の聞き間違いだ。と考えながらエレベーターまでの道を歩く。
到着して下三角のボタンを押すと、朝で稼働が少ないからかすぐにランプが光った。
「あの」
エレベーターの扉が閉まったあと、雅楽川先生が声をかけてきた。
「はい、なんですか」
「二組さんってどんなクラスなんですか?」
実習生なら当然気になる質問を向けられるが、改めて考えると少し難しい。
もちろん本当に良いクラスなのだが担任なら全員そう言うだろう。
「そうですね…静かな子もいれば外交的な子もいますけど、分断とかはされてなくて全体的に仲良しだと思います。他のクラスと比べても、団結力は負けてないですよ。問題も少ないし、良いクラスです」
結果的に良いクラスという具体性のない言葉に頼ってしまった。
「へぇ~楽しみです!そんなクラスに就けるの」
そんなことは全く気にしていない様子で雅楽川先生はにこにことしていた。
(緊張してないのかな…)
僕が実習に行ったときも緊張知らずな陽キャが同じ実習先にいたな。まるで全実習生の緊張を請け負ってるみたいな人と吸い取られて元気な人みたいに空気が別れていたことを思い出す。
「雅楽川先生好青年って雰囲気ですし、きっとすぐ馴染めますよ。朝のHRでご紹介するのでよろしくお願いしますね」
先にエレベーターを降り、少し待って雅楽川先生と横並びで歩き出す。
「はい!真飛斗先生に出会えて担当クラスになれるなんて、これってもう運命ですね!」
運命というか必然に近い気がするが、本来は一組に就くというのが変わったのだからたしかに運命と言われればそんな気もする。
「えぇ…そうかもですね?」
それよりも気になったことを雅楽川に伝えようと、職員室に入る一歩手前で呼び止める。
「あの、先生方を下の名前で呼ぶのはどうかと…。よく思わない方もいるでしょうし」
実習生は本職の先生方に嫌われたり、マイナスなイメージをもたれてしまうとかなり致命傷になる。雅楽川先生ならなさそうだが、コミュニケーション能力が高すぎてしまうのも考えものだ。
「七楽先生はよく思わないですか?」
すぐに受け入れるかと思っていたが、僕だけの意見を聞かれて少し戸惑う。
「え、いえ僕は…お好きなように呼んでもらっていいですけど」
馴れ馴れしく呼んだら失礼と言われるほど大層な役職をもっているわけではないし、距離を取るなら自分で勝手にとるので特に気にしない。
「じゃあ大丈夫です!先生しかそう呼ばないので」
「えっ…」
またもや爽やかなスマイルを見せて、近くの先生に挨拶をしながら職員室に入る。
「デスクどこですか?」
「ここです、一番手前」
入口から最も近いデスクを指さすと、すぐに歩き出してプリントを置く。
「他の先生に挨拶してきますね」
「あぁ、行ってらっしゃい…」
近くにいる先生から片っ端に挨拶を交わしている。さっき言っていた通り先生のことを名字で呼んでいて少し安心した。
まあ僕だけなら担当だし、さほど問題は無いだろう。
(……えなんで僕だけ?)
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。