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05.ずっとシラフでした
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「んーっ…」
ほとんどの生徒が帰った放課後。雅楽川先生と僕は教室に残り、それぞれの作業をしていた。
日誌の作成が一通り終わったのか、ペンを置いて伸びをしている。
「お疲れ様です。どうでしたか?」
「みんないい子ばかりで、安心しました!まぁ元からそんなに緊張していたわけじゃないですけど」
てへっと効果音がつきそうな表情で笑う。
(教育実習で緊張しないとかどういうこと?)
自分にとってはありえないことに、彼は別世界の人間かもしれないと思ってしまう。
「そうですか。それは良かったです」
「それだけ真飛斗先生の教育がいいってことですね」
「え…へへ、ありがとうございます」
リレーの時といい、雅楽川先生は人を褒めるのがとても上手だ。
戸惑いを隠して微笑むと、先生は何かを思い出したように突然姿勢を正した。
「そういえば、朝のやつの返事聞いてもいいですか?それともまだ待ったほうがいいですか」
「あさのやつ?」
何か質問をされていたかと会話を思い返すが、特にされた覚えは無い。もしかすると無意識のうちに空返事をしてしまったかと思い焦る。
「えっと…朝のってなんですか…?」
「えぇ?もしかして聞こえてなかったですかね、すいません」
(やっぱり僕が聴き逃してしまったんだ…!)
「こちらこそすみません!」
手を胸の前で振りながら謝る。
何を聞かれるかと不安になっていると、先生は席を立ち上がって僕の隣まで歩いてきた。
「じゃあ改めて…。真飛斗先生、一目惚れしました。俺と付き合ってください」
頭を深く下げてそう言う先生。
(全然聞こえてたやつだ…!)
聞き逃しではなく聞かなかったことにしていた言葉だった。どうやら初めから緊張で出た言葉ではなく本気だったようだ。
(一目惚れ!?出会って数秒で好きになるとか大丈夫!?それもうホストクラブとか言ったら心臓もたなくなるんじゃ…!)
「だ、大丈夫ですか…?」
「なにがですか?」
焦ったあまり話と関係の無い脳内での想像を言葉にしてしまった。
先生は頭上にハテナマークが浮かんでいるような顔をして僕を見つめている。
「えと、いやその……」
見る限りふざけたり冗談を言ったりしているようには見えない。時間をかけて真剣に検討しなければならないのかもしれない。しかし、答えは決まっている。
「…ごめんなさい」
正面を向き直して頭を下げ、少し経って上げてから話し始める。
「気持ちは嬉しいんですけど、公私混同です。まだ出会ってまもないですしね。それに、先生の目的は様々なことを実際に学ぶことですよね。恋愛に意識を取られてしまっては、そっちが疎かになるかもですし…。なので、ごめんなさい」
断る中でも真摯に理由を説明したが、裏目に出て長くなってしまったことで詰めてるように受け取られたかもしれない。
無言の重たい空気から逃げるように目と顔を逸らし、先生の次の言葉を待つ。
「…なるほど、つまり……」
そう言いかけた先生の顔をちらっと見る。
「実習生と教師の関係ではなくなり、私情を仕事に持ち込まなくて、真飛斗先生以外のことも考えられるようになれば検討してくれるってことですね!?」
「え、いや、えっと……」
あまりの困惑に言葉が続かない僕をよそに、先生は机に手をついて僕の顔に近づいて言う。
「俺絶対諦めません」
「………」
なんだか彼の中にある何かに火をつけてしまったようだ。
なんとか奇想天外な初日を終え、僕と先生の二週間が始まりました。
ほとんどの生徒が帰った放課後。雅楽川先生と僕は教室に残り、それぞれの作業をしていた。
日誌の作成が一通り終わったのか、ペンを置いて伸びをしている。
「お疲れ様です。どうでしたか?」
「みんないい子ばかりで、安心しました!まぁ元からそんなに緊張していたわけじゃないですけど」
てへっと効果音がつきそうな表情で笑う。
(教育実習で緊張しないとかどういうこと?)
自分にとってはありえないことに、彼は別世界の人間かもしれないと思ってしまう。
「そうですか。それは良かったです」
「それだけ真飛斗先生の教育がいいってことですね」
「え…へへ、ありがとうございます」
リレーの時といい、雅楽川先生は人を褒めるのがとても上手だ。
戸惑いを隠して微笑むと、先生は何かを思い出したように突然姿勢を正した。
「そういえば、朝のやつの返事聞いてもいいですか?それともまだ待ったほうがいいですか」
「あさのやつ?」
何か質問をされていたかと会話を思い返すが、特にされた覚えは無い。もしかすると無意識のうちに空返事をしてしまったかと思い焦る。
「えっと…朝のってなんですか…?」
「えぇ?もしかして聞こえてなかったですかね、すいません」
(やっぱり僕が聴き逃してしまったんだ…!)
「こちらこそすみません!」
手を胸の前で振りながら謝る。
何を聞かれるかと不安になっていると、先生は席を立ち上がって僕の隣まで歩いてきた。
「じゃあ改めて…。真飛斗先生、一目惚れしました。俺と付き合ってください」
頭を深く下げてそう言う先生。
(全然聞こえてたやつだ…!)
聞き逃しではなく聞かなかったことにしていた言葉だった。どうやら初めから緊張で出た言葉ではなく本気だったようだ。
(一目惚れ!?出会って数秒で好きになるとか大丈夫!?それもうホストクラブとか言ったら心臓もたなくなるんじゃ…!)
「だ、大丈夫ですか…?」
「なにがですか?」
焦ったあまり話と関係の無い脳内での想像を言葉にしてしまった。
先生は頭上にハテナマークが浮かんでいるような顔をして僕を見つめている。
「えと、いやその……」
見る限りふざけたり冗談を言ったりしているようには見えない。時間をかけて真剣に検討しなければならないのかもしれない。しかし、答えは決まっている。
「…ごめんなさい」
正面を向き直して頭を下げ、少し経って上げてから話し始める。
「気持ちは嬉しいんですけど、公私混同です。まだ出会ってまもないですしね。それに、先生の目的は様々なことを実際に学ぶことですよね。恋愛に意識を取られてしまっては、そっちが疎かになるかもですし…。なので、ごめんなさい」
断る中でも真摯に理由を説明したが、裏目に出て長くなってしまったことで詰めてるように受け取られたかもしれない。
無言の重たい空気から逃げるように目と顔を逸らし、先生の次の言葉を待つ。
「…なるほど、つまり……」
そう言いかけた先生の顔をちらっと見る。
「実習生と教師の関係ではなくなり、私情を仕事に持ち込まなくて、真飛斗先生以外のことも考えられるようになれば検討してくれるってことですね!?」
「え、いや、えっと……」
あまりの困惑に言葉が続かない僕をよそに、先生は机に手をついて僕の顔に近づいて言う。
「俺絶対諦めません」
「………」
なんだか彼の中にある何かに火をつけてしまったようだ。
なんとか奇想天外な初日を終え、僕と先生の二週間が始まりました。
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