22 / 56
21、予期せぬ再会
しおりを挟む待ちに待った金曜日。
その日は仕事が終わってから透がアパートまで迎えに来てくれて、一緒にタクシーで彼のアパートまで向かった。
ロングアイランドシティの透の職場から約18分。
マンハッタンのミッドタウンイーストでひときわ目立つ48階建ての建物の30階に彼は住んでいた。
位置関係で言うと、東から順に、クインパスの入っているビル、朝哉夫妻のペントハウス、ヨーコのアパート、透のアパート、そしてクインパス研究開発センターと工場……という並びになる。
ーーワオ……想像以上にハイセンス!
朝哉の住んでいる建物も豪華だったけれど、こちらも負けず劣らず高級感に溢れている。
24時間常駐のドアマンとコンシェルジュは勿論、ルーフトップのプールにフィットネスセンター。
天井までの高さの大きなガラス窓に囲まれたラウンジは、まるで天空に浮かんでいるみたい。
眼下に広がる光の絨毯を見つめていると、このままスッと吸い込まれて行くような感覚に陥ってしまう。
クインパスの社員は交通費と住居手当が支給されているけれど、住居は家族の人数や役職に応じて支給金額が決まっている。
それだけではここまでのアパートを借りられないはずだから、差額分を自己負担しているということになる。
透がそれなりの蓄えがあると言っていたのは、あながち嘘ではないのだろう。
建物の中を一通り案内されてから部屋に入ると、表の通りのデリで買ってきた惣菜で簡単に夕食を済ませた。
透が「料理する時間が勿体ない」と言い張ったからだ。
ヨーコも数日ぶりに早く抱き合いたかったから、彼の意見に頷いた。
「シャワーを一緒に浴びない?」
「良いデス……ヨ」
洗面台の前でお互い競うように服を脱がせあい、その場で激しく舌を絡ませ合った。
数日ぶりのキスは甘くて濃厚で、頭の芯まで痺れさせた。
一気に理性が失われて行く。
明日は朝からデートの予定だから、セックスは1回で済ませて翌日に備えようと約束していたのだけれど……シャワールームで立ったまま素股で1回、浴槽で舌で1回イかされて、最後にベッドルームに運ばれた時には、既に身体中トロトロに蕩けさせられていた。
それでもクイーンサイズのベッドで激しく愛されれば快感にうち震え、透をギュウッと締め付けた。
細い声を上げて絶頂を迎えると、身も心も幸福感に満たされて、ピッタリと抱き合って眠ったのだった。
土曜日は晴天で、澄み渡るマンハッタンの空の下、2人手を繋いで歩いた。
タイムズスクエアで写真を撮りまくり、5thアベニューではハイブランドの店を見て回った。
「ついでに婚約指輪を買っちゃう?」
ハリーウインストンの前で立ち止まって瞳を覗き込まれたけれど、それはまだ気が早いと断った。
しばらくすると、
「本当にいらない? 婚約指輪が駄目なら結婚指輪を先に買っておく?」
「それこそ早すぎデスヨ!」
「だけど、何かヨーコが身につけるものを贈りたいんだ。俺の独占欲を満足させてよ」
ワンコがクンクン甘えるように上目遣いで見つめられて、ヨーコが選んだのは日本のブランド、ミキモトだった。
2人でソファーに座って紅茶を飲みながら選んだのは、ピンク真珠のピアスとペンダント。10ミリサイズだから存在感がある。
アコヤ真珠の優しい丸みと柔らかい光沢。ヨーコはパールが大好きだ。
透の母国であり、ヨーコにとっては第二の故郷。 彼からもらう初めての宝石が日本の品だったことが、とても誇らしく嬉しく思えた。
遅めのお寿司ランチの後は、いよいよブロードウェイミュージカルの観劇だ……と歩き出した時……。
「えっ、ヨーコ?」
たった今すれ違ったアメリカ人男性が、立ち止まって振り向いた。
ーーえっ?
急に名前を呼ばれ、透と共に足を止める。
こちらも振り返り、そして……。
「嘘……デショ……」
『俺の彼女なんだろ。ヤラせろよ』
『なんだよ、エロ本好きだって言うから簡単にヤらせてくれると思ったのに、騙されたよ』
『野郎同士のセックスなんてアブノーマルにも程があるだろ。何を今更清純ぶってるんだよ』
「イアン……どうして……」
あの日の記憶が蘇り、目の前の景色がグラリと揺れた。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
4番目の許婚候補
富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる