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76、名前を呼んで (2) *

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「あっ!ああーーっ!」

 いきなり奥深くまで突き上げられた。
天馬の硬くて太い漲りが、突き当たりをズン!と打ちつける。
 重い痺れが腰に響き、思わず背中を反らして大声をあげる。だけどそれは痛みや苦しみの声ではなく、大きな快感に反応した喜びの嬌声だった。

「はっ……エロい眺め。楓花の……お尻……白くて張りがあって…めちゃくちゃ色っぽい……」

 楓花の腰を両手で抱えながら、ズッズッと抽送を繰り返し、時々グリグリと擦り付ける。

「あっ…あっ……やっ!…駄目っ!」

「駄目じゃないだろ……こんなに…締め付けてくるのに……うあっ!また締め付けた。凄いな……好きな女とのセックスって……頭が沸騰する」

ーー沸騰……私もだよ、天にい……

 昨日の痛みが嘘かのように、今日は媚薬のような快感だけが全身を満たしている。中を掻き混ぜられる度に、打ち付けられる度に、甘い痺れがブワッと溢れてきて、『気持ちいい』だけしか考えられなくなる。

「天にい……気持ちい……気持ちいいよ…」
「……もっとだ」

 ズンッ!

「ああーーっ!」

 パンッ! ……パン、パン、パン!

 いきなり腰の動きが速くなった。楓花の腰をグッと抱えて激しく最奥まで打ちつける。
 肌がぶつかる度に高い音が響く。

「あっ、あっ!天にい、凄い!凄いっ!」
「イイって言えよ」

「イイっ!気持ちいい!天にい……天にい、イっちゃう!」
「楓花、名前を呼んで」

「は……っ……えっ?」
「天にいじゃない……俺の名前を……呼んでくれよ。俺の名前……忘れたの?」

 腰を打ち付け息も絶え絶えになりながら、天馬は執拗に名前を呼ばせようとする。

 そんなの忘れるはずが無い。上京して離れていた間にも、何度も思い出し胸を焦がした人の名前……

「天……馬……」
「……えっ」

 自分で言わせておいて、驚いている。中で漲りがビクンと跳ね、腰の動きが止まった。

「楓花、何て……」
「……天馬」

 途端に中で膨らんで、容積が増した。天馬がまた腰を押し付け、中を抉るようにグリグリとかき回し始める。

「もっと……もっと呼んでくれ…」
「天馬……天馬、好き……もっと…もっとシて…!」

「くっ………最高だなっ!」

 パンッ!パンッ!パンッ!……

「ああっ!凄いっ!イイっ、天馬っ、イイっ!」
「楓花、イイよ……俺も……もうっ!…くっ…!」

 ゾクゾクと何かが迫り上がってくる。
 ズンッ!と大きく突き上げられて嬌声を上げたと同時に、目の前で光が弾けた。

「ああっ!」

 楓花が顎を上げ、ビクンと腰を引くと、冬馬も息を弾ませ動きを止める。
 愛する人のモノでギッチリと塞がれたソコで、天馬自身がビクン、ビクンと跳ねている。

 しばらくしてズルリと中から熱が離れて行くと、楓花は漸く足を伸ばしてぐったりとうつ伏せて、波紋のようにジワジワと広がっては徐々に鎮まっていく快感の名残に身を任せていた。
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