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無いものがあった場所
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ゆうりさん、みるく台本
②超切ないハッピーエンド
(最後に大どんでん返し)
タイトル「無いものがあった場所」
※ハッピーエンド台本です。しかし悲しみ要素が強いです。ナレーション多めで行きます。
セリフは名前の頭文字で表記します。
(ナ)は頭文字の後につけます。
ナ(ゆ):あれは今日みたいに晴れてて
桜がちょうど散った頃の春だった。
君との新生活をし始めた頃だったね。
少しずつ思い出しながらこの
使い古しの日記に綴ろうと思う。文章書くの下手くそだけどさ、これは君といた記憶の記録。
み:なぁーあ、ちょい手伝ってやぁ
ゆ:ちょっと待って!こっちも手離せない
み:ちょっとだけやから来てやぁ
ゆ:もうーなんだよー。急用か?
み:見てこれ!前くれたペンダント
今出てきたんよー!めっちゃ嬉しい!
ゆ:なんだよ…そんなことかっ…
ってお前なくしてたのかよ!!
聞いてねぇわ!
み:言っとらんもーん笑
ゆ:お前ほんとに雑だな~笑
み:雑いうなや。よっこらせーぃ!おっと…
(ここで頭がぐらつき立ちくらみを起こす)
ゆ:お、おい。大丈夫か?
最近体調良くないよな。心配だぞ?
み:だ、大丈夫や。多分貧血気味やねん。
なんとかなるって。
ゆ:ほんとかよ。とりあえず少し休め。
やっとくからさ。
ナ(み):彼氏との新生活。引越しの作業をしている時に前々から体調が良くなかった私は、気のせいと思いつつ、少し寂れた2DKのマンションの一室の、かろうじて置いたソファに
横になっていた。
ゆ:さて、これ置いて。こっちにこれ置いたら
とりあえず生活スペースは確保出来たな。
(セリフ言い終わったらため息を着くように)
み:ごめんなぁ。ほんまにごめん。
(少しか細く)
ゆ:いいよ、大丈夫だって。
お前の体調の方が心配だわ。
み:ぜっんぜん大丈夫やから!
ほら!(立ち上がるがぐらつく) あっ
ゆ:危なっ!(体を支える) ほら見ろ。
み:ご、ごめん。ほんまごめん。
ゆ:謝んなって。「ありがとう」
って言っとけ(少し笑って)
み:あ、ありがとう。
ゆ:とりあえずさ、少し落ち着いたら
また病院行ってみよ。なんかあったら
まずいしさ。
み:せやなぁ。なんともないと思うけどなぁ。
ゆ:まぁ試しによ。
ナ(ゆ):大事をとってそう提案したのだが
1週間後、地域の内科へ向かった先で
不穏なことが起きる。
ゆ:先生、どうですかね?やっぱり貧血すか?
み:どうなんですか?
ナ(み):医者からは臓器に影が見えるということで大きな病院を紹介された。
ゆ:い、いやいやいや。なんかの間違いじゃ。
今からでも行けますか?よし。すぐ行こう。
み:え、え、怖いよ。どうしよう。
(怯えながら)
ゆ:大丈夫。俺がついてるから
一緒に行って確かめよう。
ナ(ゆ):その当日、大きな大学病院へ
足を運んだ。そこで様々な検査をした。
その日は遅かったのでまた1週間後に
来院する予定になった。
み:なぁ。私大丈夫かな。
ゆ:大丈夫だろ!めちゃくちゃ食欲あるし!
み:うっさいわ!腹減ってんねん!
ゆ:ははは笑 ごめんごめん笑
ナ(み):こうやって不安な時も笑わせてくれる
大好きな彼氏。手を握ってくれるだけで
凄く落ち着くんだ。いつもありがとう。
そうして1週間が経ち、再び来院した。
ゆ:先生。結局うちのはなんだったんですか?
酷い貧血とかですよね?
えっ…。ガン?膵臓の末期ガン…?
そんな…。なんで…。
み:先生。私の余命どれくらいなんですか。
ゆ:お前何言ってんだよ!そんなこと…。
み:教えてください。お願いします。
…そうですか。1年ですか。
分かりました。
ゆ:お、おい。
み:とりあえず入院の準備しないとね笑
ゆ:(笑った顔を見て察した感じで)
…わかったよ。
ナ(み):ここから私の入院生活が
始まった。彼氏が用意してくれた
生活用品と別に、私は日記帳を買った。
今日から内緒で付けてみることにした。
ゆ:よう!入院生活どうよ?
み:めっちゃ快適やで!
なんもせんでもご飯出てくるのマジ神やわ
ゆ:へーへー。いつもすんませんねぇ。
み:ありがたみが分かったやろが笑
ゆ:いつもありがとうござあーす
み:感情がこもっとらん。もう1回。
ゆ:いつも誠に誠にありがとーございまーす!
み:年末年始のセールか!病院やから
静かにせい!
ゆ:サーセン。
み:まったく笑
ゆ:じゃあ俺そろそろ帰るわ。
み:えっ?早ない?なんかあるん?
ゆ:い、いや?ちょっとな?
み:怪しい…。なんか隠してるやろ!
ほれ!言うてみ!
ゆ:病院だから静かにしてくださいw
み:サーセン。でもほんまになんなん?
ゆ:ちょっとバイト始めたんだ。
副業みたいな感じでさ。
み:あ、そうやったんや。なーんや笑
ゆ:んじゃそういうことで!
また明日来るわ!
み:また明日な!
さて…行ったかな?
今日の分書いとこ。
[今日も相変わらずうるさかったわ。でもああやって笑かしに来てくれるのほんま嬉しかったなぁ。今日はサバの味噌煮のレシピを書いておきます。]
こんな感じでええかな。
ナ(ゆ):彼女は苦しいながらも一生懸命生きている。俺もバイトしてお金貯めて
もっといい治療出来るように頑張らないと。
そう思い、毎日仕事とバイトに明け暮れた。
ゆ:ふぅー。今日も仕事にバイトに頑張ったー。明日のご飯セットして、お見舞い行くぞー。ふわぁー。寝よっと。
み:アイツは家でちゃんと出来てるんかなー。
不安やわ。でもここから出られへんし
抗がん剤も打つことなるしなー。
こっちはこっちで頑張ろう。
寝よっと。
(数日後)
ゆ:よーっす!今日はじゃじゃーん!
こんなのを買ってみたよ!
み:えっ!これって今流行りのゲーム機やん!
こうてくれたん?ありがとぉ!
ゆ:おう!島を開拓するゲーム入ってるから
暇つぶしになるよ!楽しんで!
み:よく手に入ったなー!やりたかってん!
ゆ:おう!開拓頼むぜ!
み:うん!(ここで彼氏の目の下にクマがあることを気付く。)
ゆ:ん?どしたん?なんか顔についてるか?
み:あんた、あんまり寝てないやろ。
ゆ:寝てるよ。なんで?
み:嘘ばっか。目の下にクマばっちし
ある人が寝てないなんか言えへんやろ。
ゆ:これはあれだ。あの野球で
デーゲームする時のだな。
み:はっきり言うて?どうせ夜遅くまで
バイトとかしてんねやろ。
ゆ:なんでそれを…。
み:あんたの彼女やで。わかるわい。
ゆ:いやさ、もっとお金貯めて
いい治療出来たらと思ってさ
少し働く日数増やしたんだ。
み:もうほんまアホやな(少し声のトーン落として)
ゆ:ご、ごめん!俺さっ…
(急に抱きしめられる)
み:あんたが倒れたらどないすんねん。
無理せんとって。(優しく)
ゆ:ごめん…。
無理しない…。でも俺にも頑張らせて。
お前だけ頑張るのは嫌だよ。
み:わかった。ほんまに無理だけせんでね。
ありがとうね。
ゆ:じゃあ今日帰るわ。明日休みだから
また来るよ。
み:うん。また明日。
さてと今日の日記書くか。
[今日もお見舞いに来てくれた。あいつ、無理してバイトしてた。でもあいつの必死な顔。ああいう所に惚れてる。でも私ももう長くないかもしれない。抗がん剤が痛い。髪の毛も近いうちに全部そってもらう。嫌だ。失うのが怖いよ。でも最後まで頑張らなきゃ。今日は掃除の仕方。掃除の場所を書いておきます。]
こんなもんかな。体が痛い。
ゆ:バレちゃったなー。あいつああいう所が
やけに鋭いよな。はーぁ。無理せんとって
か。1番説得力ねーっつーの。
あいつがいちばん無理してるだろうに。
どうにかなんねーかな。
頭いてぇ。
ナ(ゆ):こうして少しずつ月日が経ち
彼女の髪も全部そられ。猫耳が着いてる可愛いニット帽をプレゼントした。最初は
「こんなん恥ずいの付けれるかー!」
って怒ってたけど、後日看護師さんに聞くと
めちゃくちゃ自慢してるらしい笑
可愛いやつだな笑 そして明日は
あいつの誕生日。とっておきのプレゼントを
用意することにした。
ゆ:おいーっす。来たぞー。元気?
み:おーう。全く元気やわ。
ゆ:日本語おかしいのは元気の証拠だな。
み:うっさいなぁ。
ゆ:今日何の日か覚えてる?
み:09月29日やろ?
なんの日や?
ゆ:お前、嘘だろ。
自分の誕生日忘れてんの?
み:えっ?今日私、誕生日?!
ゆ:そうだよwww
み:うわー。全然忘れてた。
ゆ:しっかりせい笑
今日さプレゼントあるんだ!
み:え!なになに!5000兆円?!
ゆ:んなわけあるか!とりあえずこっち来てみ。
み:なになに?
ゆ:はい。簡易だけど
病院の人も協力してくれて
作ったよ。
み:これって…結婚式?
ゆ:そう。少し早いかもだけど
できる時にさ。ね?
み:ほんまアホやな…。(涙声)
ゆ:ほら、おいで。
ナ(み):こうして病院の人らに
見守られて結婚式という
プレゼントを貰った。
私なんて幸せもんなんやろか。
ゆ:よし!全工程終了!
大成功ー🎶
み:ほんまありがとうなぁ。
って、えっ?!泣いてるん?!
ゆ:だってさぁ。切ないからさ、
み:ありがとうね。その気持ちすっごく嬉しかった。ほんまにありがとうね。
ゆ:おう!当たり前だろ!
とりあえず片付けしたら帰るわ!
み:うん!私も投薬の時間やから
戻るね。今日はありがとう。大好き。
さて、帰ったかな。日記書こう。
[今日はなんと誕生日だったらしい。すっかり忘れてたわ笑 そんでプレゼント何くれんのかなって思ったら、結婚式ってほんまにズルいわ。泣く以外出来ひんやろ。ほんまにありがとう。今日は死亡届の出し方とか戸籍のかえ方など書いておきます。]
さて、寝よう。ふふ。指輪、ちょっと緩かったかな。選ぶの下手くそだなあー。はは…。
(少し涙声で)
ゆ:あいつ…。指輪のサイズしっかり測ったのに入らなかった…。確実に痩せていってる。
そんなの嫌だ。1人にしないでくれ…。
ナ(ゆ):こうしてサプライズの結婚式が
成功し、彼女の幸せな顔を見るつもりだった。喜んでくれたのは事実だった。
でもその笑顔が、強ばった筋肉を無理に使って作っていることが誰から見てても分かっていて、とてもじゃないけど「幸せ」と
言えるには遠い表現だった。
このちょうど三ヶ月後ぐらいの日付が
変わった頃。俺のケータイに着信が入った
その瞬間悟った。やはり病院だった。
内容は「彼女さんの容態が急変しました。急いできてください。」とのこと。
何故、俺に連絡が行くかと言うと
彼女は親に勘当(かんどう)されている。
だから、俺が肉親みたいなもんなんだ。
そんなことを思いながら、自転車を走らせて
夜間救急の入口へ息を切らしながら
駆け込んだ。驚いた看護師さんに
止められながらもこう叫んだ。
ゆ:あいつは!どうなりましたか!!
(息を切らしながら必死な感じで)
ナ(ゆ):看護師さんに急いで連れていかれた先には、三本の線が不穏に揺れて、音が響く
物々しい機械に繋がれて苦しむ彼女。
その彼女は右手で左の薬指をしっかりと
握っていた。
ゆ:おい!大丈夫か!頑張れ!頑張れ!
(※必死に、さらに泣けたら最高です。)
み:(息ができない感じで)ねぇ…ハァハァ。誕生日…。誕生日おめでとう。これ…プレゼント…。こんなものでごめんね…。おめでとう。
ゆ:何言ってんだよバカ。そんな場合じゃねえだろ!元気な姿で渡せよ。コラ。なんとか言ってみろよ…。おい、何とか言えよ…。
み:ありがとう…。(か細い声で)
ナ(ゆ):こうして俺の誕生日
12月28日に彼女は息を引き取った。
それから約1ヶ月をかけて
葬儀やら何やらをし始めた。
手順よく出来たのは
彼女の残した日記だった。
そこに残されていたものは
一言のコメントと、日常生活で役立つ
ノウハウだった。
ゆ:あいつ…。こんなもの書いてたんだ。
全然知らなかったよ。2人掛けのソファー
お茶碗、お揃いの箸。ほとんど使えなかったね。でも君がいた記憶だけは残ってる。
この空間に一緒にいれて嬉しかったよ。
み:私の書いたものは役にたったみたいやな。苦労したんやで。ろくに家事できひん私がスマホで調べて、丁寧に書いたんやから。
あ、最後の方字がヘロヘロでごめんやん。
力入らんかってん笑 読めるよな?
んで、あんた。なんか凄いことしようとしてるらしいな?
ゆ:そうそう。お前の書いたこの日記と
ご飯のレシピ。そして日常生活で必要なこと。まとめて本にして出すことにしたから。
お前が居なくなっても。ちゃんと残るから。
み:へぇ。なんてタイトルなん?
ゆ:「無いものがあった場所~記憶の記録~」
っていうタイトルだよ。
み:ナルシストやなぁ。嫌いやないで。
ゆ:ちなみに一番好きなレシピは
「サバの味噌煮」だよ。
ナ(ゆ):そんなことを笑った写真のお前と
話しながら少しだけ涙を拭いて
2人分のサバの味噌煮を用意して
手を合わせて
「いただきます」
と呟いた。
そんなことが未来の今へ繋がって
彼女の書いた日記の次の年のページへ
書き込むのであった。
大好きな彼女へ、ありがとう。
②超切ないハッピーエンド
(最後に大どんでん返し)
タイトル「無いものがあった場所」
※ハッピーエンド台本です。しかし悲しみ要素が強いです。ナレーション多めで行きます。
セリフは名前の頭文字で表記します。
(ナ)は頭文字の後につけます。
ナ(ゆ):あれは今日みたいに晴れてて
桜がちょうど散った頃の春だった。
君との新生活をし始めた頃だったね。
少しずつ思い出しながらこの
使い古しの日記に綴ろうと思う。文章書くの下手くそだけどさ、これは君といた記憶の記録。
み:なぁーあ、ちょい手伝ってやぁ
ゆ:ちょっと待って!こっちも手離せない
み:ちょっとだけやから来てやぁ
ゆ:もうーなんだよー。急用か?
み:見てこれ!前くれたペンダント
今出てきたんよー!めっちゃ嬉しい!
ゆ:なんだよ…そんなことかっ…
ってお前なくしてたのかよ!!
聞いてねぇわ!
み:言っとらんもーん笑
ゆ:お前ほんとに雑だな~笑
み:雑いうなや。よっこらせーぃ!おっと…
(ここで頭がぐらつき立ちくらみを起こす)
ゆ:お、おい。大丈夫か?
最近体調良くないよな。心配だぞ?
み:だ、大丈夫や。多分貧血気味やねん。
なんとかなるって。
ゆ:ほんとかよ。とりあえず少し休め。
やっとくからさ。
ナ(み):彼氏との新生活。引越しの作業をしている時に前々から体調が良くなかった私は、気のせいと思いつつ、少し寂れた2DKのマンションの一室の、かろうじて置いたソファに
横になっていた。
ゆ:さて、これ置いて。こっちにこれ置いたら
とりあえず生活スペースは確保出来たな。
(セリフ言い終わったらため息を着くように)
み:ごめんなぁ。ほんまにごめん。
(少しか細く)
ゆ:いいよ、大丈夫だって。
お前の体調の方が心配だわ。
み:ぜっんぜん大丈夫やから!
ほら!(立ち上がるがぐらつく) あっ
ゆ:危なっ!(体を支える) ほら見ろ。
み:ご、ごめん。ほんまごめん。
ゆ:謝んなって。「ありがとう」
って言っとけ(少し笑って)
み:あ、ありがとう。
ゆ:とりあえずさ、少し落ち着いたら
また病院行ってみよ。なんかあったら
まずいしさ。
み:せやなぁ。なんともないと思うけどなぁ。
ゆ:まぁ試しによ。
ナ(ゆ):大事をとってそう提案したのだが
1週間後、地域の内科へ向かった先で
不穏なことが起きる。
ゆ:先生、どうですかね?やっぱり貧血すか?
み:どうなんですか?
ナ(み):医者からは臓器に影が見えるということで大きな病院を紹介された。
ゆ:い、いやいやいや。なんかの間違いじゃ。
今からでも行けますか?よし。すぐ行こう。
み:え、え、怖いよ。どうしよう。
(怯えながら)
ゆ:大丈夫。俺がついてるから
一緒に行って確かめよう。
ナ(ゆ):その当日、大きな大学病院へ
足を運んだ。そこで様々な検査をした。
その日は遅かったのでまた1週間後に
来院する予定になった。
み:なぁ。私大丈夫かな。
ゆ:大丈夫だろ!めちゃくちゃ食欲あるし!
み:うっさいわ!腹減ってんねん!
ゆ:ははは笑 ごめんごめん笑
ナ(み):こうやって不安な時も笑わせてくれる
大好きな彼氏。手を握ってくれるだけで
凄く落ち着くんだ。いつもありがとう。
そうして1週間が経ち、再び来院した。
ゆ:先生。結局うちのはなんだったんですか?
酷い貧血とかですよね?
えっ…。ガン?膵臓の末期ガン…?
そんな…。なんで…。
み:先生。私の余命どれくらいなんですか。
ゆ:お前何言ってんだよ!そんなこと…。
み:教えてください。お願いします。
…そうですか。1年ですか。
分かりました。
ゆ:お、おい。
み:とりあえず入院の準備しないとね笑
ゆ:(笑った顔を見て察した感じで)
…わかったよ。
ナ(み):ここから私の入院生活が
始まった。彼氏が用意してくれた
生活用品と別に、私は日記帳を買った。
今日から内緒で付けてみることにした。
ゆ:よう!入院生活どうよ?
み:めっちゃ快適やで!
なんもせんでもご飯出てくるのマジ神やわ
ゆ:へーへー。いつもすんませんねぇ。
み:ありがたみが分かったやろが笑
ゆ:いつもありがとうござあーす
み:感情がこもっとらん。もう1回。
ゆ:いつも誠に誠にありがとーございまーす!
み:年末年始のセールか!病院やから
静かにせい!
ゆ:サーセン。
み:まったく笑
ゆ:じゃあ俺そろそろ帰るわ。
み:えっ?早ない?なんかあるん?
ゆ:い、いや?ちょっとな?
み:怪しい…。なんか隠してるやろ!
ほれ!言うてみ!
ゆ:病院だから静かにしてくださいw
み:サーセン。でもほんまになんなん?
ゆ:ちょっとバイト始めたんだ。
副業みたいな感じでさ。
み:あ、そうやったんや。なーんや笑
ゆ:んじゃそういうことで!
また明日来るわ!
み:また明日な!
さて…行ったかな?
今日の分書いとこ。
[今日も相変わらずうるさかったわ。でもああやって笑かしに来てくれるのほんま嬉しかったなぁ。今日はサバの味噌煮のレシピを書いておきます。]
こんな感じでええかな。
ナ(ゆ):彼女は苦しいながらも一生懸命生きている。俺もバイトしてお金貯めて
もっといい治療出来るように頑張らないと。
そう思い、毎日仕事とバイトに明け暮れた。
ゆ:ふぅー。今日も仕事にバイトに頑張ったー。明日のご飯セットして、お見舞い行くぞー。ふわぁー。寝よっと。
み:アイツは家でちゃんと出来てるんかなー。
不安やわ。でもここから出られへんし
抗がん剤も打つことなるしなー。
こっちはこっちで頑張ろう。
寝よっと。
(数日後)
ゆ:よーっす!今日はじゃじゃーん!
こんなのを買ってみたよ!
み:えっ!これって今流行りのゲーム機やん!
こうてくれたん?ありがとぉ!
ゆ:おう!島を開拓するゲーム入ってるから
暇つぶしになるよ!楽しんで!
み:よく手に入ったなー!やりたかってん!
ゆ:おう!開拓頼むぜ!
み:うん!(ここで彼氏の目の下にクマがあることを気付く。)
ゆ:ん?どしたん?なんか顔についてるか?
み:あんた、あんまり寝てないやろ。
ゆ:寝てるよ。なんで?
み:嘘ばっか。目の下にクマばっちし
ある人が寝てないなんか言えへんやろ。
ゆ:これはあれだ。あの野球で
デーゲームする時のだな。
み:はっきり言うて?どうせ夜遅くまで
バイトとかしてんねやろ。
ゆ:なんでそれを…。
み:あんたの彼女やで。わかるわい。
ゆ:いやさ、もっとお金貯めて
いい治療出来たらと思ってさ
少し働く日数増やしたんだ。
み:もうほんまアホやな(少し声のトーン落として)
ゆ:ご、ごめん!俺さっ…
(急に抱きしめられる)
み:あんたが倒れたらどないすんねん。
無理せんとって。(優しく)
ゆ:ごめん…。
無理しない…。でも俺にも頑張らせて。
お前だけ頑張るのは嫌だよ。
み:わかった。ほんまに無理だけせんでね。
ありがとうね。
ゆ:じゃあ今日帰るわ。明日休みだから
また来るよ。
み:うん。また明日。
さてと今日の日記書くか。
[今日もお見舞いに来てくれた。あいつ、無理してバイトしてた。でもあいつの必死な顔。ああいう所に惚れてる。でも私ももう長くないかもしれない。抗がん剤が痛い。髪の毛も近いうちに全部そってもらう。嫌だ。失うのが怖いよ。でも最後まで頑張らなきゃ。今日は掃除の仕方。掃除の場所を書いておきます。]
こんなもんかな。体が痛い。
ゆ:バレちゃったなー。あいつああいう所が
やけに鋭いよな。はーぁ。無理せんとって
か。1番説得力ねーっつーの。
あいつがいちばん無理してるだろうに。
どうにかなんねーかな。
頭いてぇ。
ナ(ゆ):こうして少しずつ月日が経ち
彼女の髪も全部そられ。猫耳が着いてる可愛いニット帽をプレゼントした。最初は
「こんなん恥ずいの付けれるかー!」
って怒ってたけど、後日看護師さんに聞くと
めちゃくちゃ自慢してるらしい笑
可愛いやつだな笑 そして明日は
あいつの誕生日。とっておきのプレゼントを
用意することにした。
ゆ:おいーっす。来たぞー。元気?
み:おーう。全く元気やわ。
ゆ:日本語おかしいのは元気の証拠だな。
み:うっさいなぁ。
ゆ:今日何の日か覚えてる?
み:09月29日やろ?
なんの日や?
ゆ:お前、嘘だろ。
自分の誕生日忘れてんの?
み:えっ?今日私、誕生日?!
ゆ:そうだよwww
み:うわー。全然忘れてた。
ゆ:しっかりせい笑
今日さプレゼントあるんだ!
み:え!なになに!5000兆円?!
ゆ:んなわけあるか!とりあえずこっち来てみ。
み:なになに?
ゆ:はい。簡易だけど
病院の人も協力してくれて
作ったよ。
み:これって…結婚式?
ゆ:そう。少し早いかもだけど
できる時にさ。ね?
み:ほんまアホやな…。(涙声)
ゆ:ほら、おいで。
ナ(み):こうして病院の人らに
見守られて結婚式という
プレゼントを貰った。
私なんて幸せもんなんやろか。
ゆ:よし!全工程終了!
大成功ー🎶
み:ほんまありがとうなぁ。
って、えっ?!泣いてるん?!
ゆ:だってさぁ。切ないからさ、
み:ありがとうね。その気持ちすっごく嬉しかった。ほんまにありがとうね。
ゆ:おう!当たり前だろ!
とりあえず片付けしたら帰るわ!
み:うん!私も投薬の時間やから
戻るね。今日はありがとう。大好き。
さて、帰ったかな。日記書こう。
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そんなの嫌だ。1人にしないでくれ…。
ナ(ゆ):こうしてサプライズの結婚式が
成功し、彼女の幸せな顔を見るつもりだった。喜んでくれたのは事実だった。
でもその笑顔が、強ばった筋肉を無理に使って作っていることが誰から見てても分かっていて、とてもじゃないけど「幸せ」と
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このちょうど三ヶ月後ぐらいの日付が
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何故、俺に連絡が行くかと言うと
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だから、俺が肉親みたいなもんなんだ。
そんなことを思いながら、自転車を走らせて
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駆け込んだ。驚いた看護師さんに
止められながらもこう叫んだ。
ゆ:あいつは!どうなりましたか!!
(息を切らしながら必死な感じで)
ナ(ゆ):看護師さんに急いで連れていかれた先には、三本の線が不穏に揺れて、音が響く
物々しい機械に繋がれて苦しむ彼女。
その彼女は右手で左の薬指をしっかりと
握っていた。
ゆ:おい!大丈夫か!頑張れ!頑張れ!
(※必死に、さらに泣けたら最高です。)
み:(息ができない感じで)ねぇ…ハァハァ。誕生日…。誕生日おめでとう。これ…プレゼント…。こんなものでごめんね…。おめでとう。
ゆ:何言ってんだよバカ。そんな場合じゃねえだろ!元気な姿で渡せよ。コラ。なんとか言ってみろよ…。おい、何とか言えよ…。
み:ありがとう…。(か細い声で)
ナ(ゆ):こうして俺の誕生日
12月28日に彼女は息を引き取った。
それから約1ヶ月をかけて
葬儀やら何やらをし始めた。
手順よく出来たのは
彼女の残した日記だった。
そこに残されていたものは
一言のコメントと、日常生活で役立つ
ノウハウだった。
ゆ:あいつ…。こんなもの書いてたんだ。
全然知らなかったよ。2人掛けのソファー
お茶碗、お揃いの箸。ほとんど使えなかったね。でも君がいた記憶だけは残ってる。
この空間に一緒にいれて嬉しかったよ。
み:私の書いたものは役にたったみたいやな。苦労したんやで。ろくに家事できひん私がスマホで調べて、丁寧に書いたんやから。
あ、最後の方字がヘロヘロでごめんやん。
力入らんかってん笑 読めるよな?
んで、あんた。なんか凄いことしようとしてるらしいな?
ゆ:そうそう。お前の書いたこの日記と
ご飯のレシピ。そして日常生活で必要なこと。まとめて本にして出すことにしたから。
お前が居なくなっても。ちゃんと残るから。
み:へぇ。なんてタイトルなん?
ゆ:「無いものがあった場所~記憶の記録~」
っていうタイトルだよ。
み:ナルシストやなぁ。嫌いやないで。
ゆ:ちなみに一番好きなレシピは
「サバの味噌煮」だよ。
ナ(ゆ):そんなことを笑った写真のお前と
話しながら少しだけ涙を拭いて
2人分のサバの味噌煮を用意して
手を合わせて
「いただきます」
と呟いた。
そんなことが未来の今へ繋がって
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書き込むのであった。
大好きな彼女へ、ありがとう。
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隣に住む私より一つ年上のお兄さんは、優しくて肩まで伸ばした金色の髪の毛を結ぶその姿は王子様のようで私には初恋の人でもあった。
いつも学園が休みの日には、お茶をしてお喋りをして…勉強を教えてくれるお兄さんから好きだと言われて信じられない私は泣きながら喜んだ…でもその好きは恋人の好きではなかった……
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新が不定期ですが、よろしくお願いします。
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