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春
練習試合4
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呆然とする私をよそに、美咲ちゃんと幸大さんは私の隣に腰かけた。
「もうすぐ始まるよー!」
そう言って私の腕を取った美咲ちゃんにつられて私も座る。
下に目をやると、それぞれの高校から試合に出る選手たちがぞろぞろとコートに出てくるところだった。
「めいちゃーん!」
北高がこちら側を向いていたので、私を見つけた圭ちゃんがぶんぶんと手を振る。
わー、自由だなあ
と思いながら私も笑顔で手を振り返す。
「あれが芽衣子ちゃんの弟さん?」
「背、高いねー!」
美咲ちゃんたちに相づちを打ちながら、ふと圭ちゃんの横に目をやって…
「っ!」
私は勢いよく下を向いた。
胸がドクドクと、嫌な音を立てて鳴っている。
なんで…?
『は?津島ー?あんなやつ、一緒にいても全然楽しくねーし!』
なんで彼がここにいるの…?
「あ、滝川だ。あいつ、元気になったのか。」
「なに、香澄、知りあい?」
「あー、去年試合した時に、ちょっと…」
遠くでりっかと香澄くんの話が聞こえる。
がたがたと、手が震えだす。
こわい。
こわい。
「芽衣子?」
りっかに肩をたたかれ、はっとする。
「大丈夫?顔色悪いよ?」
心配そうな顔をしたりっかが、私の背中をさすってくれる。
「…ごめん!ぼーっとしてた!大丈夫だよ、ありがとう!」
にっこり笑って何事もないようにコートに視線を戻すと、バチリと彼と目があう。
また胸が痛み、私はすぐに下を向いた。
滝川 隼
私は中学生の時、彼のことが好きだった。
「もうすぐ始まるよー!」
そう言って私の腕を取った美咲ちゃんにつられて私も座る。
下に目をやると、それぞれの高校から試合に出る選手たちがぞろぞろとコートに出てくるところだった。
「めいちゃーん!」
北高がこちら側を向いていたので、私を見つけた圭ちゃんがぶんぶんと手を振る。
わー、自由だなあ
と思いながら私も笑顔で手を振り返す。
「あれが芽衣子ちゃんの弟さん?」
「背、高いねー!」
美咲ちゃんたちに相づちを打ちながら、ふと圭ちゃんの横に目をやって…
「っ!」
私は勢いよく下を向いた。
胸がドクドクと、嫌な音を立てて鳴っている。
なんで…?
『は?津島ー?あんなやつ、一緒にいても全然楽しくねーし!』
なんで彼がここにいるの…?
「あ、滝川だ。あいつ、元気になったのか。」
「なに、香澄、知りあい?」
「あー、去年試合した時に、ちょっと…」
遠くでりっかと香澄くんの話が聞こえる。
がたがたと、手が震えだす。
こわい。
こわい。
「芽衣子?」
りっかに肩をたたかれ、はっとする。
「大丈夫?顔色悪いよ?」
心配そうな顔をしたりっかが、私の背中をさすってくれる。
「…ごめん!ぼーっとしてた!大丈夫だよ、ありがとう!」
にっこり笑って何事もないようにコートに視線を戻すと、バチリと彼と目があう。
また胸が痛み、私はすぐに下を向いた。
滝川 隼
私は中学生の時、彼のことが好きだった。
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