きみとの距離

ぺっこ

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変わらない日常

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練習試合から数日たった。


相変わらず七瀬くんは朝練時、時々花壇にやってくる。


「津島、おはよう!」


そう言って当たり前のように私のとなりに座る七瀬くん。


「おはよう七瀬くん。」


滝川との一件があってから、心のつかえは取れた。


でも、急に積極的になれるわけでも、自信に満ち溢れるわけでもない。


変わらず七瀬くんが側にいると、ドキドキ胸が高鳴って、うまく話せているか分からない。


「あ!そういえば津島…」


思い出したようにポケットをごそごそしだした七瀬くんに私は目を向ける。


「?」


「これ、この前のお弁当のお礼!」


美味しかった、ありがとう!


そう言って七瀬くんがくれたのは丸くて大きな飴だった。


「わ、いいの?ありがとう!」


この飴私好きなの!


思わず笑顔になった私に七瀬くんも嬉しそうに笑う。


「それ、美味しいよな!」


「食べていい?」


「もちろん!」


包みを開けて、飴を口に入れると、口いっぱいにリンゴの味が広がった。


「美味しいー!」


「よかった。俺も食べよー。」


そう言って七瀬くんも飴を頬張る。


大きな飴は、頬を真ん丸な形に押し上げる。


なんだか七瀬くん、リスみたい。


かわいくて思わず吹き出してしまう。


「?」


不思議そうに私を見る七瀬くんに、なんでもないというように首をふる。


そんな私をじっと見た七瀬くんは、


「なんか津島、リスみたいだな!」


私が思っていたことを口に出した。


同じことを考えてた。


それが嬉しくて私はもっと笑顔になる。


「私もね、七瀬くん見てそう思った。」


ふふふと笑うと七瀬くんは一瞬きょとんとしたあと、破顔した。


「あはははは!俺もか!おそろいだな!」


「うん!」


私たちは顔を見合わせて笑い合った。





ジャリ…


そんな私たちは、後ろで私たちをじっと見ている人影に気付かなかった。
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