32 / 360
奴隷検分 一
しおりを挟む「では、まず、ここで、すべて脱いでもらうわ」
いきなりそんなことを言われて、リィウスは仰天した。
ナルキッソスを帰してから、あらためて説明を受けたものの、やはり実際には身を売るということが想像できないでいる彼だった。出された軽食もほとんど手をつけることができないまま、主となったタルペイアに呼ばれ、広間に来ていきなり向けられた言葉がそれだった。
「どうしたのよ、そんなびっくりした顔をして」
「こ、ここで脱ぐのか」
つい数刻ほどまえ、リィウスは己の居室となる室を案内された。客を取るにせよ、手ほどきを受けるにせよ、てっきりその室で行われるのだと思い込んでいたのだが、タルペイアは風の吹きこむ広間で、それも背後にリキィンナやアスクラを従えさせて言う。さらにアスクラの背後には二人の奴隷の男たちが控えているのだ。リィウスはぞっとした。
「そうよ、なにをもたもたしているの? 早くそのトーガを脱ぎなさい」
タルペイアは、主人の顔で冷酷に告げる。それでもリィウスがもたもたしていると、
「約束したでしょう? 男娼となるべく調教を受けると」
内心、歯軋りしたいのをこらえて、リィウスは不本意ながら、哀願するような口調でつたえた。
「た、頼む。他の者を出してもらえないか?」
主のタルペイアはまだしも、他の人間のまえで見世物のように裸に剝かれるのは、誇り高いリィウスにとって耐えられない。
タルペイアの黒い目が、北の土地に生じるという氷柱のようにきらめく。
「馬鹿ね、今更何を言っているの? おまえはにはそんなことを言う権利はないのよ。脱げと言われたら、どこでも、いつでも、すぐ脱がないといけないのよ」
「……」
タルペイアの言うことは正しい。この時代、人身売買は当たり前のごとく、昼日中、都の大通りや広場で平然と行われていおり、異国から売買されてきた者、戦争捕虜、前の主人から売られた者たちが、人前で全裸に剝かれて値をつけられ、売り買いされている。リィウスも、街でそんな光景を幾度となく目にしたことがあったが、それはローマでは日常のことであり、そのときは特になんとも思わなかった。それが、まさか自分がそんな目に遭うとは、夢にも思っていなかった。
10
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる