燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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「ほら、大きくなってきているじゃないのよ? 感じているじゃない」
 リィウスは絶望に泣いた。
 その通りだ。
 これほど信じられないいたぶりを受けているというのに、身体は熱く燃えて、女の侮辱に応えているのだ。
「ううううう!」
 自分はすでに墜ちてしまったのだとリィウスは実感して、吐き気をおぼえた。
「さ、今度は道具を入れてあげるから、うんと楽しむのよ。こうやって幾度も幾度も身体を開いて、感じて、燃えて……。リィウス、おまえという花を満開にしてやるわ。男たちは皆おまえに夢中になるでしょうよ。おまえのためなら、身を滅ぼしてもいいという男が幾人も出るようになるわよ」
 タルペイアの声には、どこか恍惚こうこつとした響きがある。まるで不吉な詩をつぶやくようにそんな言葉を吐き、舌なめずりして、リィウスの白い臀部にほそい指を這わせる。
「はぁ……」
「力を抜いて」
 優しいような声でタルペイアが指示する。この状況で抗うことはできず、リィウスは泣きながらも、言われたことをすべく努力する。
「そうそう、いい子ね。もっと広げるようにしてみて。ああ、綺麗な色ね。無垢な蕾のようよ」
「ああ……」
 リィウスの高貴な白い真珠色の肌が、緋色に染まる。
 傍目はためには、タルペイアが貪婪どんらんで卑猥な男で、リィウスが可憐な処女のように見える。それはひどく倒錯的で、一見醜悪でもあるが、美しい絵のようでもあった。
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