燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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 ローマの男がしてはならないことをディオメデスはリィウスにした。
 そっと、股間の若苗を口に含む。
「ああああ! だ、駄目だ! そ、そんなこと!」
 初めてではないというのに、やはり最初のときのようにリィウスは羞恥と衝撃に身体をふるわせる。
 昨夜あれほど熾烈に強制的に全身で弾けたというのに、若い肉体は男の手管にまた燃え立たされてしまう。
「ふぅっ……!」
 舌で丹念にいつくしみ、リィウスの心も魂も吸いあげんばかりに先端に愛撫をほどこす。
 若苗は、主のこころに背いて、ディオメデスに従順だった。
「ううっ……、うううっ……! あっ、ああっ、ああっ! いや! いやだぁ……!」
 幼児のように首を振り、手足を揺らし、最後はどうにもならなくなったようで、憎いはずのディオメデスに抱きついてくる、そのあどけないほどに純情な反応にディオメデスはもはや自分を止められない。
 いや、最初から、リィウスを前にするとディオメデスは常におのれを完全にうしなっていたのだ。そのことも彼は認めることはできかった。
「じっとしていろよ」
 そう言ってから、こういうときの道具を準備していなかったことに今になって気づいた。ディオメデスは舌打ちしそうになった。
 すでに身体は慣れているのだから大丈夫か、と思ったが、やはり念のために訊いてみた。
「濡らすものは、あるか?」
 汗をふくんで艶やかに輝くリィウスの髪を撫でながら問うと、リィウスは目をつむったまま、震える指で、室の隅のちいさな壁龕へきがんを差す。
「くそっ!」
 妙に忌々しい想いで、いったん相手の熱い身体をはなれ、そこに用意されていた小瓶を取った。ふたたび熱い身体にもどってきたときは、子どもをなだめるように、待たせたことの詫びを込めて額に接吻を落とした。
「うう……ん」
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