紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

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落花検分 八

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 苦しげに、切なげに、ウラジミールが喘ぐ。
 はしばみ色のほつれ毛が額や首すじにうっすらかいでいる汗によってはりついているのが、妙に生々しく煽情的だ。
 最初はよく見えなかったが、彼はちょうど石の柱の前に立たされていた。
 見る者の疑問を見計らったように画面方向が変わり、ウラジミールの横向きの姿が映し出された。
 時間がたつにつれ画像が微細になり、ウラジミールの声もなまめかしさを増していく。
 この時代、音声が出る動画というのはまだ稀少である。総統を撮影した宣伝映画をアレクサンダーは何度か見たが、あれは現代ではかなり高度な技術を誇る母国であるからこそ見れるものである。よもやこんな僻地で見るとは思わなかった。しかも、あろうことか、こんな異常な趣味の悪いポルノグラフィーを見るとは。
「うう……ん、あっ、ああっ!」 
 ウラジミールは柱に自ら腰を押し付けているように見える。じきに、見えるのではなく、事実、彼が臀部を柱に押し付けていることがわかった。石の柱を相手に悶えているのだ。
(まさか……)
 ウラジミールがもどかしげに腰をゆするところが大きく映し出されるにつれ、どうやら柱に小さな棒状のものがとりつけてあることが、アレクサンダーには見て取れた。それは白っぽい色で、どうやら象牙のようだ。象牙製の性具である。
 つまり、ウラジミールは石の柱に取り付けてある張形によって犯されているのだ。いや、今や彼みずから快を得ようとしている。
 そのことに気付いた瞬間、アレクサンダーは小刀で胸を突かれたような痛みと衝撃を覚えた。
 自尊心のかたまりのようだった驕慢な少年の、淫らきわまりないこの姿は、まさしくアレクサンダー自身を投影しているものに思えたのだ。
 暴力によって抵抗を封じこめられ、強制的に快楽をあたえられ、自我を喪失しつつある誇りたかいこの少年は、今のアレクサンダーである。
「……げ、下種なやり方だな!」
 せいいっぱい気強く言い放ったが、言葉はどうしても震えてしまう。
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