紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

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落花検分 七

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 アレクサンダーの必死の訴えにマヌエルがうなずく。 
「よろしい。参考に、こちらも見せてあげましょう。あなたにとっても勉強になるかもしれない」
 小さな機械音が聞こえたかと思うと、画面がまた白くなり、闇の底のような部屋に別の白い闇が浮かぶ。 
 うっ……! ううっ!
 アレクサンダーはわずかに恐怖を感じた。戦争で悲惨な光景は幾たびも見聞きしてきた彼だが、そこにはまったく知り得ぬおぞましい光景があったのだ。
 幕の上で、若い、まだ幼さを残したような男が、呻いていた。
 石壁が彼の背に見える。まるで牢獄のような所で撮られたようで、全体に暗い。
 目を凝らして見て数秒、その呻いている男がウラジミールだとわかったアレクサンダーは驚愕した。
 ウラジミール=ガイと名乗っていた、いかにも名家の子弟らしく気位のたかそうな少年である。
「あっ……、ああっ!」
 痛ましいことに彼は全裸だった。
 彼のまだ成熟しきっていない身体が、ぼんやりと画面に現れ、白い胸やほんのり赤い乳首、股間の柔毛や、やはりまだ大人になりきっていない肉体の秘部のすべてがおぼろげながら映しだされ、アレクサンダーの方が羞恥に顔を伏せてしまう。
「しっかりと見なさい」
 無礼にもマヌエルはアレクサンダーの顎に手を伸ばし、顔をあげさせる。
 普段なら逆上したろうが、今は目の前に展開する白い闇の世界に圧倒されてそれどころではなかった。
 ウラジミールは立ち姿で拘束されているようで、両手を天井から吊りあげられるようにして、苦悶に喘いでいた。
 だが、時間がたつにつれ、彼の唇からもれる呻きが、かならずしも苦痛だけのものでないことをアレクサンダーは感じた。

 ううっ……、う……、くぅ……。

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