紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

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散らされて 四

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「うっ……」
 身体が熱を持ちはじめ、無にした頭のなかに、ちらちらと赤い小さな火のようなものが生じる。
 傍目はために見るとアレクサンダーの身体は細身でしなやかではあっても、男そのもので、違和感はないが、股間の若茎にかくされたところに、もうひとつ官能の源泉があることは、すでに見る者たちの知るところだった。
 ハサピスなど好奇心いっぱいでアレクサンダーの中心に目をはりつけている。
「やっぱり自分でするときは、男の方でするもんなんですかね?」
 普段ならハサピスのような階層の男とはまともに口もきかないピロテスだが、このときは彼の素朴な疑問に我知らず答えていた。
「女の方はまだ開発されておらぬのじゃろう。これから時間をかけて開発してやれば、どちらでも感じて、したがる身体になるじゃろうて」 
「楽しみですね」
 ひひひひ……。ハサピスの卑しい笑い声にピロテスは共感している。
「ほれ、どうした、また動きが遅くなっておるではないか? もっと強くこするがよい」
 ピロテスの声に抑えていた羞恥と屈辱がよみがえったのか、アレクサンダーの頬の赤味が強くなる。
 悔しげに眉を寄せ、かすかに天を仰ぐような仕草は絶品だ。そらした身体に赤く熟れたような乳首が映え、色気が倍増する。その色気もけっして熟成した大人のものでなく、まだ初心で清純なものをふくんだ、男にとっては堪らなくそそられるたぐいの色気である。
「うう……」
「ほう。けっこう大きくなったではないか。どうじゃ? 一人で遂けそうか? 手伝いはいらぬようじゃな」
 ピロテスの悪趣味ないたぶり方に、アレクサンダーは歯をくいしばった。
「くぅ……」
 アレクサンダーの頬に、したたるものがある。きらきらと光り、見る者の胸をわしづかみにする。
 ハサピスが唾液を飲む音がする。
 だが、今彼に魅了された者は、同情ではなく、加虐の欲望にたかぶるようだ。 
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