紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

文字の大きさ
114 / 298

悪党たちの城 六

しおりを挟む
 だが今、シャルロットはアレシアの言葉を真に受けて恐怖に打ちのめされているのだ。自分の言葉で彼女が怯えぬき、今、彼女の信じてきた世界の価値観が崩れていく様子を見てアレシアは痛快でならない。ピロテスもだ。
「さぁ、わかったらお嬢さん、素直になってあたしの言うことを聞くんだよ。どうしても嫌っていうのなら、本当にそうするよ」
「……お願いです」
 それでもシャルロットは泣きじゃくって首を振る。
「ゆるしてください……。家に帰して……」
 うずくまり、どうにかして逃れようともがく哀れな生贄を見て、調教師たちは業を煮やした。
 柔弱そうな様子に見えて、そこには、どうあっても世界は自分の思いどおりになるはずで、世界が自分を見捨てるわけがないという、お嬢様育ちの娘の傲慢さを感じとったのかもしれない。
 ピロテスは大袈裟に首を振った。
「これはもうしょうがない。そうじゃな、さすがにいきなり最初からは辛いじゃろうから、ここは軽い仕置きからはじめるかぇ。アレシア、縄をよこせ。この娘の着ているものを剥ぎとるがよい」
「はっ」
 アレシアは慇懃に頷く。
 シャルロットの甲高い悲鳴が響いた。
「やめて! やめて! いやよ! いや!」
 もはや躊躇なくアレシアはシャルロットの衣を奪う。男なので力は圧倒的に差があり、シャルロットの華奢な身体はおさえつけられ、白い肌が晒される。
 一瞬、あたりに光が弾けた錯覚がし、ピロテスとアレシアは息を飲んだ。
 真白な肌は染みひとつなく、露に濡れた真珠のように、芸術的な美しさを見せつけてくる。ただ単に白く美しいというだけではなく、清らかなのだ。まだ損なわれてはいない純潔さが、肌の美しさをいっそう際立たせる。光沢のあるその肌からは光があふれてきそうだ。
 だがピロテスを驚かせたのは、それだけではない。
 震える白い肉体から、ピロテスはほのかな香を感じた。
(おや、この娘……)
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

少年達は吊るされた姿で甘く残酷に躾けられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

雄牛は淫らなミルクの放出をおねだりする

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...