手負いですが恋愛してみせます ~ 痛がり2 ~

白い靴下の猫

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47 あま、あまま

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ロジュは今日も、スーツなるものを着ている。
妻がメイと会うことを熱烈に希望したと伝えただけで、畑里あかりはライセンス料をがばっと値引いた。

キュニもタキュも、ゼルダの夜会でズタボロだったが、実質がどんなにズタボロだろうと、見栄を張り続ける必要があった。今この時が、自分たちが望んだ道のど真ん中で、財政基盤も、信念も揺らいではいないと。

あかりに揶揄されるまでもなく、ロジュにはよくわかっていた。
今自分たちの組織や経済基盤が瓦解することは、ゼルダの夜会が自浄作用ではなく、シューバの敵がホゴラシュから排除されただけだと認める事だ。
これから排除される、のではく、排除された過去になる。
今潰れるやつに挽回の機械などない。既にいなかったことになるのだから。

そんなわけで。彼女の不在を電話で知りながらクリスタ本社に出向いたのは、徹底的に立場が弱いと自覚しているロジュが、あかりの気が変わらぬうちにさっさと契約書を獲得したかったから。

だが、対応に出てきたのが神崎さとる。上層部すぎないか。
クリスタの名目上の代表は姉になっているが、実質的にはこいつが代表だろう。
サーファ・カウルの長男。外貨に直結する能力だけでなく、戦闘能力も壮絶なことはホゴラシュ中に知れわたっている。

神崎さとるがロジュを見る目は、敵対的以上の憎悪よりで、隠そうともしない。
ロジュが、スーツの下で反射的にスパークする筋肉を押さえるのに苦労する程だ。

うわ。敵陣なのは覚悟していたが、予想以上だな、とロジュはため息をつく。
普通の戦場では読みの甘さを反省する事なんてほとんどなかったのにと、バラ色回顧が止まらない。

タキュから3人、キュニから3人。
同胞が、ゼルダの夜会でシューバに差し出した生贄は、はからずもキュニとタキュと同数だった。レノは真っ先に血祭りに上がり、ロジュはレノを守らなかった。いや、むしろ積極的に惨劇にどつき入れた。誰の目にも、このロジュが、進んでレノを捨てたのだと明らかなように。

血のつながった部族だったり、雇ってもらえる武装組織だったり、目的が同じだと抜かす自称政府だったり。敵を作る理由にしかならないと言えばそれまでだが、ホゴラシュの人間はどのグループに入っているかで自分の考えを決めていた。あの夜会までは。

今のホゴラシュには、帰属主体がわからなくなった奴が大量に居る。

自分達が殺したリーダー、自分達が守らなかった幹部。
世界中のニュースで繰り返される自分たちで所属組織を壊す映像。
まぁ、帰属迷子もやむ無しという状況。

ただ、怪我の功名とでもいうのだろうか。公的な関係では、帰属組織がらみで敵視されることは激減した。

というわけで、神崎さとるにこれだけ派手に敵対視線で見られるということは、私的な恨みで確定だ。

神崎優とカウルを殺したのは、サーファ・デジュが率いるタキュの組織だったから、親の仇ではないよな。
そうすると、噂通り畑里あかりの男でもあるのだろうか。
シューバ殿と女を取り合うとか正気か。

あかり本人がアレなので毎度混乱するが、畑里あかりの男なら、俺を殺しても飽き足らないと思うのは理解できる。

レノのやり口は毎度陰惨だったし、加害者側だったロジュから見ても、あかりがどうやって生き延びたのだか首をひねらざるを得ない。20近い部族の代表全員に強姦させようという趣向もアウトだろうが、投与した薬は致死性だった。ひと月もあれば心が壊れて恐怖に叫び狂いながら死ぬのがデフォルトで、解毒も治療も一切考えられてはいない仕様の。

やれやれ、生きて出られるかな。

証拠はないが、ケモルの盆の窪を掻き切ったのはこいつだと、さとるの目を見て腑に落ちた。

ロジュにとっては、戦場で血まみれになりながら殿の指揮をとるのも、スーツで敵陣に出向いてやらかした同胞の尻ぬぐいをするのも似たようなものだが、今までの人生を振り返ると、契約書を取りに来て殺されるのは、なかなかシュールだ。

そう思った時に、扉が開いて女が入って来た。紹介を受けるまでもなく、これが、メイだとわかる。きれいな筋肉のつき方と無駄のない動き。間違いなく良い戦士だ。

「さとるさん。同席するようにあかりさんから申し付けられました」
さとるが忌々し気に舌打ちをし、逆に目からは一気にケンが抜けた。
それを確認してから、メイはロジュを向いて、かるく頭を下げる。

「メイです。この度は、キトさんとの交流を許可してくださりありがとうございます」

メイの影響力を推察するに、なるべく丁重に応対すべきで。
ロジュも頭を下げながら、慣れないなりに最善を尽くしてみる。

「こちらこそ。妻は大変喜んでおりました。またこちらの粗相にも拘わらず契約条件にご配慮頂き恐縮です」

ロジュの余所行きな受け答えに、さとるが啞然としている。
なんだそのあたりさわりのない無害な会社人モードは、という突っ込みが聞こえてきそう。

まぁ、ロジュとて、自分がつい先日まで、血と弾薬と蒙昧と暴力と、そんなものど真ん中にいた自覚はある。

「キトさんへの注目度が高いので、弊社の利益も大きいと考えますし、お気になさらないでください」

どっちもどっちか。
キトに聞く限り、メイという女は相当壮絶な生き方をしている。
そのメイも、いかにも会社人というしゃべり方をするようになっているのだし。

「す、みません。妻がどうお役に立つのか俺には理解できておらず・・」

キトがどう役に立つかわからないから、返しがわからず馬脚。
まぁ、付け焼刃だ。
会社人モードがすぐにぐらつくのは自分でもわかっていた。

「あ、私個人はお会いできるだけで大満足なのでっ」
そしてメイは、どこまで計算かわからないが、ぐらつき返してくれる。
追加で綿菓子のような笑顔も繰り出された。

おい、まじか、美人だな、お前!

ロジュが目を奪われたのが、さとるに伝わったのだと思う。
面白くないぞという顔で、さとるがメイとアイコンタクト。

『そいつは敵だぞ』

『さとるさん。あかりさんが、敵ではないとおっしゃる以上味方サイドです。そのつもりでおねがいします』

『お前はよく平気だな』

いや、第三者にダダもれなテレパシーとか無意味なんで、いっそ声に出してもらえませんかね。そう思ったところで、メイが声を出した。

「キトちゃんの、私の初めての友人が信頼している方なので、お力になれればと思います」

帰属迷子になり、せめて男女の別に縋りたい奴らは、クリスタも『きゅーぶ』も敵視している。その理由は、武力ともビジネスとも無関係で、あえて言うなら文化領域。ここに、妻がかかわるのは、正直安全ではない。
が、まぁ、俺の周りは比較的落ち着いているし、表向きはキュニの資金維持という大義名分があるし、賢い女なので何とかなるだろうと思っている。
「ありがとうございます。助かります。その、自分の妻くらい自分で守れと思われるかもしれませんが、キトは、その、良く動くので・・」

綿菓子の笑顔、再び。しかも全開。すげぇ。

ホゴラシュの女で、家族や夫に、こんな笑顔を向けるやつがいるのだろうかと考える。
キトも、ほんとうは、こんな笑い方ができるのだろうか、とも。

「ロジュ殿は凄いですね。キトちゃん、いえ、奥様がベタ惚れなのもよくわかります」

今の答えの何が気に入ったのかわからないが、メイの話し方がどんどん柔らかくなっていく。

・・・・神崎さとるの機嫌が悪くなるほどにな!

そういえば、こいつらも夫婦だった。
忘れていたわけではないのだが、さとるについては畑里あかりの男説の方にインパクトがあり過ぎて気が回らなかった。

「あー、いえ、すみません、そのベタ惚れ説は、デマ、というか、いえ、仲が悪い訳ではもちろんありませんが、あかり殿のイメージとは異なるかと」

しどろもどろ。
どうせさとるににらまれているなら、メイに聞いてみようか。
ベタ惚れ説が本当になれば、キトもあんたみたいに笑えるのかと。

「ふふ、そうですか?あのっ、契約書さっさとかわしてしまって、キトちゃんにお土産を買いに行って、ついでに少し私とキトちゃんのお話をしませんか?」

「は、い。よろこんで・・・」
「ここでやれ」

・・・へ?
さとるが俺の言葉にかぶせてきて驚く。
既にクリスタ側の署名が埋まっている契約書をあっさりロジュに渡し、そのまま奴はインターホンに向かった。

「悪いが甘味に詳しいやつ、手伝ってくれ。この部屋に飲み物3つ。あと、ロジュ殿の奥方に手土産包んでもってきてくれ。よくわからんが、可愛くて甘くて有名な店のやつを頼む」

うげ、こいつの目が届く部屋から出るなと?
どの話題も死に直結しそうな気がしてきた。

メイがあきれた顔をしながらさとるの方を向き、
「途中で怒ってはダメですよ?」
と、くぎを刺してくれる。

いい娘だなぁ。また笑ってくれないかなぁ。

「ロジュさまも、お気遣いなく。えーっと、ベタ惚れっぽくないっておっしゃいました?キトちゃん照れ屋さんですもんね」

照れ屋さん、なのか。
せっかく安全そうな話題を振ってくれてるのに、それも知らないレベルだとは言いにくい。

「照れというより、俺に話をしても、つまらないんだと思うんですよね」
なるべく当たり障りなく、でも、うそでもなく、話に応じてみると、
「なぜそう思われたのです?」
と、会話が続いたことを喜ぶように続けてくれる。

「昨日は、あかり殿の話を伝えたところ、彼女の武勇伝の話題になりまして。妻はあかり殿のファンですが、その、どう相槌を打ってよいやらわからなくて、だんまりに」

「あまりホゴラシュ的ではない女性像ですものね」

「そうなんです。でも、格好良いな、とか相槌を打つと、妻は私が真似して欲しがっていると思うかもしれないですし・・・真似はちょっと・・その・・」

勘弁してほしい、とは言わないほうがいいよな。
そう自重した瞬間、

がちゃ

と扉が開く。
そこには盆にカップを四つ(!)とピンクのりぼんがかかった小箱をのせて来た人間が。

しゅ、シューバ、殿!?

「シューバ?ここでなにしてんだ?」

うん、うん、うん、うん、なにしてんだ?

「お前が、手伝えと言ったのだろうが。有名店の甘い菓子?私以上に詳しい人間がいるとしたら、首長ぐらいだぞ」

首長・・って、無色透明の傀儡じいさんのことか。甘味好きなの?
いや、そんなことはどうでも良い。
問題は俺の生存確率がさらに下がったことだと思う。

「いや、だからって、ゼルダの社長に茶だせとか言ってねーし!」
まったくだ、シューバ殿、殺るならさとるを先にやってくれ。

そこで、ぷう、と少しだけ頬を膨らませたメイが割って入る。
「お二人とも、せっかくの恋バナの機会を奪わないでもらえますか?」

「「こい、ばな?」」

あ、メイ、すげぇ。一瞬で、2人とも凍らせた。
で、こいばなって何?

「そうです、恋の話の恋バナ!あかりさんが、こちらのご夫婦に、先進国のカップルをも赤面させるラブ度をぶち上げていただいて、ホゴラシュの新規範を示すと」

・・・・
聞いてませんが?!

「む、む、む、む、無理・・・」

「無理ではすみません、ロジュさま。今やホゴラシュ籍の女性ってだけで、難民申請とおっちゃうんですよ?あきらめたら、民族潰えますよ?!」

難民の件は、かなりな比率で畑里あかりのせいだがな!

「ほ、ほごらしゅの、一般的な夫婦をご覧になったことは・・」
「おまかせください!私、生まれも育ちもホゴラシュで、一夫多妻のわりと救いのない感じの家出身です!」

典型的じゃねーか!何を任せるんだよ!

「そ、その救いのない感じに比べると、いくぶんマシというだけで、キトと私は政略結婚ですし・・」

「大丈夫、行けます!キトちゃん、根は情熱家なんです。とりあえず、ロジュさまはここで、甘々の台詞、十は仕入れて帰りましょう?」

「あま、あまま??」
だめだ、頭がショートして、口から泡を吹きそうだ。
しっかりしろ、そうだ奇襲だと思え。
食料を調達に行って、美女に目がくらんでいるうちに敵に包囲されたんだ。で、その美女が恋バナを・・・ねーわ!
救いを求めて、あろうことか、シューバ殿を見てしまう。うわ、笑ってる。
同じホゴラシュ人として、武士の情けとか無いんですかね?!
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