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53 横G
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風が吹いて、足元が揺れると、重力が、きもちいい。
数か月前に、飛行機でホゴラシュについた時みたいに、あかりはもろ手を挙げて伸びをする。
ああ、いい気分だ。
吹きあがる風で、あしもとの重力が消えた気がして、目を閉じる。
と。
ぐいっ
思い切り二の腕を引っ張られて、横Gがかかった。
それから、やわらかいのに乱暴な衝撃がきて、自分が横向きに転がったのがわかる。
あれ?
ころんだ?
「あかり、あかり、あかりっ」
なぜだか、自分の名前を連呼しているシューバの声がする。
どっきりファンサービスか?
いや、夢かな?
そういえば、私の頭の下敷きになっているシューバの腕が、記憶よりもずいぶんと硬い。
かるく頭を持ち上げて、ごつんごつんと落としてみる。
おう、はね返るよ?筋肉じゃない?
「うわぁ、おめでとう。もうすぐ標準体重ね」
思ったことが、そのまま声に出て。
失礼かな、とおもったときには、なぜだかそのまま抱きしめられていた。
ああ、気持ちいな。
やっぱり、重力刺激よりも圧迫刺激かしらね。
もちろん、推し限定だけど。
すごくゆっくりとだきおこされると、目の前が絶景で、自分が転がっている場所を思い出した。あ、まずい。ここ、尾根なんだよね、ちょっと谷底が見えない感じの。
「シューバ、さま?ん・・」
よびかけると、短いキスが、おりてくる。
「えーと、ここはちょっと場所的に危ないので、少しだけ移動されませ・・んぅ」
もう一回同じキス。
ひょっとして、敬称とか敬語、使おうとすると口ふさがれる?
何を言っていいかわからなくなって、シューバの顔を至近からガン見してしまう。
なんとなく、夢じゃない気がする?
べつに夢だと産毛までは再現されないとかいう気はないけど、それでもやっぱり、本物な、気がする?
それに、何、この表情。
あまりにも、私を忘れる前と、変わって無くない?
抱き上げられて、尾根から離れていく。
あ、さとる発見。片手に携帯、もういっぽうの手には・・・あんたドローンなんて持ってなにやってんの?
「雁さん、戻って大丈夫です。シューバが畑里持ち帰ってきました」
さとるが携帯に向かってしゃべる。
雁さんも、きてるの?
そのまま、何の説明もなく、雁さんが運転する車にのせられた。
助手席にさとる。
後部座席に私を抱っこしたシューバ。
のはずだったんだけど、しばらくたつと、いつのまにか体勢が変わっていて。シューバの腕の中にいた私が、なぜだか逆にシューバを抱かされていて。
シューバはなぜだか、甘えるように私の腕の中ですりすりしていて。
え、これって・・・。
デジャヴ。
無理、ファンサービスとかでのこれは、絶対無理。
だって、すりすり甘えて、涙目とかみせたら、ご乱心扱いで株価下がるよ、ってほど、対外的には完璧王様のイメージ打ち出してたじゃない?海外ファンがつくくらいにさ。
「しゅ、シューバ?」
「ん」
「私のこと、おぼえてる?」
「ん」
ん。じゃないでしょ!
「さ・・・さとる」
「おう」
「雁さん?」
「なんだ?」
「・・・私、今、ふつう?」
「「んなわけねーだろ」」
間髪入れずに雁さんとさとるのダブルコーラスが帰ってきて、さとるとバックミラー越しに目が合った。
「そ、そうよね、夢、かな。じゃなきゃ、このシューバはミギかペギが化けてるとか・・。だ、だいじょうぶ、化け犬になってもあんたたちは可愛いわよ」
そういって、腕の中のみかけシューバ、暫定ミギの髪を後ろに流す。
ミギもペギもこうやって撫でられるのがすきなのだ。
案の定、気持ちよさそうに目を閉じて、私の手に頭も顔もおしつけてくる。
うん、そうだよね。
あんたたちは、怖くなくて、いいわぁ。
何度も撫でて、額にキス。
顔がにやける。かわいい。いいこ。らぶりぃ。
も、おかしなアレロケミカルも引っ込むかわいらしさ。
「あぁ、天国~」
こころの声が外に漏れると、手の中のシューバがつぶらな瞳で私を見上げて、撫で返してくる。
そして、
「てんごく?」
と繰り返す。
だが、究極にほっこりな所に、助手席から体を後ろに捻ったさとるが、くちばしを突っ込んでくる。
「ばかやろ、何が天国だ。2時間も自殺名所ふらつきやがって。まじにあの世行く気か」
「失礼ね。この私が、そんなポカするとでも?」
まぁ、さっきちょっと、足元から重力消えたけどさ。3秒ルールよ。愛嬌よ。
「ポカならいーよ、ポカならな!」
「やーな言い方ねー」
そういいながら、外側シューバのほっぺたをムニムニして楽しむ。
「やぁらかいなぁ。いいもの食べさせてもらってるのねー。シューバのいまの女性はあたりかな」
「??」
「ん。ミギとペギに意地悪する女が来たら、遠慮なく追い出しちゃいなさい。でも、やさしい人が来たら、いい子にするのよ。シューバを助けてくれる奥さんだからね、噛んだらダメよ」
いってるはしから
カプリと手の甲に外見シューバの口が吸いついて来て、がじがじする。
「こら、あまがみも我慢!」
「できない」
ぞわ。
・・・うそ、こわい?
「だれが、いまのおんなで、だれが、奥さん?」
目が、ちがう。
夢じゃない。ミギでもない。シューバ。
私がおそれた、現実。
反射的に汗が浮きやすい首もとを押さえて、固まる。
怖がっては、だめだ。
シューバなんだから、ほんとうに怖い訳はなくて、怖いのは、人工核酸に浸食された私のせい。
わかっているのに、ざわざわざが、止まらない。
うそでしょ、こんな密閉空間で、シューバにくっついて、寄生生物化するの?!
パニックになりかけたところに、私ではない声が、私が感じたのと似た中身を、適切な表現で、怒鳴る。
「てっめ、そのどす黒いオーラ抑えろっつてんだろ!こえーんだよ!」
え?
さとる、の、声だ。
私が知るなかで、もっとも丈夫で、認知が歪んでなくて、表現が適切な、さとるが。
こわかった、の?
続いて、雁さんのつぶやき。
「本気で、車内の温度が下がったな」
えええ?
私が知る中で、もっとも強くて、現実的で、周りに流されない、雁さんが。
ぞわっと、したの?
頭に何日もかかっていた靄が、どすんと、一気に落ちた。
光化学スモッグがゲリラ豪雨で落ちた後のように、急に、視界がクリアになる。
目が合ったさとるが、驚いた顔をしている。
「はた、さと?」
「さとる、ねぇ、あんた、今、怖いっつった?」
「ゆったよ!それより、おまえ、大丈夫か?なんか・・・しっかりしてるぞ」
しっかり?
結構じゃないの。
ざわざわが、とまっている。
シューバを見ると、目を見開いて、私をじっと見ていて。
「さとる、いまも、こわい?」
「あ?おまえの様子がおかしいから、おどろいて引っ込んだよ。つーか、俺まで色々引っ込んだ気がするぞ。なぁ、どうした?」
引っ込んだ?
ようするに、こわくない、と?
私が今感じているのと、同じように?
そういえば、髪を撫でている間、ミギかと思うほど、怖くなかった。
ひょっとして、この子、単に、怒ると怖いタイプ、とか?
それだと、人工核酸、関係なくないか。
「ねぇ、シューバ、継続的に怒ってたこと、ある?」
「・・・・」
シューバから答えは返ってこなくて。
かわりに雁さんが口を開く。
「おい、姪っ子。意味が解らないぞ」
ああ、もどかしい。
ちょっと、怒ってみせて。
とりあえず、シューバの手にガブリとかみつく。
「あかり?」
噛まれた手を動かしもせず、シューバが顔ごと視線を合わせてくる。
だめだ、怒ってない。
そういえば、この子、しょっちゅう拗ね倒すわりに、怒らないっけ。
でも、レノの砦から帰ってきた後、毎日ぞわぞわして、だから、私は、ついに自分が壊れたのだと思って。
毎日、怒っていた可能性なんて、ある?
頭をかすめた、可能性。
恥も外聞もない。
「さとる、ちょっと、顔貸して」
「あ?」
体をひねって後ろを向いたさとるの胸倉をつかんで、引き寄せる。
「ぐえ、なにす・・」
さとるが、態勢をたてなおすまえに、抗議しかけた口に、自分の唇を重ねた。
ごめん、あとで、メイになんかおごる。
ざわっ
髪の毛が逆立つ感じがすると同時に、まさしく首根っこをつかまえられて、さとると引きはがされる。
目の前が、シューバの背中になって、さとるの顔が隠れた。
「おま・・・だぁ、シューバ、俺に怒るんじゃねーよ!不可抗力だろうが!」
うわ。
こわい、こわい!
すごい!
ギュギューーッ
ブレーキ音がして、雁さんの声。
「いいかげんにしてくれ、事故るだろーが!」
そうだよね、やっぱりぞわっと、するよね?!
再現性あり!間違いなし!
怖いのは、私の欠陥じゃなかった。
私は、壊れていない。
エメラルドゴキブリバチでもなければ、ハリガネムシでもない。
喜びが突きあがるままに顔をあげると、シューバが怖い顔をしていて、本当に久しぶりの、噛みつくようなキスをされた。
ものすごい勢いで、舌が吸われて、砕かれる。
一生懸命応じているうちに、息が苦しくなって、それでも必死でシューバに縋りついた。
噛みつくようだったキスが、優しくなっていく。
こわく、なくなっていく。
うれしくて。涙が出て。
あまりにほっとして。意識を手放した。
数か月前に、飛行機でホゴラシュについた時みたいに、あかりはもろ手を挙げて伸びをする。
ああ、いい気分だ。
吹きあがる風で、あしもとの重力が消えた気がして、目を閉じる。
と。
ぐいっ
思い切り二の腕を引っ張られて、横Gがかかった。
それから、やわらかいのに乱暴な衝撃がきて、自分が横向きに転がったのがわかる。
あれ?
ころんだ?
「あかり、あかり、あかりっ」
なぜだか、自分の名前を連呼しているシューバの声がする。
どっきりファンサービスか?
いや、夢かな?
そういえば、私の頭の下敷きになっているシューバの腕が、記憶よりもずいぶんと硬い。
かるく頭を持ち上げて、ごつんごつんと落としてみる。
おう、はね返るよ?筋肉じゃない?
「うわぁ、おめでとう。もうすぐ標準体重ね」
思ったことが、そのまま声に出て。
失礼かな、とおもったときには、なぜだかそのまま抱きしめられていた。
ああ、気持ちいな。
やっぱり、重力刺激よりも圧迫刺激かしらね。
もちろん、推し限定だけど。
すごくゆっくりとだきおこされると、目の前が絶景で、自分が転がっている場所を思い出した。あ、まずい。ここ、尾根なんだよね、ちょっと谷底が見えない感じの。
「シューバ、さま?ん・・」
よびかけると、短いキスが、おりてくる。
「えーと、ここはちょっと場所的に危ないので、少しだけ移動されませ・・んぅ」
もう一回同じキス。
ひょっとして、敬称とか敬語、使おうとすると口ふさがれる?
何を言っていいかわからなくなって、シューバの顔を至近からガン見してしまう。
なんとなく、夢じゃない気がする?
べつに夢だと産毛までは再現されないとかいう気はないけど、それでもやっぱり、本物な、気がする?
それに、何、この表情。
あまりにも、私を忘れる前と、変わって無くない?
抱き上げられて、尾根から離れていく。
あ、さとる発見。片手に携帯、もういっぽうの手には・・・あんたドローンなんて持ってなにやってんの?
「雁さん、戻って大丈夫です。シューバが畑里持ち帰ってきました」
さとるが携帯に向かってしゃべる。
雁さんも、きてるの?
そのまま、何の説明もなく、雁さんが運転する車にのせられた。
助手席にさとる。
後部座席に私を抱っこしたシューバ。
のはずだったんだけど、しばらくたつと、いつのまにか体勢が変わっていて。シューバの腕の中にいた私が、なぜだか逆にシューバを抱かされていて。
シューバはなぜだか、甘えるように私の腕の中ですりすりしていて。
え、これって・・・。
デジャヴ。
無理、ファンサービスとかでのこれは、絶対無理。
だって、すりすり甘えて、涙目とかみせたら、ご乱心扱いで株価下がるよ、ってほど、対外的には完璧王様のイメージ打ち出してたじゃない?海外ファンがつくくらいにさ。
「しゅ、シューバ?」
「ん」
「私のこと、おぼえてる?」
「ん」
ん。じゃないでしょ!
「さ・・・さとる」
「おう」
「雁さん?」
「なんだ?」
「・・・私、今、ふつう?」
「「んなわけねーだろ」」
間髪入れずに雁さんとさとるのダブルコーラスが帰ってきて、さとるとバックミラー越しに目が合った。
「そ、そうよね、夢、かな。じゃなきゃ、このシューバはミギかペギが化けてるとか・・。だ、だいじょうぶ、化け犬になってもあんたたちは可愛いわよ」
そういって、腕の中のみかけシューバ、暫定ミギの髪を後ろに流す。
ミギもペギもこうやって撫でられるのがすきなのだ。
案の定、気持ちよさそうに目を閉じて、私の手に頭も顔もおしつけてくる。
うん、そうだよね。
あんたたちは、怖くなくて、いいわぁ。
何度も撫でて、額にキス。
顔がにやける。かわいい。いいこ。らぶりぃ。
も、おかしなアレロケミカルも引っ込むかわいらしさ。
「あぁ、天国~」
こころの声が外に漏れると、手の中のシューバがつぶらな瞳で私を見上げて、撫で返してくる。
そして、
「てんごく?」
と繰り返す。
だが、究極にほっこりな所に、助手席から体を後ろに捻ったさとるが、くちばしを突っ込んでくる。
「ばかやろ、何が天国だ。2時間も自殺名所ふらつきやがって。まじにあの世行く気か」
「失礼ね。この私が、そんなポカするとでも?」
まぁ、さっきちょっと、足元から重力消えたけどさ。3秒ルールよ。愛嬌よ。
「ポカならいーよ、ポカならな!」
「やーな言い方ねー」
そういいながら、外側シューバのほっぺたをムニムニして楽しむ。
「やぁらかいなぁ。いいもの食べさせてもらってるのねー。シューバのいまの女性はあたりかな」
「??」
「ん。ミギとペギに意地悪する女が来たら、遠慮なく追い出しちゃいなさい。でも、やさしい人が来たら、いい子にするのよ。シューバを助けてくれる奥さんだからね、噛んだらダメよ」
いってるはしから
カプリと手の甲に外見シューバの口が吸いついて来て、がじがじする。
「こら、あまがみも我慢!」
「できない」
ぞわ。
・・・うそ、こわい?
「だれが、いまのおんなで、だれが、奥さん?」
目が、ちがう。
夢じゃない。ミギでもない。シューバ。
私がおそれた、現実。
反射的に汗が浮きやすい首もとを押さえて、固まる。
怖がっては、だめだ。
シューバなんだから、ほんとうに怖い訳はなくて、怖いのは、人工核酸に浸食された私のせい。
わかっているのに、ざわざわざが、止まらない。
うそでしょ、こんな密閉空間で、シューバにくっついて、寄生生物化するの?!
パニックになりかけたところに、私ではない声が、私が感じたのと似た中身を、適切な表現で、怒鳴る。
「てっめ、そのどす黒いオーラ抑えろっつてんだろ!こえーんだよ!」
え?
さとる、の、声だ。
私が知るなかで、もっとも丈夫で、認知が歪んでなくて、表現が適切な、さとるが。
こわかった、の?
続いて、雁さんのつぶやき。
「本気で、車内の温度が下がったな」
えええ?
私が知る中で、もっとも強くて、現実的で、周りに流されない、雁さんが。
ぞわっと、したの?
頭に何日もかかっていた靄が、どすんと、一気に落ちた。
光化学スモッグがゲリラ豪雨で落ちた後のように、急に、視界がクリアになる。
目が合ったさとるが、驚いた顔をしている。
「はた、さと?」
「さとる、ねぇ、あんた、今、怖いっつった?」
「ゆったよ!それより、おまえ、大丈夫か?なんか・・・しっかりしてるぞ」
しっかり?
結構じゃないの。
ざわざわが、とまっている。
シューバを見ると、目を見開いて、私をじっと見ていて。
「さとる、いまも、こわい?」
「あ?おまえの様子がおかしいから、おどろいて引っ込んだよ。つーか、俺まで色々引っ込んだ気がするぞ。なぁ、どうした?」
引っ込んだ?
ようするに、こわくない、と?
私が今感じているのと、同じように?
そういえば、髪を撫でている間、ミギかと思うほど、怖くなかった。
ひょっとして、この子、単に、怒ると怖いタイプ、とか?
それだと、人工核酸、関係なくないか。
「ねぇ、シューバ、継続的に怒ってたこと、ある?」
「・・・・」
シューバから答えは返ってこなくて。
かわりに雁さんが口を開く。
「おい、姪っ子。意味が解らないぞ」
ああ、もどかしい。
ちょっと、怒ってみせて。
とりあえず、シューバの手にガブリとかみつく。
「あかり?」
噛まれた手を動かしもせず、シューバが顔ごと視線を合わせてくる。
だめだ、怒ってない。
そういえば、この子、しょっちゅう拗ね倒すわりに、怒らないっけ。
でも、レノの砦から帰ってきた後、毎日ぞわぞわして、だから、私は、ついに自分が壊れたのだと思って。
毎日、怒っていた可能性なんて、ある?
頭をかすめた、可能性。
恥も外聞もない。
「さとる、ちょっと、顔貸して」
「あ?」
体をひねって後ろを向いたさとるの胸倉をつかんで、引き寄せる。
「ぐえ、なにす・・」
さとるが、態勢をたてなおすまえに、抗議しかけた口に、自分の唇を重ねた。
ごめん、あとで、メイになんかおごる。
ざわっ
髪の毛が逆立つ感じがすると同時に、まさしく首根っこをつかまえられて、さとると引きはがされる。
目の前が、シューバの背中になって、さとるの顔が隠れた。
「おま・・・だぁ、シューバ、俺に怒るんじゃねーよ!不可抗力だろうが!」
うわ。
こわい、こわい!
すごい!
ギュギューーッ
ブレーキ音がして、雁さんの声。
「いいかげんにしてくれ、事故るだろーが!」
そうだよね、やっぱりぞわっと、するよね?!
再現性あり!間違いなし!
怖いのは、私の欠陥じゃなかった。
私は、壊れていない。
エメラルドゴキブリバチでもなければ、ハリガネムシでもない。
喜びが突きあがるままに顔をあげると、シューバが怖い顔をしていて、本当に久しぶりの、噛みつくようなキスをされた。
ものすごい勢いで、舌が吸われて、砕かれる。
一生懸命応じているうちに、息が苦しくなって、それでも必死でシューバに縋りついた。
噛みつくようだったキスが、優しくなっていく。
こわく、なくなっていく。
うれしくて。涙が出て。
あまりにほっとして。意識を手放した。
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