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58 紙皿と鉤爪
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後から聞いた話によると、あかりが出て言ったのは頭痛がひどくなり始めたせいで、怒ったのはふりに過ぎなかったらしい。
そして女子トイレに駆け込み、頭痛で意識朦朧としたあかりがへたり込んでいたところに、クルラが駆け付けたそうだ。
ゼルダの友達からの電話で、私が不貞で切れて、あかりのもとに乗り込んだと聞かされたばかりのクルラが、
非常ベルともに全館放送になったスピーカーでやめてと叫ぶあかりの声を聴いたクルラが、
裂けたブラウスとひどすぎる傷跡を抱えてへたり込むあかりをみたクルラが、
何を考えたか想像に難くない。
私とクルラは物心ついてからずっと、傷跡から目をそらすことを許されずに生きてきたから。傷の原因に想像を巡らせ始めたら、目をつむろうが耳をふさごうが、人間が考えつく限りの暴虐を思い出してしまう。
そして、クルラや母や身を守る術を剥がれた人々にとって、自分達は、人が考えつく限りの暴虐を垂れ流すしか能のない、『死んでしまってから、もったいなかったなって、お酒を飲みながら笑う』化物だ。
あかりにとっての私が『そう』でないとなぜ言える。
彼女がこわれた散歩から戻ってきて、自分からキスをしたのは、私ではなく、さとるだった。
闘病中なのだしと、ノーキンはあかりの不調も頭痛もあの傷も、ありうるリスクとして語る。
雁は彼女の心が壊れるのを、当然だろうがと言って、怒った。
会社にまでしつらえられているあかり用のベッド、使われ続けているだろう点滴スタンド。
クリスタの彼らは、あかりが苦しんでいることがまるで当たり前のように語るのに。
静かに壊れた彼女の足元から、地面が消えた瞬間を、こんなにも鮮明に思い出すのに。
シューバだけがあかり自身に、気遣われ、今の彼女を何度も隠され、気づかなくさせられる。
彼女が気遣って隠そうとしているのは、彼女の苦痛が私のせいだと言う事実だ。
父も、レノも、側近も、私と同じホゴラシュの枝葉だから。
幼い頃に見せられ続けた、何人もの怯えた顔の女たちが、「だれの、せいだ?」と語りかける。
「おーい、もしもしっ、ちょっとっ。シューバ?膝にのっけた人の顔触りながら意識飛ばさないでくれる?!」
意識が明るい光の方へ引っ張られ、怯えた顔の女たちが消えて、愛しい人の顔があらわれる。
「・・・あかり?」
「なにその疑問形。最初から私ですが?だーれとまちがえたのかなぁ?・・って、あ、ちょっとタイム!」
そういうと、彼女は私の膝から頭を上げ、なぜだかテーブルからマグカップを下げて紙コップに変え、菓子皿も紙であることを確認した。
それから私の隣に座り直す。
「よし、続き!はい、だれの事考えて、私の顔触りまわしてたのか吐きな。あっきらかに私じゃない女のこと考えてたでしょ。どんな女?」
「・・・女?」
「ま、子どもの頃と趣味が変わるのは仕方ないし、努力してみない訳でもないわ。ちょっとやそっとなら美容整形も応相談よ。さっさと言いなさい」
「子ども・・・?」
はじめ、ほんとうに意味が分からなくて。
何回も反芻して、やっと、『子ども』が15の時の自分をさしていることに気づく。
子ども、の、趣味?
「ぎゃん」
気がついたら、ブラウスを剥いだ時と同じ格好で、彼女をソファにうつ伏せにして押さえつけていた。
彼女の目が、「子どもなのだから守らねば」と動くのが怖くて。
彼女の口が、「子どもなのに無理しないの」と動くのが怖くて。
「ちょ、な、逆切れ?!」
彼女の、首と背中に、吸い付く。
たかが恋愛、たかが15の恋愛と、彼女が思っていたことを知っている。
19のあかりに、私の想いは届かなかった。
今も、と考えると、いてもたってもいられない。
でも、それなら何をわかってほしいと言うのだろう。
私の想いだの、執着だの、愛だの?
私の想いが『死んでしまってから、もったいなかったなって、お酒を飲みながら笑う』愛ではないと言いきれない。父のように、相手に害しか与えられない想いではないと言いきれない。
そんなものしか、知らないのに。
私たちに、想いをたたきつけられて、幸せになった相手を、いちども見たことがないのに。
それなのに、あかりが、好きで。
気が狂いそう。
彼女の首の後ろと肩をキスマークまみれにしながら、縋りつくようにしているのに、勝手に涙の幕があかりと私の間に割り込む。
あかりの綺麗な肩の上で、血の色の跡をなぞる自分の手が気持ち悪い。
いつか、彼女を引き裂いてしまう手だから。
いつか、彼女に振り払われてしまう手だから。
今にも、節くれだち、鉤爪がのびてくる気がして、その手をテーブルにたたきつけると、紙皿の中身が舞った。
「な、なにごと?シューバ!タイム!いや、ロープ、ロープ!」
あかりの背中がじたばたと動き、もう一回たたきつけようとした手の真下に、うつぶせたままのあかりの腕が伸ばされる。
このままでは怪我をさせてしまうと気づいて、反射的に肘を曲げた。
手はテーブルに届かずに済んだけれど、思い切り腕を振り下ろした勢いが殺しきれないまま床に転がり落ちる。引きずられるようにして、上からあかりも落ちて来た。
ソファとテーブルの隙間に挟まったまま、キャッチ。静止。
涙も、情動の渦巻きも、静止。
彼女の重みで、世界の上下がわかるようになって。
それから、涙がこぼれた分だけどいて、視界がひらける。
しわしわの気持ち悪くてたまらなかった手が、何の変哲もないなまっちろい手に戻っていく。
「び、び、びっくりした!3年前のベッド落下事件が平和に思える!錯乱なの?ご乱心なの?いい加減にしないと襲うわよ!なんとかいいなさい!」
どうやら彼女は、私が返事をするまで、上からどく気はないらしく。
押さえつけるようにして、私を覗き込む。
何を、言えばいいのか、わからなくて。
「・・・いい加減にすると、襲ってもらえるのか?」
間抜けた返事をしてしまった。
「うわ、涙目で言うセリフがそれ?ギャグなの?落ち着いてるの?余計にこわいわ!」
物理的に、ソファとテーブルに左右を、床とあかりに上下をがっちりホールドされて、動けないのを幸いに、そのまま固まって、彼女を見上げる。
あかりは私に乗っかったまま体を起こし、テーブルにぶつけて色が変わり始めた私の左手を引っ張り出した。
「すこしぶつけただけだ。困らない」
そう言うと、彼女の唇が、降りてきた。
襲うとかいうわりに、試すような、もの問いたげなキスだった。
それでも、物欲しげな目で、彼女の唇を追ってしまう。
彼女は、彼女の唇を追う私の視線のなかに、私の左手を持って来た。
「すでに私は困っているわよ?まず、今すぐやりたい恋人つなぎができない!向こう1週間はペアリングもできない!」
「こいびと、つなぎ?」
私の、怪我をしていない右手の指の間に、彼女の指が滑り込んできて、ぎゅう、と握られる。
「知らない?こうやって、つないで。デートしたり、お昼寝したりでイチャコラ気分!」
確かに、ぶつけた左手の方は小指と薬指の間が開かない。
「なる、ほど」
私がそう答えると、彼女は私の上からどいて、ソファにもどり、つながったままの手を引っ張って、私にも起き上がるように促した。
こいびとつなぎの手に、鉤爪は生えないようだ。
でも、体から彼女の重みがなくなってしまって、ものたりない。
「寂しい。車でさとるにしたキスの方が今私にしたキスより長かった」
「げ、ここで悩殺しに来る?」
あかりは、私の顔に手を添えて、優しいキスをしてくれた。
彼女が遠慮がちに、舌をつつくから、自分から本能のままに押し入ってしまいそうで、自制に苦労する。
でも、奪うのではなくて、彼女に与えてほしくて。
優しくされたら優しく返したくて。なされるがままに。
とても、長くて、甘くて、かわいらしいキスだった。
唇が離れると、あかりの頬がピンク色になっているのが見えた。
嬉しくて、愛しくて。
「顔と唇が、赤くて、きれい、だから、もっと」
あかりが、一方の手で口を隠して、もういっぽうの手で頬を仰ぐ。
それから、照れたように強めの口調で言うのだ。
「か、会社内での行動としては、今のでも、ぎりぎりかと?!」
可愛いと思ってもいいだろうか。
自分だけのものにしたいと思っても?
「もっとして欲しい。あかりの肩を抱いていた時間は雁が1番で、腰を抱いていた時間はロジュが1番だ。さみしい」
「どういうカウント?!」
「あかりが呼ぶ名前の回数が一生神崎さとるに追いつけなくても、あかりに魅了される人間が世界中にあふれても我慢する。だから、かわりに1番たくさんキスをして」
あかりの顔が、耳まで赤くなる。
「だれが見てもシューバがぶっちぎりの1番!ドント・ウォーリー!!とりあえず、そのだだ洩れた色気を引っ込めてちょうだい!」
そして女子トイレに駆け込み、頭痛で意識朦朧としたあかりがへたり込んでいたところに、クルラが駆け付けたそうだ。
ゼルダの友達からの電話で、私が不貞で切れて、あかりのもとに乗り込んだと聞かされたばかりのクルラが、
非常ベルともに全館放送になったスピーカーでやめてと叫ぶあかりの声を聴いたクルラが、
裂けたブラウスとひどすぎる傷跡を抱えてへたり込むあかりをみたクルラが、
何を考えたか想像に難くない。
私とクルラは物心ついてからずっと、傷跡から目をそらすことを許されずに生きてきたから。傷の原因に想像を巡らせ始めたら、目をつむろうが耳をふさごうが、人間が考えつく限りの暴虐を思い出してしまう。
そして、クルラや母や身を守る術を剥がれた人々にとって、自分達は、人が考えつく限りの暴虐を垂れ流すしか能のない、『死んでしまってから、もったいなかったなって、お酒を飲みながら笑う』化物だ。
あかりにとっての私が『そう』でないとなぜ言える。
彼女がこわれた散歩から戻ってきて、自分からキスをしたのは、私ではなく、さとるだった。
闘病中なのだしと、ノーキンはあかりの不調も頭痛もあの傷も、ありうるリスクとして語る。
雁は彼女の心が壊れるのを、当然だろうがと言って、怒った。
会社にまでしつらえられているあかり用のベッド、使われ続けているだろう点滴スタンド。
クリスタの彼らは、あかりが苦しんでいることがまるで当たり前のように語るのに。
静かに壊れた彼女の足元から、地面が消えた瞬間を、こんなにも鮮明に思い出すのに。
シューバだけがあかり自身に、気遣われ、今の彼女を何度も隠され、気づかなくさせられる。
彼女が気遣って隠そうとしているのは、彼女の苦痛が私のせいだと言う事実だ。
父も、レノも、側近も、私と同じホゴラシュの枝葉だから。
幼い頃に見せられ続けた、何人もの怯えた顔の女たちが、「だれの、せいだ?」と語りかける。
「おーい、もしもしっ、ちょっとっ。シューバ?膝にのっけた人の顔触りながら意識飛ばさないでくれる?!」
意識が明るい光の方へ引っ張られ、怯えた顔の女たちが消えて、愛しい人の顔があらわれる。
「・・・あかり?」
「なにその疑問形。最初から私ですが?だーれとまちがえたのかなぁ?・・って、あ、ちょっとタイム!」
そういうと、彼女は私の膝から頭を上げ、なぜだかテーブルからマグカップを下げて紙コップに変え、菓子皿も紙であることを確認した。
それから私の隣に座り直す。
「よし、続き!はい、だれの事考えて、私の顔触りまわしてたのか吐きな。あっきらかに私じゃない女のこと考えてたでしょ。どんな女?」
「・・・女?」
「ま、子どもの頃と趣味が変わるのは仕方ないし、努力してみない訳でもないわ。ちょっとやそっとなら美容整形も応相談よ。さっさと言いなさい」
「子ども・・・?」
はじめ、ほんとうに意味が分からなくて。
何回も反芻して、やっと、『子ども』が15の時の自分をさしていることに気づく。
子ども、の、趣味?
「ぎゃん」
気がついたら、ブラウスを剥いだ時と同じ格好で、彼女をソファにうつ伏せにして押さえつけていた。
彼女の目が、「子どもなのだから守らねば」と動くのが怖くて。
彼女の口が、「子どもなのに無理しないの」と動くのが怖くて。
「ちょ、な、逆切れ?!」
彼女の、首と背中に、吸い付く。
たかが恋愛、たかが15の恋愛と、彼女が思っていたことを知っている。
19のあかりに、私の想いは届かなかった。
今も、と考えると、いてもたってもいられない。
でも、それなら何をわかってほしいと言うのだろう。
私の想いだの、執着だの、愛だの?
私の想いが『死んでしまってから、もったいなかったなって、お酒を飲みながら笑う』愛ではないと言いきれない。父のように、相手に害しか与えられない想いではないと言いきれない。
そんなものしか、知らないのに。
私たちに、想いをたたきつけられて、幸せになった相手を、いちども見たことがないのに。
それなのに、あかりが、好きで。
気が狂いそう。
彼女の首の後ろと肩をキスマークまみれにしながら、縋りつくようにしているのに、勝手に涙の幕があかりと私の間に割り込む。
あかりの綺麗な肩の上で、血の色の跡をなぞる自分の手が気持ち悪い。
いつか、彼女を引き裂いてしまう手だから。
いつか、彼女に振り払われてしまう手だから。
今にも、節くれだち、鉤爪がのびてくる気がして、その手をテーブルにたたきつけると、紙皿の中身が舞った。
「な、なにごと?シューバ!タイム!いや、ロープ、ロープ!」
あかりの背中がじたばたと動き、もう一回たたきつけようとした手の真下に、うつぶせたままのあかりの腕が伸ばされる。
このままでは怪我をさせてしまうと気づいて、反射的に肘を曲げた。
手はテーブルに届かずに済んだけれど、思い切り腕を振り下ろした勢いが殺しきれないまま床に転がり落ちる。引きずられるようにして、上からあかりも落ちて来た。
ソファとテーブルの隙間に挟まったまま、キャッチ。静止。
涙も、情動の渦巻きも、静止。
彼女の重みで、世界の上下がわかるようになって。
それから、涙がこぼれた分だけどいて、視界がひらける。
しわしわの気持ち悪くてたまらなかった手が、何の変哲もないなまっちろい手に戻っていく。
「び、び、びっくりした!3年前のベッド落下事件が平和に思える!錯乱なの?ご乱心なの?いい加減にしないと襲うわよ!なんとかいいなさい!」
どうやら彼女は、私が返事をするまで、上からどく気はないらしく。
押さえつけるようにして、私を覗き込む。
何を、言えばいいのか、わからなくて。
「・・・いい加減にすると、襲ってもらえるのか?」
間抜けた返事をしてしまった。
「うわ、涙目で言うセリフがそれ?ギャグなの?落ち着いてるの?余計にこわいわ!」
物理的に、ソファとテーブルに左右を、床とあかりに上下をがっちりホールドされて、動けないのを幸いに、そのまま固まって、彼女を見上げる。
あかりは私に乗っかったまま体を起こし、テーブルにぶつけて色が変わり始めた私の左手を引っ張り出した。
「すこしぶつけただけだ。困らない」
そう言うと、彼女の唇が、降りてきた。
襲うとかいうわりに、試すような、もの問いたげなキスだった。
それでも、物欲しげな目で、彼女の唇を追ってしまう。
彼女は、彼女の唇を追う私の視線のなかに、私の左手を持って来た。
「すでに私は困っているわよ?まず、今すぐやりたい恋人つなぎができない!向こう1週間はペアリングもできない!」
「こいびと、つなぎ?」
私の、怪我をしていない右手の指の間に、彼女の指が滑り込んできて、ぎゅう、と握られる。
「知らない?こうやって、つないで。デートしたり、お昼寝したりでイチャコラ気分!」
確かに、ぶつけた左手の方は小指と薬指の間が開かない。
「なる、ほど」
私がそう答えると、彼女は私の上からどいて、ソファにもどり、つながったままの手を引っ張って、私にも起き上がるように促した。
こいびとつなぎの手に、鉤爪は生えないようだ。
でも、体から彼女の重みがなくなってしまって、ものたりない。
「寂しい。車でさとるにしたキスの方が今私にしたキスより長かった」
「げ、ここで悩殺しに来る?」
あかりは、私の顔に手を添えて、優しいキスをしてくれた。
彼女が遠慮がちに、舌をつつくから、自分から本能のままに押し入ってしまいそうで、自制に苦労する。
でも、奪うのではなくて、彼女に与えてほしくて。
優しくされたら優しく返したくて。なされるがままに。
とても、長くて、甘くて、かわいらしいキスだった。
唇が離れると、あかりの頬がピンク色になっているのが見えた。
嬉しくて、愛しくて。
「顔と唇が、赤くて、きれい、だから、もっと」
あかりが、一方の手で口を隠して、もういっぽうの手で頬を仰ぐ。
それから、照れたように強めの口調で言うのだ。
「か、会社内での行動としては、今のでも、ぎりぎりかと?!」
可愛いと思ってもいいだろうか。
自分だけのものにしたいと思っても?
「もっとして欲しい。あかりの肩を抱いていた時間は雁が1番で、腰を抱いていた時間はロジュが1番だ。さみしい」
「どういうカウント?!」
「あかりが呼ぶ名前の回数が一生神崎さとるに追いつけなくても、あかりに魅了される人間が世界中にあふれても我慢する。だから、かわりに1番たくさんキスをして」
あかりの顔が、耳まで赤くなる。
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