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第二章

15.刻まれたのは淫靡な吐息

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アスランが帰って来る前に、床は綺麗に出来た。
汚れた身体も洗って、アスランが来るまで、ぐったりとベットに身体を預けた。
トウカはそのまま、意識を失った。

次にトウカが目を覚ましたのは、深夜だった。
窓には闇しか見えない。
部屋の小さな灯りが、薄暗くベットを照らしている。
「ん・・・・・・・」
かさつく喉に、トウカが唾を飲み込む。
横に身体を動かし、びくりとみじろいだ。
アスランが、うっとりとトウカを見つめながら、添い寝していた。
白い部屋着になっている。
「トウカ、おはよう。よく、眠れた?」
「アスラン、様・・・・・・・」
そして、口移しで水を飲まされた。
何度もされているの行為なので、トウカは素直に飲み込んだ。
喉がからからに乾いているせいか、とても甘く感じる。

「いっぱい声を出したのかな?声ががらがらだ。今日は、お仕置きされたのだろう?我が儘を言ってはいけないよ?」
額にキスをしながら、困った子供を見る目で、アスランは優しく諭す。
「知って・・・・・」
スエムは、自分の痴態まで話したのだろうか。
「当たり前じゃないか。トウカの事は、何でも知ってるんだ。明日は、私は寝坊する予定なんだ」
「はあ・・・・・・?」 
考えきれない頭で、トウカはアスランを見つめる。
「あの糞ガキより、私の方が〝特別〟なんだと分からせてあげるね」
ひっ、とトウカは逃げようとしたが、ぎらぎらとした笑っていない眼差しで笑うアスランに、頭をがっちり掴まれていた。
「トウカはよい生徒らしいね。スエムが褒めていたよ。私に教えてごらん」
トウカの目に絶望が見えたが、薄暗い明かりの中で、それを見たのはアスランしかいなかった。



「ひゃうっ」
ずるりとトウカの中に、アスランの剛直が入った。
みちみちとトウカの肉壁を圧迫する。
トウカが、アスランの上でふうふうと息を整えている。
昼間、スエムに拡張されているせいか、痛みはほぼない。
「ちゃんと、準備してるね、いい子だ」
アスランの膝の上で、トウカが向い合わせの格好で裸になっている。
嬉しそうに、アスランが頭を撫でた。

硬い冷たい雛型ではなく、脈打つ熱い肉棒は、トウカの中心を溶かしていく。
「はあ・・・・・・っ、もう、ぬい、てくださ・・・・」
スエムに性感帯を蹂躙されたトウカの身体は、痺れるような快感を求め、言葉とは裏腹に、もっともっとと肉棒をその場所に誘う。
蕩けるような瞳をして、アスランを見つめる。
「気持ちいいねえ、トウカ。奥がじんじんくるの?」
はあはあと息を漏らし、トウカがアスランの頭を抱き締めた
「動いてごらん。上手にいかせられたら、抜いてあげる」
腰を動かすトウカはいつもと違って、自分の欲望に正直だった。

何時もより赤い胸の突起を触ると、ぴくりと内壁を締め付けた。
「こんなに大きくなってる。あいつは、無い分、他の所を責めるのが、好きなようだな」
きつく摘まむとひぃとトウカの喉の奥がなった。
じわりとアスランを包む肉壁が、濡れたような気がした。
「胸、触らない、で・・・・。ひり、ひり、ジンジ、ん、するの」
そうかと言って、アスランは指を離し、代わりに突起を口に含んだ。
ねっとりと口の中で、嘗め転がす。
ひゃとトウカが悲鳴あげたが、成されるままになった。
優しく息を吹き掛けると、悩ましげに眉ねを寄せる。
アスランの後頭部を持ち、ふるりと耐えている。
無意識に腰を動かしているトウカに、目を細めた。

「ふふ、薬を使っていないから、正気のままに気持ちいいね、トウカ」
「・・・・・・・」
「あいつも、いい仕事をした。トウカがこんなに可愛くなってるなんて」
アスランは非常に喜んでいた。
トウカが可愛くて仕方がない。
身体も、本当に女の子みたいに柔らかくなっている。
それに、自分から媚びるのだ。
ますます、アスランの剛直が膨らみ、トウカが震えながら、アスランに抱きついた。
「アスラン・・・・様・・・・っ」
「うん?なあに?可愛いねえ。この世で一番、可愛い」
口内を犯しながら、うっとりと見つめる。

「トウカの〝特別〟は誰?」
「・・・・アスラン、様で、す・・・・」
「そうだよ、私が、トウカの〝特別〟なんだ。だから、間違えちゃ、駄目だよ」
「は、ひ・・・・」
腰を掴まれ、何度も上下に動かされた。
震えながら、苦しげに媚びる言葉を吐くと、アスランは何度もトウカの中に、欲望を吐き出した。

スエム先生が言った通りに、苦しいときは媚びれば、アスランは許してくれる。
ぼんやりとした頭で、スエムはそんな事を考えていた。


そして、
アスランにすがり付く格好で、トウカは添い寝していた。
身体中の力が抜けているのか、ぐったりとアスランに身体を預けている。

アスランは、抱き潰され立ち上がれないトウカを、まるで赤子のように抱き上げ、風呂場で隅々まで洗う。
動けないトウカは、アスランにされるままに洗われ、身体を拭かれた。

アスランは、ベットの中で嬉しそうにトウカの身体を撫でている。
そして、下腹部を愛しげに撫でた。
「・・・・トウカには、番の女なんかいらない。トウカは、私のお嫁さんになればいい」
トウカはそこら辺の女より、可愛い。

トウカは、私の番になるんだ。
勇者の称号も持ってる。
司教の位だって持ってる。それ以上を目指すつもりだ。
見目だって、普通よりいいと思うし、金だって持ってる。
私の種を欲しがる女は沢山いるんだ。
胸が真っ赤になってる。
ずっと弄ったら、女の子みたいになるかな?
でも、男でもいい。
私のトウカだから、どちらでもいい。
トウカが欲しがるかな?

トウカは私が特別だから。

「・・・・お嫁さん・・・・?」
トウカは夢現で聞いている。
本来、中央教会の神父や聖女は養子縁組以外、未婚でなければいけないと聞いていた気がする。
けれど、アスランなら、それさえもねじ曲げるのだろう。

「女神にお願いしよう。子供が産めるように。トウカが、女の子になったら、あのくそ女神見みたいに、とても綺麗だ」
「・・・・・」
僕が子供を産む?
よく分からない。
「トウカも子供欲しいだろう?」
「分かり、ません・・・・・」
うとうとしているトウカに、アスランは愛しげに頬を寄せる。
「そうか、まだトウカは子供だもね。ふふ、トウカが大人になる迄、待てばいいね。それまでは二人でじっくりと、愛を深めようね」
「・・・・・・・」

ふと、アスランの声音が変わった気がした。
「スエムは、どうだい?よい手足になりそうだろう?」
けれど、アスランはご機嫌なようだ。
くんくんとトウカの髪の香りを嗅ぐ。
トウカもされるままに聞く。
「手足・・・・?」
「あれは少し、思い込みが過ぎるきらいがある。トウカの信者にはぴったりだ」
アスランは何を言ってるのだろう?
信者?
「い、いりません・・・・・」
アスランは少し驚いたようだった。
「スエムは嫌いか?では、違う人間を付けよう。スエムは内情を知っているから、消してしまおうか」
びくりとトウカが震えた。
アークのように、自分のせいで酷いめにあうのが怖かった。

「やめ、てくださ・・・・・」
ぐずぐずと泣き出したトウカにアスランが慌てて抱きしめる。
「どうして泣くんだ?だって、トウカは、スエムが嫌いなのだろう?じゃあ、消さなきゃ」
何でもないようにアスランは言う。
事実、アスランにとってトウカ以外は石ころと同じだった。
それが、トウカに負の感情を起こさせるなんてあり得ない。
「違、違います。嫌いじゃ、ありませ・・・」
「本当?トウカは優しいから、すぐ、嘘をつく」
「やめて、殺さないで・・・・っ」
スエムを庇う姿に、アスランが苛つく。

「・・・・・スエムが好きになったの?私より?」
アスランの目に、剣呑な光が帯びる。
「ちが、違います」
「正直に言ってごらん。おかしくなるぐらい惨たらしく、目の前で殺してやるから」
「やめて、殺さないで、くださっ!」
すがり付くトウカの頭を、アスランが優しく撫でた。
「もう、トウカは、恥ずかしがりやだな。本当は信者が欲しかったのだろう?スエムも気に入っている?」
「はい。はい、そうです・・・・私は、信者が欲しい、です・・・・」
うんうんと、嬉しそうにアスランは頷いた。
「では、スエムはトウカの信者一号だね。大切にするのだよ。もし、おいたをしたら、私がすぐに壊してあげるからね」
「はい・・・・ありがとうございます」
逃げられないのだという絶望を胸に、トウカはアスランの胸に頭を寄せた。
アスランは嬉しそうに、頭を撫でる。
「私の可愛いトウカ。ずっと護ってあげるからね」
頭を撫でられ、トウカは何故か泣きたくなった。
それが何の感情なのか、分からなかった。



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