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第3章 ~よう
起動し
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☆sideシン
グルバンは頭を下げる。
「まず、ありがとうございます」
〔いいっていいって。リンが良い子でよかった〕
「子守りだけじゃない。…戦いに巻き込まないでくれたことだ」
〔あぁ、本当は教えるつもりもなかったがな〕
「わしは、あなたにもしもの時、ほんの少しでも力を貸してくれるだけでも僥倖だったが……。知らなかったよ…色々ね…」
〔あぁ、オレもビックリしたよ。ケイトと君の子どもだ。優秀かとは思っていたが、まさかあれほどとはな…〕
この子のような才能あふれる子はそう会えない。それくらいリンの能力は異常だ。ただこの様子だとグルバンはリンの能力も状態も知らなかったのだろう。
「…あぁ言いたいことはわかっておる。わしは最愛のものすらまともに直視していなかったのだよ。本当に愚かだよ」
〔後悔さえすればいいわけではないが、グルバンは後悔だけで終わらないから許されるんじゃないか?償った後になるだろうが…〕
「償い続けるさ。必ず」
その眼が、ルコの人生が無駄じゃないと言ってるように思えてくる。つい脱線してしまうな。本題に入ろう。
〔さて、グルバンはなんの用かな?〕
「知っているだろう?わしはまだ死んでいない扱いとなっていることを」
すぐさま脳裏に蘇る。ルコとグルバンの死亡直後に流れたあのラジオではグルバンがアピスに王位を譲渡するようなものだった。言われてみれば、国王に最も近かった男が死んでしまえば訃報の一つや二つあってもおかしくない。悪いが、偽者のことは気にしていない。
〔あぁだが安心していいぞ。アピスの仕業だろ?〕
またしてもグルバンは頭を下げる。
「わしの失態なんだ。死ぬ直前、ルコとの戦いの後に、わしはアピスと会ったんだ……」
〔は?!〕
あの時、隠し事があるようにも、騙し騙されているような曇りもなかった。そこまで当時のことを振り返ってある可能性に気付く。
〔ま、まさか…〕
「気づいたか?心が読める能力の弱点に…」
記憶を操作した。
そうとしか考えられない。あの時のグルバンは忘れていたんだ。知らなければ嘘は吐いていない。
「やつは突然、国王の首を持って現れたんだよ。ルコとの戦いもあってアピスには勝てず、記憶もカードもとられてしまった……。カードは言わば本人証明みたいなもんだ。わしは存在ごと奪われたんだ」
寒気がした…。人間でいう心臓を道端に投げ捨てられたような感覚だろうか。あの時のグルバン。それは、ルコと闘い、改心した後。
つまり、話しているのだ。
オレの存在と異能の正体を知られた可能性が高い……。するはずのなかった相手への情報共有。無自覚なスパイを忍び込ませる。ルコでもやられたことだ。
<なぜ、もっと警戒しなかった……!!>
悔やんでも仕方ない。龍児やルコの影響か心の切り替えが瞬時にできる。状況が変わった。グルバンのあの時の、記憶、感情、権限をそのまま持ち合わせているのなら、約束だって分かるはずだ。
〔なら今、一番危ないのは……!!〕
オレはすぐさま、最短ルートでリンの病室に入る。そこには来る前と同様の静けさと冷たさがあった。リンが寝ていた。リンはゲームをやっているのだろうか?
「リンは寝ているのか?」
グルバンが器用に声を飛ばす。霊体には壁なんてあってないようなものなのに、壁の外から話しかけてくる。
〔ったく寝てるよ。だから、来い〕
「……ぁあ。…っ!あああぁ!!」
グルバンは部屋に入るなり、倒れ込む。親だからこそ気づくものもあったのだろうか?
〔どうかしたのか?〕
「美しすぎる…。間違いない。ケイトの子だ」
少々無粋だが、すっぱたきたくなった。彼の生涯やケイトへの愛も考えると当然かもしれない。
「わしは…、わしは……。どうして、もっと向き合わなかったんだ!!」
グルバンは霊体でありながらも号泣する。それはふざけたものなんかじゃない。積年の自己嫌悪である。
グルバンは頭を下げる。
「まず、ありがとうございます」
〔いいっていいって。リンが良い子でよかった〕
「子守りだけじゃない。…戦いに巻き込まないでくれたことだ」
〔あぁ、本当は教えるつもりもなかったがな〕
「わしは、あなたにもしもの時、ほんの少しでも力を貸してくれるだけでも僥倖だったが……。知らなかったよ…色々ね…」
〔あぁ、オレもビックリしたよ。ケイトと君の子どもだ。優秀かとは思っていたが、まさかあれほどとはな…〕
この子のような才能あふれる子はそう会えない。それくらいリンの能力は異常だ。ただこの様子だとグルバンはリンの能力も状態も知らなかったのだろう。
「…あぁ言いたいことはわかっておる。わしは最愛のものすらまともに直視していなかったのだよ。本当に愚かだよ」
〔後悔さえすればいいわけではないが、グルバンは後悔だけで終わらないから許されるんじゃないか?償った後になるだろうが…〕
「償い続けるさ。必ず」
その眼が、ルコの人生が無駄じゃないと言ってるように思えてくる。つい脱線してしまうな。本題に入ろう。
〔さて、グルバンはなんの用かな?〕
「知っているだろう?わしはまだ死んでいない扱いとなっていることを」
すぐさま脳裏に蘇る。ルコとグルバンの死亡直後に流れたあのラジオではグルバンがアピスに王位を譲渡するようなものだった。言われてみれば、国王に最も近かった男が死んでしまえば訃報の一つや二つあってもおかしくない。悪いが、偽者のことは気にしていない。
〔あぁだが安心していいぞ。アピスの仕業だろ?〕
またしてもグルバンは頭を下げる。
「わしの失態なんだ。死ぬ直前、ルコとの戦いの後に、わしはアピスと会ったんだ……」
〔は?!〕
あの時、隠し事があるようにも、騙し騙されているような曇りもなかった。そこまで当時のことを振り返ってある可能性に気付く。
〔ま、まさか…〕
「気づいたか?心が読める能力の弱点に…」
記憶を操作した。
そうとしか考えられない。あの時のグルバンは忘れていたんだ。知らなければ嘘は吐いていない。
「やつは突然、国王の首を持って現れたんだよ。ルコとの戦いもあってアピスには勝てず、記憶もカードもとられてしまった……。カードは言わば本人証明みたいなもんだ。わしは存在ごと奪われたんだ」
寒気がした…。人間でいう心臓を道端に投げ捨てられたような感覚だろうか。あの時のグルバン。それは、ルコと闘い、改心した後。
つまり、話しているのだ。
オレの存在と異能の正体を知られた可能性が高い……。するはずのなかった相手への情報共有。無自覚なスパイを忍び込ませる。ルコでもやられたことだ。
<なぜ、もっと警戒しなかった……!!>
悔やんでも仕方ない。龍児やルコの影響か心の切り替えが瞬時にできる。状況が変わった。グルバンのあの時の、記憶、感情、権限をそのまま持ち合わせているのなら、約束だって分かるはずだ。
〔なら今、一番危ないのは……!!〕
オレはすぐさま、最短ルートでリンの病室に入る。そこには来る前と同様の静けさと冷たさがあった。リンが寝ていた。リンはゲームをやっているのだろうか?
「リンは寝ているのか?」
グルバンが器用に声を飛ばす。霊体には壁なんてあってないようなものなのに、壁の外から話しかけてくる。
〔ったく寝てるよ。だから、来い〕
「……ぁあ。…っ!あああぁ!!」
グルバンは部屋に入るなり、倒れ込む。親だからこそ気づくものもあったのだろうか?
〔どうかしたのか?〕
「美しすぎる…。間違いない。ケイトの子だ」
少々無粋だが、すっぱたきたくなった。彼の生涯やケイトへの愛も考えると当然かもしれない。
「わしは…、わしは……。どうして、もっと向き合わなかったんだ!!」
グルバンは霊体でありながらも号泣する。それはふざけたものなんかじゃない。積年の自己嫌悪である。
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