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第3章 ~よう
別れ
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☆sideシン
オレはリンが倒れるのを見ていることしかできなかった。すぐさま、リンを抱き起す。
〔リン!大丈夫か!?〕
「……」
リンもメハも何も喋らない。違和感と焦燥感からメハへ視線を向けると、立ってるのも辛そうにしてるメハが目に焼き付く。悲痛さを滲ませたメハの目からハイライトが消えていく。そして、落ち着いた口ぶりで話し始める。
「…私たちを徹底的に潰すつもりみたいね」
メハが手を見せながらそう言う。その手はホログラムのように透けていて、ところごころがバグったように黒ずんだり、重なって存在したりしている。
〔どうすりゃいいんだよ…〕
「決まってるでしょ。さっさとここをログアウトしなさい」
メハは背を向けてそう言う。だから言わずにはいられなかった。
〔メハも一緒にだろ?〕
メハは小さく首を振る。
「やだよ…」
見るからに衰弱しているリンは小さく、だがはっきりとそう言う。
「リン!あなたなら分かってるでしょ?もう私の体は!!」
「…でも!…ぃや」
リンはうつ伏せになったまま匍匐前進のようにメハに這い寄ろうとする。だが、片手だけではなかなか進まない上に、力もそんなにないので、ほとんど動けない。リンは体も意識も限界に近いはずなのに、叫ぶ。
「シン!!力、かして!」
「リン…」
メハは分かっていた。いや、リンも頭では分かっているのだろう。オレの力は万能ではない。ルコの身体がボロボロになったように、適応できない身体にはオレの異能は害となる。確かに子どもは適応しやすい。が、リンの身体は今蝕まれている。とてもじゃないが耐えられない。せめて、安定させてからなら話は別だが……。
〔……〕
メハをチラ見する。メハもオレの異能を使う適性があった。が、彼女もまたプログラムにウイルスが入り込んで弱っている。
<メハが犠牲覚悟でリンに異能を使>
「…!」
「……リン?」
リンはオレとメハの間に立ち上がる。
「無理しちゃダm」
こちらに殺気に近い圧をかけて一言だけ話す。
「てき?」
オレは息を飲んだ。動揺しながら言葉を並べる。
「…敵じゃない」
「そ…」
フラッ
リンはそのままて倒れてしまう。
「っ!危ない」
「まったく…リンったら」
倒れる前になんとか浮かばせる。メハはそう言いながらリンの頬を比較的綺麗な左手で撫でる。
〔あんさ…出るしかないのも分かっているんだ。だが、アピスが外もどうかしてそうな気がしてならない。リンをここに残す選択肢ってないのか?〕
「それが合理的だと思うの?」
〔…あぁ無理だろな。あいつなら、たとえここで出られない状態であっても確実に排除するだろう〕
「そうなんだろね。なら一択しかないでしょ?」
メハはゲートのようなものを作り出す。
〔くっそ……〕
これが現実。自分の無力感に嫌気がさしてくる。リンを通したらあの病室に戻る。そして、新たな局面に迎えることを察していた。リンの身体に触らないように浮かばせて、ゲートの手前に足を運ぶ。
「…また………」
リンは夢現で呟いているようだ。そこでメハの方に振り返る。
〔言伝はいるか?〕
「そうね…。じゃあお願い」
このまま引きずりだしても意味がない。寧ろ状況が悪化しうる。
<歯痒い……>
メハの言伝は愛に満ちていた。直視できなくなる笑顔をメハはこちらに向ける。
〔ごめん…〕
「…気n(#……」
メハの声帯は本来の機能を失なったようだ。微笑を携えて、口をぱくぱくと動かしている。
[よ ろ し く]
見ているだけで辛くなった。だから、オレはメハに背を向ける。
〔……任せろ〕
せめてもの贖罪。背負うこと意志を表明する。後ろ髪をひかれる思いでゲートをくぐる。それしかできないのだから。
オレはリンが倒れるのを見ていることしかできなかった。すぐさま、リンを抱き起す。
〔リン!大丈夫か!?〕
「……」
リンもメハも何も喋らない。違和感と焦燥感からメハへ視線を向けると、立ってるのも辛そうにしてるメハが目に焼き付く。悲痛さを滲ませたメハの目からハイライトが消えていく。そして、落ち着いた口ぶりで話し始める。
「…私たちを徹底的に潰すつもりみたいね」
メハが手を見せながらそう言う。その手はホログラムのように透けていて、ところごころがバグったように黒ずんだり、重なって存在したりしている。
〔どうすりゃいいんだよ…〕
「決まってるでしょ。さっさとここをログアウトしなさい」
メハは背を向けてそう言う。だから言わずにはいられなかった。
〔メハも一緒にだろ?〕
メハは小さく首を振る。
「やだよ…」
見るからに衰弱しているリンは小さく、だがはっきりとそう言う。
「リン!あなたなら分かってるでしょ?もう私の体は!!」
「…でも!…ぃや」
リンはうつ伏せになったまま匍匐前進のようにメハに這い寄ろうとする。だが、片手だけではなかなか進まない上に、力もそんなにないので、ほとんど動けない。リンは体も意識も限界に近いはずなのに、叫ぶ。
「シン!!力、かして!」
「リン…」
メハは分かっていた。いや、リンも頭では分かっているのだろう。オレの力は万能ではない。ルコの身体がボロボロになったように、適応できない身体にはオレの異能は害となる。確かに子どもは適応しやすい。が、リンの身体は今蝕まれている。とてもじゃないが耐えられない。せめて、安定させてからなら話は別だが……。
〔……〕
メハをチラ見する。メハもオレの異能を使う適性があった。が、彼女もまたプログラムにウイルスが入り込んで弱っている。
<メハが犠牲覚悟でリンに異能を使>
「…!」
「……リン?」
リンはオレとメハの間に立ち上がる。
「無理しちゃダm」
こちらに殺気に近い圧をかけて一言だけ話す。
「てき?」
オレは息を飲んだ。動揺しながら言葉を並べる。
「…敵じゃない」
「そ…」
フラッ
リンはそのままて倒れてしまう。
「っ!危ない」
「まったく…リンったら」
倒れる前になんとか浮かばせる。メハはそう言いながらリンの頬を比較的綺麗な左手で撫でる。
〔あんさ…出るしかないのも分かっているんだ。だが、アピスが外もどうかしてそうな気がしてならない。リンをここに残す選択肢ってないのか?〕
「それが合理的だと思うの?」
〔…あぁ無理だろな。あいつなら、たとえここで出られない状態であっても確実に排除するだろう〕
「そうなんだろね。なら一択しかないでしょ?」
メハはゲートのようなものを作り出す。
〔くっそ……〕
これが現実。自分の無力感に嫌気がさしてくる。リンを通したらあの病室に戻る。そして、新たな局面に迎えることを察していた。リンの身体に触らないように浮かばせて、ゲートの手前に足を運ぶ。
「…また………」
リンは夢現で呟いているようだ。そこでメハの方に振り返る。
〔言伝はいるか?〕
「そうね…。じゃあお願い」
このまま引きずりだしても意味がない。寧ろ状況が悪化しうる。
<歯痒い……>
メハの言伝は愛に満ちていた。直視できなくなる笑顔をメハはこちらに向ける。
〔ごめん…〕
「…気n(#……」
メハの声帯は本来の機能を失なったようだ。微笑を携えて、口をぱくぱくと動かしている。
[よ ろ し く]
見ているだけで辛くなった。だから、オレはメハに背を向ける。
〔……任せろ〕
せめてもの贖罪。背負うこと意志を表明する。後ろ髪をひかれる思いでゲートをくぐる。それしかできないのだから。
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