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第3章 ~よう
クモを掴む
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side??
それは美しさと恐ろしさを内包する身近なものだった。故になければ違和感を覚える程、自然の摂理の根幹を成すものとも言えた。そんな存在だった。
空で織り成す純白の編み物であったそれは、空を制したと言わしめるモノを悉く死に追いやった。時間をかけて練り込まれたそれの巣窟は、凶悪かつ悪辣に思えてしまう芸術品に迫る自然の美があった。命からがら生き延びたモノは口を揃えてこう言うのだ。「必死で暴れたが、動けているのか止まっているのか分からなかった」と。
ある人は試練と捉えた。行きたい場所に広がるただの障害物だと。
ある人は終着点と説いた。いつかは誰しもが到達する希望や絶望の象徴だと。
ある人は考えることを止めた。それはあまりにも遠く、間近ではないため緊急性に欠けると。
《☆sideシン
そこは暗い部屋だった。
「…ヒュー……」
まともな呼吸が行えていない、それは誰が見ても明らかだった。微かな光源が、血で染まったリンを照らす。
「おい、今すぐ治療か、病院へ運べよ!!」
グルバンが鬼気迫る勢いで叫ぶ。これまでは正体を隠すように立ち回っていたが、その余裕もないということだ。
〔悪い。全部オレが悪いんだ〕
事実だった。オレの無茶が、誰かの悪意が、こうなる結末を呼んだ。想像の範囲内で、オレは踏ん切りがついているが、グルバンはそうはいかない。
「なんだよ!諦めてるのか?!お前は神だったんだろ?少女の一人も救えないのか?」
そのズレを感じれば感じるほどグルバンはヒートアップする。何より、何も言えないオレに苛立ちを覚えているのだろう。ソレが分かっても尚、喋れない。
〔……〕
「てめぇ!!弁解してみろや!!初めからこうなることが分かっていたのに、こうしたっていうのか!!!」
「グルバン、落ち着いてよ」
ルコは弱々しく窘める。グルバンはそれによって、周りのみんなを見渡す。憤怒から啞然。疎外感を感じているのだろう。
「お、お前らは、納得しているのか…?!」
「そういうわけじゃないけど!…その」
ルコは言葉の最後で目を反らす。グルバンはソレを現状の肯定と捉えて、より一層怒りを募らせる。
「け、ケイト」
ケイトは自然にグルバンに近づき、やんわりと抱き着く。
「お主は正しい。勘違いするでない、みんな辛いんじゃ」
「…ふざけるなよ!!どうして、リンが、こんな目に合わなければならないんだ!!!おかしいだろうがぁあ!!!」
グルバンの魂の叫びは部屋に響いては虚しく消える。徐々に薄くなっていくグルバンの身体が限界と察しが付く。グルバンはケイトからゆっくり離れ、不意に俯く。
「…アピスは確かにクズで、大罪人だ」
グルバンは先ほどまでの激昂とは違った冷静さ帯びた話し方にシフトする。
「だが…」
顔を上げ、明確な殺意と共にオレを睨む。
「お 前 も 同 罪 だ」
消えゆくグルバンは複雑な空気を残していった。オレは、しばらく動くことができなかった》
それは美しさと恐ろしさを内包する身近なものだった。故になければ違和感を覚える程、自然の摂理の根幹を成すものとも言えた。そんな存在だった。
空で織り成す純白の編み物であったそれは、空を制したと言わしめるモノを悉く死に追いやった。時間をかけて練り込まれたそれの巣窟は、凶悪かつ悪辣に思えてしまう芸術品に迫る自然の美があった。命からがら生き延びたモノは口を揃えてこう言うのだ。「必死で暴れたが、動けているのか止まっているのか分からなかった」と。
ある人は試練と捉えた。行きたい場所に広がるただの障害物だと。
ある人は終着点と説いた。いつかは誰しもが到達する希望や絶望の象徴だと。
ある人は考えることを止めた。それはあまりにも遠く、間近ではないため緊急性に欠けると。
《☆sideシン
そこは暗い部屋だった。
「…ヒュー……」
まともな呼吸が行えていない、それは誰が見ても明らかだった。微かな光源が、血で染まったリンを照らす。
「おい、今すぐ治療か、病院へ運べよ!!」
グルバンが鬼気迫る勢いで叫ぶ。これまでは正体を隠すように立ち回っていたが、その余裕もないということだ。
〔悪い。全部オレが悪いんだ〕
事実だった。オレの無茶が、誰かの悪意が、こうなる結末を呼んだ。想像の範囲内で、オレは踏ん切りがついているが、グルバンはそうはいかない。
「なんだよ!諦めてるのか?!お前は神だったんだろ?少女の一人も救えないのか?」
そのズレを感じれば感じるほどグルバンはヒートアップする。何より、何も言えないオレに苛立ちを覚えているのだろう。ソレが分かっても尚、喋れない。
〔……〕
「てめぇ!!弁解してみろや!!初めからこうなることが分かっていたのに、こうしたっていうのか!!!」
「グルバン、落ち着いてよ」
ルコは弱々しく窘める。グルバンはそれによって、周りのみんなを見渡す。憤怒から啞然。疎外感を感じているのだろう。
「お、お前らは、納得しているのか…?!」
「そういうわけじゃないけど!…その」
ルコは言葉の最後で目を反らす。グルバンはソレを現状の肯定と捉えて、より一層怒りを募らせる。
「け、ケイト」
ケイトは自然にグルバンに近づき、やんわりと抱き着く。
「お主は正しい。勘違いするでない、みんな辛いんじゃ」
「…ふざけるなよ!!どうして、リンが、こんな目に合わなければならないんだ!!!おかしいだろうがぁあ!!!」
グルバンの魂の叫びは部屋に響いては虚しく消える。徐々に薄くなっていくグルバンの身体が限界と察しが付く。グルバンはケイトからゆっくり離れ、不意に俯く。
「…アピスは確かにクズで、大罪人だ」
グルバンは先ほどまでの激昂とは違った冷静さ帯びた話し方にシフトする。
「だが…」
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