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第3章 ~よう
塵モ⑤
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☆sideシン
「これは伏せで。次に、[敵に塩を送る]。そして、ターンエンド」
「…」
「そして、次も俺のターーン」
完全にアピスのペースだった。
「こいつをひっくり返す…」
[戦車]だ。
敵陣の前衛に、だ
つまり、伏せでコッソリ近寄っていてのご登場。こちらの兵が破壊される…!
「老騎士で」
「でも、攻撃できる」
「…」
せっかく[老騎士]で庇っても、[巫女]は為すすべなくやられる。
「[民の追悼]」
[巫女]の死亡による効果の内の一つ、だ。
<死んでしまった[巫女]を弔うと共に、冒涜することを許さない。ずっとではないが、一時的に皆と巫女の気持ちが一つになって発現した現象。そう聞いた…>
そこまで考えて、次に思うこと。それは、何に対して[巫女]の能力を発動したのか、である。
<[記憶喪失]の子ドラか?[敵に塩を送る]で送られたチリツモも魔法の効果無効ならもう一度あちらに戻るのだろうか?そもそも、使ったのか……?>
「……」
リンは対象を語らなかった。ただの睨み合いの時間が少し続く。が、アピスは、テキトーに手元のパネルをいじる。
「ま、こんなもんかな。ターンエンド」
オレとリンは察する。
コイツは今、魔法を使った。
宣言もせずに、嘘の報告もせずに、魔法を発動した。現状、変化はない。
<追悼が発動されていたら、魔法は使えない。リンも嘘をついていた…?もしかしたら、それを確かめるために一か八かで魔法をやって不発だった?意味もないのにそんなことするか?>
不安が煽られる。実際に戦っているのはリンなのに、こっちも心臓を甘嚙みされているような不愉快さがずっとあるのだからしょうがないともいえる。
<あ、待った。そもそも、相手の手札も、山札も、墓地も見れやしない。魔法によっては痛みなくダメージをおわせる、つまり、城の耐久値の減りを実感することなく減らされている可能性が出てくる>
現在のリンの耐久値はまだ10000だ。それはない、と。
<リンが選んだのが追悼でなかったら、[国王への義憤]か[戦場での慈愛]だ…。[戦場での慈愛]もその効果を受けたと思える兵が見当たらない…。なら、[国王への義憤]か?もしかしたら、[国民の追悼]も対象が特殊で、分かりにくいだけだったとか?>
オレにはついていけない。それはきっと審判として開示されている情報を全て集めたとしても、オレには分からない駆け引きや戦略があるのだろう。だが、肌身で感じてしまう。押され気味であることを……。
「これは伏せで。次に、[敵に塩を送る]。そして、ターンエンド」
「…」
「そして、次も俺のターーン」
完全にアピスのペースだった。
「こいつをひっくり返す…」
[戦車]だ。
敵陣の前衛に、だ
つまり、伏せでコッソリ近寄っていてのご登場。こちらの兵が破壊される…!
「老騎士で」
「でも、攻撃できる」
「…」
せっかく[老騎士]で庇っても、[巫女]は為すすべなくやられる。
「[民の追悼]」
[巫女]の死亡による効果の内の一つ、だ。
<死んでしまった[巫女]を弔うと共に、冒涜することを許さない。ずっとではないが、一時的に皆と巫女の気持ちが一つになって発現した現象。そう聞いた…>
そこまで考えて、次に思うこと。それは、何に対して[巫女]の能力を発動したのか、である。
<[記憶喪失]の子ドラか?[敵に塩を送る]で送られたチリツモも魔法の効果無効ならもう一度あちらに戻るのだろうか?そもそも、使ったのか……?>
「……」
リンは対象を語らなかった。ただの睨み合いの時間が少し続く。が、アピスは、テキトーに手元のパネルをいじる。
「ま、こんなもんかな。ターンエンド」
オレとリンは察する。
コイツは今、魔法を使った。
宣言もせずに、嘘の報告もせずに、魔法を発動した。現状、変化はない。
<追悼が発動されていたら、魔法は使えない。リンも嘘をついていた…?もしかしたら、それを確かめるために一か八かで魔法をやって不発だった?意味もないのにそんなことするか?>
不安が煽られる。実際に戦っているのはリンなのに、こっちも心臓を甘嚙みされているような不愉快さがずっとあるのだからしょうがないともいえる。
<あ、待った。そもそも、相手の手札も、山札も、墓地も見れやしない。魔法によっては痛みなくダメージをおわせる、つまり、城の耐久値の減りを実感することなく減らされている可能性が出てくる>
現在のリンの耐久値はまだ10000だ。それはない、と。
<リンが選んだのが追悼でなかったら、[国王への義憤]か[戦場での慈愛]だ…。[戦場での慈愛]もその効果を受けたと思える兵が見当たらない…。なら、[国王への義憤]か?もしかしたら、[国民の追悼]も対象が特殊で、分かりにくいだけだったとか?>
オレにはついていけない。それはきっと審判として開示されている情報を全て集めたとしても、オレには分からない駆け引きや戦略があるのだろう。だが、肌身で感じてしまう。押され気味であることを……。
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