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第3章 ~よう
塵モ⑥
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☆sideシン
「[忍び]登場効果」
伏せていた[忍び]を表にすることで登場効果により手札が増える。本来相手の手札が減るのだが、ゼロだと意味をなさない。アピスは涼し気に笑っている。
「[王の暗殺]」
「残念、[影武者]だ」
アピスの伏せが[影武者]だと判明する。そして、ドローさせてしまう。リンは顔色を変えることなく魔法を使う。
「[再編成]」
手札を山札に全て戻し、山札から三枚引く。
「……」
だが、リンの顔色は優れることはなかった。
「これは伏せ」
リンのターンが終わる気配がした。魔法も使ったため、[決意の魔法]でもなければ、もう魔法はない。会心の一撃を狙った[忍び]も返り討ちとなり、リスタートすることになる。一からやりお直しになったそう言っても過言ではないだろう。が、リンは諦めていなかった。眼が言っている。
まだ終わってない
「進軍」
それは…アピスから送られた[塵も積もれば]。十中八九、スパイだ。
「ターンしゅ」
「おっと、勝手に終わるなよ?[改革者]」
山札を五枚引いて、三枚を山札に戻す。早い話二枚ドローだ。さっきのターン終了時、0枚だったくせに、この巻き返し。気分が悪くなる。
「んで、終わりでいいんだよな?」
「そうね」
「次の俺のターンで心を抉られるてのは確定だぞ?いいんだな??」
<良いも何も…>
選択肢がねぇーんだろうが…
「ターンエンド」
「親切心から降参のタイミングを作ってあげたってのに…」
言動から匂わせる感情の機微を一瞬にして塗り替える。
「はい、設置[守護学習AI]」
「……」
〔……〕
息が止まる。知っている。これは…リンがお願いして作った、メハのような有能な設置。
〔お前が…汚すなよ……〕
抑えて、抑えて小さく声を漏らす。
<[またとなきこの日に]もそうだが、リンの思い出を、心をかき乱し、コイツが喜ぶだけで悪意しかない。他にも有能なカードは多くある。実際、リンは[守護学習AI]を壊さずに、戦っていた>
「こいつは進軍させて、魔法[先見の明]」
思考停止寸前のオレの耳にさらっとえげつないカードが使われる。
<[先見の明]は、山札の八割を覗き見るカード。嘘の可能性もある。でも!>
コイツの眼が、嘘じゃないことを確信させる。元々、アピスだけ一方的にデッキを全て知っている。逆算されたら、今の手札が割れてもおかしくない。
<圧倒的に不利>
どことなく、こちらが与えたい一撃。つまり攻撃を全て無効化されている。そんな風に思えてくる。負けのムードがすぐ傍に来ているように肌で感じる。
「…ほぼ半分」
リンは呟く。それはあくまで事務的に、気付いたからそう呟いた、そんな勢いだ。
<[戦車]で-1500。[守護学習AI]-2500。そうか、今のアピスの城の耐久値は6000。あいつは身を削って現状を作り出している!つまり、あいつの想定外の手が出せればワンチャン、ある>
「そうだな。だから、どうした?耐久値が少なければ勝てると本気で思ってるのか?」
「ただの事実」
「あぁ、そうだな。お前が言ったのは、確かに事実だ。俺は耐久値が減っている。で?不利なのも事実だろ?事実と言えば[巫女]の死亡効果が出てないのが不思議に思わないか?あんなーーあの盤面で[国民の追悼]をしてないのなんてわかりやすいんだよ」
肝が冷えた。明らかにアピスのペースにのまれていくのを感じたからだ。
「[忍び]登場効果」
伏せていた[忍び]を表にすることで登場効果により手札が増える。本来相手の手札が減るのだが、ゼロだと意味をなさない。アピスは涼し気に笑っている。
「[王の暗殺]」
「残念、[影武者]だ」
アピスの伏せが[影武者]だと判明する。そして、ドローさせてしまう。リンは顔色を変えることなく魔法を使う。
「[再編成]」
手札を山札に全て戻し、山札から三枚引く。
「……」
だが、リンの顔色は優れることはなかった。
「これは伏せ」
リンのターンが終わる気配がした。魔法も使ったため、[決意の魔法]でもなければ、もう魔法はない。会心の一撃を狙った[忍び]も返り討ちとなり、リスタートすることになる。一からやりお直しになったそう言っても過言ではないだろう。が、リンは諦めていなかった。眼が言っている。
まだ終わってない
「進軍」
それは…アピスから送られた[塵も積もれば]。十中八九、スパイだ。
「ターンしゅ」
「おっと、勝手に終わるなよ?[改革者]」
山札を五枚引いて、三枚を山札に戻す。早い話二枚ドローだ。さっきのターン終了時、0枚だったくせに、この巻き返し。気分が悪くなる。
「んで、終わりでいいんだよな?」
「そうね」
「次の俺のターンで心を抉られるてのは確定だぞ?いいんだな??」
<良いも何も…>
選択肢がねぇーんだろうが…
「ターンエンド」
「親切心から降参のタイミングを作ってあげたってのに…」
言動から匂わせる感情の機微を一瞬にして塗り替える。
「はい、設置[守護学習AI]」
「……」
〔……〕
息が止まる。知っている。これは…リンがお願いして作った、メハのような有能な設置。
〔お前が…汚すなよ……〕
抑えて、抑えて小さく声を漏らす。
<[またとなきこの日に]もそうだが、リンの思い出を、心をかき乱し、コイツが喜ぶだけで悪意しかない。他にも有能なカードは多くある。実際、リンは[守護学習AI]を壊さずに、戦っていた>
「こいつは進軍させて、魔法[先見の明]」
思考停止寸前のオレの耳にさらっとえげつないカードが使われる。
<[先見の明]は、山札の八割を覗き見るカード。嘘の可能性もある。でも!>
コイツの眼が、嘘じゃないことを確信させる。元々、アピスだけ一方的にデッキを全て知っている。逆算されたら、今の手札が割れてもおかしくない。
<圧倒的に不利>
どことなく、こちらが与えたい一撃。つまり攻撃を全て無効化されている。そんな風に思えてくる。負けのムードがすぐ傍に来ているように肌で感じる。
「…ほぼ半分」
リンは呟く。それはあくまで事務的に、気付いたからそう呟いた、そんな勢いだ。
<[戦車]で-1500。[守護学習AI]-2500。そうか、今のアピスの城の耐久値は6000。あいつは身を削って現状を作り出している!つまり、あいつの想定外の手が出せればワンチャン、ある>
「そうだな。だから、どうした?耐久値が少なければ勝てると本気で思ってるのか?」
「ただの事実」
「あぁ、そうだな。お前が言ったのは、確かに事実だ。俺は耐久値が減っている。で?不利なのも事実だろ?事実と言えば[巫女]の死亡効果が出てないのが不思議に思わないか?あんなーーあの盤面で[国民の追悼]をしてないのなんてわかりやすいんだよ」
肝が冷えた。明らかにアピスのペースにのまれていくのを感じたからだ。
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