61 / 136
第3章 ~よう
塵モ⑦
しおりを挟む
☆sideシン
アピスは一気に捲し立てる。
「あの時まで、ずっと…カードの名称をちゃんと呼んでいた。まーこの機会はあくまで、持っているカードの名称や効果などから、最初になんて発音しているかで作動することが粗方分かってたんだろう?」
「……」
「その上、国民じゃなくて、民にしたろ…。音声での認証を避けるためだろ?あんな~~俺が見抜かないわけないだろ?」
〔……〕
「国王暗殺は起こらない。なぜって?俺が魔法を使ったのは俺の国民だから」
言葉がでなかった。全てを読まれたような気味悪さは、疑いを向けられたリンでないのに感じてしまう漠然とした圧だけでなく、理詰めの粗探しは正確無比を極めていた。リンすら時間が止まったかのように固まって動かない。
「いいんだぜ?土下座したら、少しくらい、手加減してやろうか?」
「……」
そんな挑発乗れない。現状、本当に終わるカードがある。
[確証と嘲笑を呼ぶ愉悦]
二つ効果がある。伏せの兵を破壊する。そして、手札か山札を八割把握していれば、リンが使えるカードの効果と戦力は半減だ。
<和やかに楽しむリンとメハの作るゲームには、少々似つかわしくない一枚…>
この存在は大きい。途轍もなく、大きい。
「無視ってのは心証悪いだろ~~」
目が笑っていない。
「優しく言ってるうちに、行動しろよ……まーさーか…勝てるとか、足掻けるとか、まだ思ってるのかな~~~~~?」
「……『お願い』」
「その気になった?」
<こ い つ>
もっと謝らせる気かよ。
「やってくれるよね?土 下 座」
は??
リンに何させようと……
「ん?ん?ん?やってくれるよね~~。だって、こんままじゃ圧勝だし、もう勝っていいのか?」
取引内容がゴミだ。分かっていたが、最低な要求。
だが……
〈出されたハズのアピスの[チリツモ]の場所も分からないし、戦車は自陣前衛まで来ている。対策はしているだろうが、あまりにも押されている。リンだって、この異常事態の真っ最中。冷静とは言い難い…〉
選択肢なんて…なかった。静かに立ち上がらせ、ゆっくりと膝立ちの状態にする。
<ごめんな、リン>
「……」
リンは何も言わない。
「?まーだーかーなー。こっちは気が長いんだけどさーー待たされるの腹立つんだよね」
眼が本気だった。アピスなら何をしてもおかしくない。
「…『勝たせて、下さい』」
言葉と共に土下座させる。
「手加減するかもな~とは言ってたけど、勝たせるなんて言ってないんだよなぁあ」
子供の頭だろうが容赦せずに硬い靴のままぐりぐりと踏みつける。
「勝たなきゃ…」
「ん~~ん?なんか言った?」
「勝たなきゃ。会えないでしょ?」
「勝っても会えるかわからねーだろ」
「!?」
「でも、安心しろ。勝とうが負けようが、あの世で逢える」
「!!!」
ドッ!ガゴーン!!
リンを蹴っ飛ばし、完全に勝った気でいるアピスはさらに挑発を続ける。
「早く起きろよ。もしかしたら、助かる命があるかもしれないぜ」
「……」
〔……〕
沈黙。静寂。一時的不動……。
《これでいい。これがマシ》
「……」
リンは声を出さなかった。
《聡い子だ》
オレらの人情劇で声一つ上げやしない。たじろぐこともなく、感情を抑え込んで、メハの元へ行った。
今、椅子には誰もいない。
《もう、失敗できない》
アピスの言うことに渋々従うリンをそこに作り出す。ゆっくりと身体を引きずりながら、でも、眼に光を残したまま。
「うんうん感心感心。『異能』は使っていないようだね」
アピスは場を掌握したような顔で満足げに頷く。
〔……〕
ここで、殺気を漏らす。それが成り行き的に当然であるのと同時に、アピスにアピールする機会だからでもある。フリで充分だった。
《さぁ、もう…舞台は整った!》
オレはこれほど断罪すべき人間を見たことがない。これで終わりにする。決意を力に、繋がりは裏切らない、
アピスは一気に捲し立てる。
「あの時まで、ずっと…カードの名称をちゃんと呼んでいた。まーこの機会はあくまで、持っているカードの名称や効果などから、最初になんて発音しているかで作動することが粗方分かってたんだろう?」
「……」
「その上、国民じゃなくて、民にしたろ…。音声での認証を避けるためだろ?あんな~~俺が見抜かないわけないだろ?」
〔……〕
「国王暗殺は起こらない。なぜって?俺が魔法を使ったのは俺の国民だから」
言葉がでなかった。全てを読まれたような気味悪さは、疑いを向けられたリンでないのに感じてしまう漠然とした圧だけでなく、理詰めの粗探しは正確無比を極めていた。リンすら時間が止まったかのように固まって動かない。
「いいんだぜ?土下座したら、少しくらい、手加減してやろうか?」
「……」
そんな挑発乗れない。現状、本当に終わるカードがある。
[確証と嘲笑を呼ぶ愉悦]
二つ効果がある。伏せの兵を破壊する。そして、手札か山札を八割把握していれば、リンが使えるカードの効果と戦力は半減だ。
<和やかに楽しむリンとメハの作るゲームには、少々似つかわしくない一枚…>
この存在は大きい。途轍もなく、大きい。
「無視ってのは心証悪いだろ~~」
目が笑っていない。
「優しく言ってるうちに、行動しろよ……まーさーか…勝てるとか、足掻けるとか、まだ思ってるのかな~~~~~?」
「……『お願い』」
「その気になった?」
<こ い つ>
もっと謝らせる気かよ。
「やってくれるよね?土 下 座」
は??
リンに何させようと……
「ん?ん?ん?やってくれるよね~~。だって、こんままじゃ圧勝だし、もう勝っていいのか?」
取引内容がゴミだ。分かっていたが、最低な要求。
だが……
〈出されたハズのアピスの[チリツモ]の場所も分からないし、戦車は自陣前衛まで来ている。対策はしているだろうが、あまりにも押されている。リンだって、この異常事態の真っ最中。冷静とは言い難い…〉
選択肢なんて…なかった。静かに立ち上がらせ、ゆっくりと膝立ちの状態にする。
<ごめんな、リン>
「……」
リンは何も言わない。
「?まーだーかーなー。こっちは気が長いんだけどさーー待たされるの腹立つんだよね」
眼が本気だった。アピスなら何をしてもおかしくない。
「…『勝たせて、下さい』」
言葉と共に土下座させる。
「手加減するかもな~とは言ってたけど、勝たせるなんて言ってないんだよなぁあ」
子供の頭だろうが容赦せずに硬い靴のままぐりぐりと踏みつける。
「勝たなきゃ…」
「ん~~ん?なんか言った?」
「勝たなきゃ。会えないでしょ?」
「勝っても会えるかわからねーだろ」
「!?」
「でも、安心しろ。勝とうが負けようが、あの世で逢える」
「!!!」
ドッ!ガゴーン!!
リンを蹴っ飛ばし、完全に勝った気でいるアピスはさらに挑発を続ける。
「早く起きろよ。もしかしたら、助かる命があるかもしれないぜ」
「……」
〔……〕
沈黙。静寂。一時的不動……。
《これでいい。これがマシ》
「……」
リンは声を出さなかった。
《聡い子だ》
オレらの人情劇で声一つ上げやしない。たじろぐこともなく、感情を抑え込んで、メハの元へ行った。
今、椅子には誰もいない。
《もう、失敗できない》
アピスの言うことに渋々従うリンをそこに作り出す。ゆっくりと身体を引きずりながら、でも、眼に光を残したまま。
「うんうん感心感心。『異能』は使っていないようだね」
アピスは場を掌握したような顔で満足げに頷く。
〔……〕
ここで、殺気を漏らす。それが成り行き的に当然であるのと同時に、アピスにアピールする機会だからでもある。フリで充分だった。
《さぁ、もう…舞台は整った!》
オレはこれほど断罪すべき人間を見たことがない。これで終わりにする。決意を力に、繋がりは裏切らない、
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる