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第3章 ~よう
■⑭
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《sideメハ
嫌悪感を抱くことは一切なく、現実へと意識を覚醒させるに至る。
「……ぁ」
時間は止まったようにゆっくりだ。サーーっと血の気が引いていく。対照的に、膨大な殺意が膨れ上がる。その異常事態に反応が遅れる。私の影が、厚みを帯び形を成していく…長身で人型、死神に似た風貌を前に恐れおののく。
「…ァ」
「…?」
覇気のない声と共に地に這いつくばる。見上げれば、命より大事な存在の背後には、鎌を振り上げた死神がいた。体が動かない。
私のせい…
私のことを心配してくれる少女の名前が出ない。だらりと垂れた右腕に胸が締め付けられる。懸命に声かけをしてくれているみたいだが、聞こえない。
<最悪…じゃん私。何もかも、終わる…終わってしまう……もう鎌がすぐそこまで………>
「もう、大丈夫」
パ リ ー ー ン !!
<へ ? ?>
声にはならなかったが、唖然としているのが伝わってか、もう一度繰り返される。
「もう…大丈夫」
2回ともハッキリと聞こえた。いや、それ以上に、鎌が少女に当たった瞬間砕けたのが理解できなかった。アピスはまたしても襲いかかる。が、今度は少女に触れる前にバラバラになり末端から粒子になって消えていく。少女はそちらを一瞥し、切り捨てる。
「消えて」
アピスの眼は笑っていた。少女も、笑みを浮かべてこちらに向かう。同じ笑みでも、印象ががらりと変わる。
「………っ」
少女の胸に崩れ込む。それを予期して優しく受け止めてくれる。それらの言動全てが、聖母のように見えて仕方なかった》
――sideアピス
俺は神を自称する存在から映像を見せられていた。
「っクハハハハハハ。くっだらねぇええ。なんだなんだ。コレを愛だの奇跡だのって俺に諭そうとでも思ってんのか?頭お花畑かよ。俺がこの程度の未来を予見できなかったとでも思ったか!!」
それは、メハの心を救う、とってもハートフルじゃないか。
ただそれだけってだけで
彼らにとって多大な努力の果てにあったものだ。そして、こいつらの限界だ。
「分かってるんだろ?これは俺が仕掛けた詰め将棋だ。そして、実質詰んでる盤面だ。どれだけ足掻いても、金は救えない。手詰まりだ。そうつまり、お前らができるのは精々妥協。心だけでも明るくして、お別れしようってか」
〔オレは、奇跡を信じる〕
「現実を見ろよ。負け惜しみか??どれだけ言い訳したって、見捨てることには変わりないだろ。自称神(笑)」
煽りと同時にスイッチを押す。これは、緊急用とでも言えばいいか、隠し持った最終兵器だ。
〔おま、〕
神も唐突のエネルギーの爆発に慌てふためく。
<非常に残念だ。こいつらの絶望顔を見れずに逝ってしまうなんて……>
そうは頭では思ってもニヤつきが止められない。ただ変わりない勝利を確信しているからだ。
<これで詰みだ>
勝利宣言を心で決めて、俺はその生涯に終わりを告げる――
嫌悪感を抱くことは一切なく、現実へと意識を覚醒させるに至る。
「……ぁ」
時間は止まったようにゆっくりだ。サーーっと血の気が引いていく。対照的に、膨大な殺意が膨れ上がる。その異常事態に反応が遅れる。私の影が、厚みを帯び形を成していく…長身で人型、死神に似た風貌を前に恐れおののく。
「…ァ」
「…?」
覇気のない声と共に地に這いつくばる。見上げれば、命より大事な存在の背後には、鎌を振り上げた死神がいた。体が動かない。
私のせい…
私のことを心配してくれる少女の名前が出ない。だらりと垂れた右腕に胸が締め付けられる。懸命に声かけをしてくれているみたいだが、聞こえない。
<最悪…じゃん私。何もかも、終わる…終わってしまう……もう鎌がすぐそこまで………>
「もう、大丈夫」
パ リ ー ー ン !!
<へ ? ?>
声にはならなかったが、唖然としているのが伝わってか、もう一度繰り返される。
「もう…大丈夫」
2回ともハッキリと聞こえた。いや、それ以上に、鎌が少女に当たった瞬間砕けたのが理解できなかった。アピスはまたしても襲いかかる。が、今度は少女に触れる前にバラバラになり末端から粒子になって消えていく。少女はそちらを一瞥し、切り捨てる。
「消えて」
アピスの眼は笑っていた。少女も、笑みを浮かべてこちらに向かう。同じ笑みでも、印象ががらりと変わる。
「………っ」
少女の胸に崩れ込む。それを予期して優しく受け止めてくれる。それらの言動全てが、聖母のように見えて仕方なかった》
――sideアピス
俺は神を自称する存在から映像を見せられていた。
「っクハハハハハハ。くっだらねぇええ。なんだなんだ。コレを愛だの奇跡だのって俺に諭そうとでも思ってんのか?頭お花畑かよ。俺がこの程度の未来を予見できなかったとでも思ったか!!」
それは、メハの心を救う、とってもハートフルじゃないか。
ただそれだけってだけで
彼らにとって多大な努力の果てにあったものだ。そして、こいつらの限界だ。
「分かってるんだろ?これは俺が仕掛けた詰め将棋だ。そして、実質詰んでる盤面だ。どれだけ足掻いても、金は救えない。手詰まりだ。そうつまり、お前らができるのは精々妥協。心だけでも明るくして、お別れしようってか」
〔オレは、奇跡を信じる〕
「現実を見ろよ。負け惜しみか??どれだけ言い訳したって、見捨てることには変わりないだろ。自称神(笑)」
煽りと同時にスイッチを押す。これは、緊急用とでも言えばいいか、隠し持った最終兵器だ。
〔おま、〕
神も唐突のエネルギーの爆発に慌てふためく。
<非常に残念だ。こいつらの絶望顔を見れずに逝ってしまうなんて……>
そうは頭では思ってもニヤつきが止められない。ただ変わりない勝利を確信しているからだ。
<これで詰みだ>
勝利宣言を心で決めて、俺はその生涯に終わりを告げる――
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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